映画「21世紀の資本」を見ました

「21世紀の資本」を見てきました。本を映画化する場合には、そのままでは、ストーリーのある映像にはならないので、組み替えることが普通です。ですので、「21世紀の資本」どのように組み替えて、映画に仕立てるのかが、関心がありました。

結論からすると。ピケティが出てきて、ドキュメンタリー風に仕立てたもので、まっとうですが、ひねり技はありませんでしたので、その点では、肩透かしを食らいました。

ただし、古い貴重な映像を掘り出してきているので、その点は、見ごたえがあります。

また、本は厚いので、さわりを簡単につかみたい人には向いているかもしれません。

これは、この映画に限ったことではないですが、カット1とカット2を続けて見せられると、その間には、因果関係があるように錯覚します。これは、映像ではよく行われる手法ですが、ある種の洗脳手法であることを理解しておくことが必要です。この映画では、この手法があざとく、多用されています。著書の場合には、正論、反論、反論の反論というように細かな論理展開が可能ですが、映画の場合には、勧善懲悪にしないと訳が分からなくなるので、ここでも、「資本=悪、労働者=善」というラベリングが行われています。そして、資本を制約しないと、労働者は永久に豊かになれないというマルクスのテーマが出てきます。ピケティのフランスは、社会主義が強い国なので、これが平均的な意見かもしれません。まあ、1回見切りの映画の限界でありますので、深入りしないことにします。