博物館・劇場日記

映画「オッペンハイマー」

映画「オッペンハイマー」を見ました。 映画は、カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによる2005年の伝記「アメリカン・プロメテウス」に基づいています。 映画のシーンが、実際の時間順序と入れ替わっているところがあること、秘密保安公聴会と上院承…

映画「僕が宇宙に行った理由」

映画「僕が宇宙に行った理由」を見ました。 日本の民間人として初めて宇宙旅行を成し遂げた実業家の前澤友作氏に密着したドキュメンタリーです。 映画は、ドキュメンタリーの緊張感や、押しつけがましさがなく、気持ちよく見ることができました。 フランス文…

「石岡タロー」を見ました

「石岡タロー」は、石岡市の忠犬タローの映画です。 タローは、主人とはぐれた後、17年間、住みついた小学校から、朝夕、石岡駅に通って、主人を待ち続けました。 とはいえ、そのことは、映像にはしにくいです。 なので、どんでん返しがあって、ドラマティッ…

Bronisława Kawallaの Chopinコンサート(2020)

ショパンの夜想曲の演奏を調べていて、Bronisława Kawallaの演奏に出会いました。 ダン・タイ・ソンは、ショパンはルバートしないと始まらないと言いますが、その点では、良い演奏は少ないと思います。 You Tubeの解説は以下です。 最も優れたポーランドのピ…

「アジアの現代文芸」シリーズ(青空文庫)

7月7日から、青空文庫に、「アジアの現代文芸」シリーズが加わりました。 epub形式で、最近のアジアの文芸を読むことができます。 daido-life-fd.or.jp

エリーザベト・レオンスカヤのモーツァルトのピアノ協奏曲第12番

エリーザベト・レオンスカヤは、2023年に77歳になるご高齢のピアニストです。 非常に著名な方ですが、2021年のピアノソナタの録音までは、モーツアルトに録音は、、リヒテルと組んだデュオだけでした。 最近、ピアノ協奏曲第12番を弾いています。 オランダで…

藤田 真央 のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番

藤田 真央が、2023年3月12日に、コンセルトヘボウとシャイーの指揮で、 のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾いています。 放送録音をきいて、ちょっと、ゆっくりに聞こえたのですが、タイミングは41:28でした。 40分を越えた演奏の記憶はないので、恐らく…

「PLAN75」と日本の社会システムの欠陥~2030年のヒストリアンとビジョナリスト

(生物多様性と労働市場の多様性は結びついています) 1)概要 「PLAN75」という映画を見てきました。 75歳で、安楽死を選べるという制度ができたという映画です。 安楽死が認められている国は、あります。 重度の症状から回復の見込みのない、いわゆる植物…

「ドライブ・マイ・カー」を見て

「ドライブ・マイ・カー」を見てきました。 2月7日にオスカー候補作のリストが発表になると、「ドライブ・マイ・カー」は、外国語映画賞、監督賞だけでなく、作品賞、脚色賞の候補にまでなっており、合計4部門にノミネートされています。 2019年に公開さ…

クラウス・マケラの新世界

クラウス・マケラは、2022年2月現在で、26歳のフィンランドの指揮者、チェリストです。 オランダ放送のネット配信で、2022/01/16に、マケラた、コンセルトヘボウを指揮したドボルザークの新世界を聞きました。 マケラの誕生日は、1月17日なので、演奏日には…

セル・クリーブランドの最後の演奏会

1970年7月12日のセルのライブを聞きました。確証はありませんが、最後の演奏会の可能性が高いと思います。 セルは、1970年の大阪万博の後、韓国、アラスカのアンカレッジのツアーの途中で、倒れて入院したことが知られています。 セルの英語版の伝記が3種類…

Fabienne Jacquinot のフランスの山人の歌による交響曲

Fabienne Jacquinot (1927-2016 )は、フランスの女性ピアニストで、カタカナ表示はファビエンヌ ・ ジャッキーノ 他10通りくらいあって決まっていません。ここでは、ファビエンヌ ・ ジャッキーノ と書きます。 ダンディのフランスの山人の歌による交響曲O…

アニヤ・イグナティウスのシベリウスのバイオリン協奏曲を聞いて

シベリウスのバイオリン協奏曲は、バイオリン協奏曲の中では、最近でも人気があると思われます。交響曲は、1990年頃から、色々な指揮者が取り上げて、一時、人気曲になりましたが、最近は、一時期ほどは、取り上げられなくなっていると思われます。交響曲の…

アーロン・クロスニックのディーリアスのバイオリンソナタをめぐって

ディーリアスのバイオリンソナタは好きな曲ですが、録音は多くありません。最近のYou tubeを見ると思いのほかに、演奏する人が増えています。一方、最近では、古い演奏を耳にすることもあって、特に、アーロン・クロスニックの演奏を聴いて大変感心しました…

アレクサンドル・カントロフのショパンのピアノ協奏曲2番を聞いて

2019年チャイコフスキーコンクール優勝のAlexandre Kantorowは、コンクールでは前例のない第2番の協奏曲をひいたようです。ということは、普通に演奏しても、効果が上がりにくい曲を料理することが得意と思われます。CDも数枚出ているようですが、ショパンの…

「野口悠紀雄:中国が世界を撹乱する」を読んで

野口悠紀雄はWEBにいくつか連載を持っていて、それをまとめて本を出しています。本書は、2019年7月から2020年3月に現代ビジネスのWEBの掲載された記事をまとめたもので、2020年6月に出版されています。ですから、現在(2020年10月)は、出版から4か月が経過…

「人口の中国史」を読んで

上田 信著「人口の中国史」が出ていたので、買ってきて読みました。 その理由は、中国の人口史のデータが今までは、ほとんど皆無だったからで、10年以上前に、調べたときには、和書では、「羊の歌」が唯一で、その前のレポートは、なんと、満鉄調査部のも…

ティボーデとアルティノグリュ のラベルのピアノ協奏曲

アルティノグリュとコンセルトヘボウ管弦楽団のフランクが大変よかったので、2020年3月の同じ日の演奏会のジャン=イヴ・ティボーデとのラベルのピアノ協奏曲もラジオ放送で聞いてみました。ト長調の両手の方です。 ラベルの音楽は、美しいと感じる部分と、…

アラン・アルティノグリュ のフランクの交響曲を聞いて

アラン・アルティノグリュは、中堅の最近人気が出ている指揮者です。 アルティノグリュがコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したフランクの交響曲の演奏を最近、ラジオ放送で聞きました。 フランクの曲は、傑作としての評価は定まっている曲がいくつかあるので…

「安宅和人:シン・ニホン」を読んで

安宅和人氏は「イシューからはじめよ」の著者です。ただし、今回の本では、イシューはどこかにいってしまいました。簡単にいえば、審議会資料とか、白書を読んでいるような感じです。色々かいてあるが、結局何が重要かよくわかりません。同じマッキンゼー出…

エマニュエル・トッド「大分断」をよんで

トッドのインタビューと雑誌の記事をまとめた新書です。 雑誌の記事の割合が多いためか、インタビュー中心の中身が薄い感じはしません。 「トッドが何を問題にしているのか」という問題設定自体が大変印象深いです。 また、設定して問題を歴史的に、ダイナミ…

あるピアニストの二度目の死

レオン・フライシャーの死 ピアニストのレオン・フライシャーが亡くなりました。 ある曲について、最初にきいた演奏が、演奏を評価する基準になってしまい、その演奏を評価することができなくなってしまうことがあるとはよく言われれます。筆者にとっては、…

オリンパスはもうどこにか行ってしまった~「カメラ設計者 米谷美久 講演会」を読んで

「カメラ設計者 米谷美久 講演会」 オリンパスが6月にカメラ部門を売却することを決めました。米谷(まいたに)は、オリンパスのカメラをほぼゼロから作った伝説の技術者です。既に、2009年に亡くなられていますが、過去に行った講演会の記録をオリンパスの…

6月30日はもうこない~「2020年6月30日にまたここで会おう」を読んで

瀧本哲史「2020年6月30日にまたここで会おう」を読んで 瀧本氏は2019年8月に亡くなられたので、新著はないものと思っていました。しかし、2012年の6月30日の東京大学における講義を収録した本が4月に出ていました。タイトルは、2012年の講義の最後の瀧本氏の…

映画「21世紀の資本」を見ました

「21世紀の資本」を見てきました。本を映画化する場合には、そのままでは、ストーリーのある映像にはならないので、組み替えることが普通です。ですので、「21世紀の資本」どのように組み替えて、映画に仕立てるのかが、関心がありました。 結論からする…

映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を見ました

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」は劇場公開が、1月24日なので、ちょっと古い映画になりますが、コロナで、映画感が閉まってしまったので、久しぶりの映画鑑賞となりました。観客は我が家以外は1名だけでした。路線バスの場合、損益分岐点は乗客数6名と…

映画「黒い司法0%からの奇跡」

「黒い司法」というハリウッド映画を見てきました。 出典は次のノンフィクションのようです。 黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-9) 展開は予想通りです。 きれいな映像はありません。 カーチェースも…

「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」を読んで

山口周氏の上記のタイトルの本を半年以上前に読みました。 このブログでは、本に関する記載は今までしていなかったのですが、思うところがあって、今後書いていこうと思います。 この本は「理系の論理で解決できる問題は努力すれば誰でもできる。今後大切な…

映画「パラサイト」(その2)

映画「パラサイト」を見てきました。これについては、既に、「寓話」と「暗さ」についてコメントしてています。 アカデミー賞を受賞した映画なので、それなりに、色々なところでコメントがなされており、それらをみて、気になった点を追加・修正しておきます…

映画「パラサイト」

映画「パラサイト」を見てきました。 コメントは2つあります。「寓話」と「暗さ」です。 寓話 映画全体が「寓話」の集合体になっています。個別のエピソードは明らかに「寓話」としてみないと、不自然で納得ができません。ここまで、リアリティを排除して「…