安宅和人氏は「イシューからはじめよ」の著者です。ただし、今回の本では、イシューはどこかにいってしまいました。簡単にいえば、審議会資料とか、白書を読んでいるような感じです。色々かいてあるが、結局何が重要かよくわかりません。同じマッキンゼー出身者でもポイントを絞り込んで説明する、大前研一氏と比べると、その散漫さがよくわかります。半面、事典代わりに使うのであれば、便利です。
半分ちかくは予算配分の話に費やされていて。これは担当の官僚にしてみれば、喜ばしい内容と思います。
同じマッキンゼー出身者でも、大前研一氏の場合は、日本経済が上向きの時に、活躍されています。安宅和人氏の場合は、日本経済が下向きの時に、活躍されています。この条件は、別に、安宅和人氏に限らず、現役の経営コンサルタントには全てあてはまります。(大前氏は現役でないことになるので、叱られるかもしれませんは、説明の意図は理解できるでしょう。)そう考えると、ニホンの立て直しを誰の意見を重視して行うかは、非常に難しい局面にきていることがわかります。日本の問題解決の糸口を求めるのではなく、現在日本が置かれている局面がいかに困難な状態であるかを確認するのであれば、「シン・ニホン」は非常に有益な書物です。