アラン・アルティノグリュ のフランクの交響曲を聞いて

アラン・アルティノグリュは、中堅の最近人気が出ている指揮者です。

アルティノグリュがコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したフランクの交響曲の演奏を最近、ラジオ放送で聞きました。

フランクの曲は、傑作としての評価は定まっている曲がいくつかあるのですが、バイオリンソナタを除けば、実際には、演奏効果の上がらない難物が多いと思います。これには、フランクを構成的にドイツ風に扱うか、メロディーや和音を中心にフランス風に扱うかの問題があるとも指摘されます。バイオリンソナタのように、メロディーラインが十分に魅力的であれば、あとは、構成をどうするかに集中できるのですが、バイオリンソナタ以外の作品のメロディーラインは気が利いていないので、工夫しないと、退屈になりますし、かといって、構成をおろそかにすると、うまくいかないようです。おそらくは、ドボルザークの新世界のように、誰が振ってもある程度の効果がでる愛想のよい音楽とは、対局の気難しい音楽と思います。

交響曲も、こうした名曲はあるが、納得のできる演奏に会うことが難しいフランクの音楽のひとつです。

アルティノグリュのフランクの交響曲は、久しぶりに納得の演奏でした。この人のフランクは、テンポが絶妙で、オーケストラのバランスが絶妙に変化するので、演奏が始まると、すぐに引き込まれてしまいます。音楽におけるテンポの効果がここまで大きいと感じたことは久しぶりです。非常によく歌っている演奏ですが、うたは、メロディラインの強調ではなく、テンポとバランスで表現されます。このため、非常に美しい演奏ですが、構成は崩れはしません。アルティノグリュは大変な才能の持ち主だと思いました。久しぶりに、満足のできるフランクの交響曲を聞くことができました。