映画「僕が宇宙に行った理由」

映画「僕が宇宙に行った理由」を見ました。

 

日本の民間人として初めて宇宙旅行を成し遂げた実業家の前澤友作氏に密着したドキュメンタリーです。

 

映画は、ドキュメンタリーの緊張感や、押しつけがましさがなく、気持ちよく見ることができました。

 

フランス文学者の水林章氏は、人権無視が起こる原因は、日本には、封建制度の法度制度が残っているためであり、日本語が、法度制度を温存させているといいます。

<< 引用文献

水林章著『日本語に生まれること、フランス語を生きること――来たるべき市民の社会とその言語をめぐって』(春秋社) 

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水林章氏は、「えらい」という言葉は、法度制度に特有の言葉であり、人権思想とは相容れないといいます。

 

前澤友作氏は、宇宙ステーションで、宇宙からみる地球には、国境はない。「えらい」人も、宇宙にきて地球をみれば、戦争はなくなるのではないかといいます。

 

前澤友作氏のメッセージは、「NO MORE WAR」であり、「世界平和」です。

 

最後に、地球に戻った前澤友作氏は、自分たちの身近なところから努力すれば、世界平和が実現できるのではないかといいます。

 

この発言は、「日本語が、法度制度を温存させている」という主張に対応しているので考えてしまいました。

 

「自分たちの身近なところから努力すれば」という発言は、現在の社会システム、つまり、水林章氏のいう法度制度(封建制度)の中で努力すればという思考です。

 

前澤友作氏は、水林章氏が問題にする「えらい」人という表現に、疑問をいだいていません。

 

フランスの法度制度(封建制度)は、王権神授説です。えらい人は、神様が指名したのでえらいことになります。王権神授説のなかで、「自分たちの身近なところから努力」しても、人権問題は解決しません。

 

人権問題の解決のためには、フランス革命と人権宣言が必要でした。

 

「自分たちの身近なところから努力」は、言い換えれば、経験重視です。

 

フランスの封建制度のもとでは、平民の経験は、何処まで行っても、平民の中にとどまり、支配者になることがありません。

 

つまり、平民が経験重視であれば、王様の神権を疑うことはなく、封建制度が安寧であり、人権は無視され続けます。

 

人権が無視されれば、戦争は無くなりません。

 

奴隷制度の元では、奴隷はモノであって、奴隷に対しては、殺人罪という概念があてはまりません。

 

奴隷が殺されても、戦争にはカウントされません。