「テクノリバタリアン」を読む(6)ランダム化試験とパンドラの箱(5/24改訂版)

(RCTの影響を考えます)

 

ロナルド・フィッシャーは、1925年にStatistical Methods for Research Workersを、1935 年に「実験計画法」を出版します。ランダム化試験(RCT)は、この本がスタートです。

 

アンダース・ハルドはフィッシャーを「現代統計科学の基礎をほぼ独力で築き上げた天才」と呼びました。

 

リチャード・ドーキンスはフィッシャーを「ダーウィン以来最も偉大な生物学者」と呼びました。

 

フィッシャーは、正規分布を中心とした頻度主義者で、ベイズ統計の顕著な反対者でした。

 

ベイズ統計が実用化されたのは、今世紀に入ってからです。

 

フィッシャーが、ベイズ統計の顕著な反対者であったことは、背景を考慮して評価する必要があります。

 

「実験計画法」(RCT)は、長い間、作物試験の手法と思われていました。

 

30年前、RCTは、作物試験の手法ではなく、基本的な統計学の手法であると認識されてきました。

 

RCTの基本は、サンプリングバイアスの排除です。RCTが不可能な場合には、分布を考えて、サンプリングバイアスを排除して、実験をできるだけRCTに近づける必要があります。

 

これが、エビデンスに基づく手法です。

 

エビデンスに基づく手法は、EBM(Evidence-Based Medicine、科学的根拠に基づく医療)から始まって、あらゆる分野に、普及しています。

 

「確率的および因果的推論の算法を発展させることで、人工知能に基礎的貢献をした」として、2011年のACMチューリング賞を受賞したジューディア・パールは、RCTに替わる方法はないといいます。

 

パールは、RCTを近似する方法を検討しています。

 

Association for Computing Machinery はパールの因果性についての業績について「統計学、心理学、医学、社会科学において、因果律についての理解に革命をもたらした」と評しています。

 

入門解説には以下があります。 

 

 因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか

 

著者 ジューディア・パール , ダナ・マッケンジー , 松尾豊・監修解説 , 夏目大・訳 2022 文藝春秋

 

The Book of Why: The New Science of Cause and Effect(2018)Judea Pearl,Dana Mackenzie

 

WEBをみると、アメリカの心理学科の卒業生が、学生時代にならったことが、その後の科学的根拠に基づく心理学研究の結果、ほとんど間違いで取り消されているとぼやいています。

 

エビデンスに基づく手法は、RCTのパンドラの箱を開けてしまいました。

 

橘玲氏は、テクノリバタリアンは、数学が全てであるといいますが、これは、RCTのパンドラの箱が開いて、世界が変わったという背景のもとに理解する必要があります。

 

加谷 珪一氏は、専門家のインフレの分析について次のようにいっています。

日本でも物価上昇が顕著なってきた当初、多くの専門家が原油価格の高騰など、一次産品の値上がりが原因であり、その影響は一時的なものにとどまると主張していた。教科書でいうところのコストプッシュ・インフレであり、大規模緩和策で想定していたインフレとは異なるという理屈である。

 

コストプッシュ・インフレ、ディマンドプル・インフレという言葉は、学生などが分かりやすいように教科書で用いられている分類に過ぎず、インフレというのは基本的に複合要因と考えるべきだ。

<< 引用文献

円安で国内消費は「壊滅状態」に…日本経済をぶっ壊す「スタグフレーション」のヤバい現状 2024/05/21 現代ビジネス 加谷 珪一

https://gendai.media/articles/-/130306

>>

 

これは、専門家は、原因が複数ある因果モデルが理解できていないことを意味しています。

 

専門家は、科学的な 因果推論ができないことを示しています。

 

あるテレビ番組では、最近、針治療に効果があることがわかったと説明しています。

 

EBMを使った2重盲検試験では、針治療の効果は否定されています。

 

つまり、番組で、治療に効果があるという結果を出した試験は、プラシボ効果であった可能性が高いと言えます。

 

これは、針治療です。漢方薬に西洋医学と同じ薬用成分が含まれる場合には、漢方薬には、効果があります。

 

過去にも、被験者が4名程度の試験で、実験をして、効果を論じる番組を製作していたチャンネルもあります。

 

統計学の常識では、サンプルが4つで、効果が出ることはやらせ試験以外ではあり得ません。

 

注意しなければならないことは、薬を飲んで効果があったことは、薬の効果の証明にはならないことです。

 

人間の身体には、自然に治癒する力があります。

 

薬を飲んで効果があった場合は、実は、薬を飲まなくても効果があった場合かも知れません。

 

あるいは、自然治癒を前提としない場合でも、症状は変化します。

 

ベイズ統計では、事前情報がない場合には、症状が悪化する確率が50%あり、症状が改善する確率が50%あると考えます。

 

この場合、薬の効果がゼロでも、症状が改善する確率が50%あることになります。

 

薬の効果と関係なく、症状が改善する確率を考える必要があります。

 

なお、RCTを使ったEBMによる薬の効果の検証は、大変ハードルが高いものです。

現在使用されている薬のうち、エビデンスがあるのは10%程度と言われています。

 

これは、EBM以前に、認可された薬があること、エビデンスの確認されていない使用が行なわれていることを示しています。

 

これは、胃がんに効果がある薬を、大腸など他の部位にも流用する方法です。類似の器官であれば、効果は期待できます。なので、流用されています。

 

最近では、欧米の大学では、Business analyticsを教えています。

 

これは、パールの因果推論の科学を実務に応用する内容です。

 

ビジネスの問題の多くは、データサイエンスの問題に置き換え、数値解をえることが可能です。

 

Business analyticsは、高等学校で、数学と統計学を学習していることを前提として、講義が進みます。

 

Business analyticsは、日本の文系では、歯が立たない可能性が高いです。

 

橘玲氏は、テクノリバタリアンを、数学オタクのように描写しています。

 

しかし、データサイエンスの基準でみれば、加谷 珪一氏の指摘のように、ずれているのは日本の専門家であって、テクノリバタリアンは、いたって普通の数学能力のように見えます。

 

RCTのパンドラの箱が開いたということを理解していない教育カリキュラムは、今後、その内容の大半が間違いであったことが判明する運命にあると思われます。

 

橘玲氏は、アメリカは、1970年代に、終身雇用を、ジョブ型雇用に転換したという説明がでてきます。(p.258、あとがき)

 

終身雇用(年功型雇用)では、働かないで、給与をもらう人が必ず出てきます。雇用と仕事は、マッチしません。

 

終身雇用では、スキルアップしても、給与が増えないので、スキルアップすることは経済的にマイナスになります。

 

新聞には、定年退職をした従業員を再雇用するときの給与を現役並みにする企業があると書かれています。

 

しかし、これは、ジョブ型雇用ではないので、欧米の企業に比べて、労働の効率が悪くなります。また、賃金は、スキルの対価ではないので、スキルアップは行なわれません。

 

橘玲氏は、「みんなが(表面的には)平等な社会では、能力の格差を暴くことは最大のタブーになる。日本は、自由を恐れ、合理性を憎んでいる社会である」(P.260、筆者要約)といいます。

 

これは、日本では、科学より、法度制度のミームが優先することを意味しています。

 

橘玲氏は、「テクノリバタリアン」のあとがきで、日本が、リバタリアニズムを受け入れないと世界から取り残されると結論づけています。

 

つまり、問題は政治思想にあるという主張です。

 

筆者は、問題は、科学を無視した法度制度のミームにあると考えます。

 

マイクロソフトは、人工知能(AI)機能を高めた技術で一新を遂げた「AI特化パソコン」を開発しています。

 

調査会社カナリスは2025年にAI特化パソコンの出荷台数は1億台を超え、全パソコン出荷台数の40%を占めると推計しています。

<< 引用文献

情報BOX:AI特化パソコンとは何か 2024/05/22 ロイター

https://jp.reuters.com/economy/industry/TZ2VBV4XHJM4DJZD4FOR3NVYYU-2024-05-22/

>>

 

マイクロソフト(MSFT.O), opens new tabは、中国を拠点とするクラウドコンピューティング人工知能(AI)事業の一部従業員に対し、国外への転勤を検討するよう求めている。

 

対象となる従業員は大半が中国籍で、約700─800人が米国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどへの転勤の選択肢を提示されています。

 

<< 引用文献

マイクロソフト、中国の一部従業員に国外転勤を提示 2024/05/17 ロイター  Kanjyik Ghosh, Akash Srira https://jp.reuters.com/business/WBXQN5F6BZNHBJNAMYLFGEFSBI-2024-05-16/

>>

 

マイクロソフトは、今後、日本のオフィスで、人材を募集します。

 

政府は、AIの開発に制限をもうける計画です。

 

橘玲氏は、オープンAIの例を引いて、AIの開発を極限まで進める「加速主義者」のグループが、AIが、人間の管理能力を超えることを警戒する「破滅主義者」のグループをおさえて、最終的に主導権をとることが明白であるといいます。

 

日本で、AIの開発に制限を設けても、中国の例のように、開発部隊を日本から移動させるだけで、開発を止めることはできません。

 

AI特化パソコンは、ジョブ型雇用では、これを使いこなすことで、驚異的な生産性の向上が可能になります。

 

しかし、

定年退職をした従業員を再雇用するときの給与を現役並みにしても、生産性はあがりません。

 

つまり、この方法では、国際競争から、取り残されます。

 

これは、数学の計算の問題に過ぎないです。

 

経営は哲学だと主張しても、数学的に不可能なことは実現しません。

洞峰公園のバラの種類(1)~つくば市とその周辺の風景写真案内(1273)

 洞峰公園のバラの種類については、You tubeの2本の動画以外には、情報がなかったので、わかった範囲で、まとめておきます。

 

体育館の前のバラ花壇には、品種のラベルがあります。

 

サッカーグランド横のバラ花壇には、品種のラベルがありません。

 

そこで、サッカーグランド横のバラ花壇には、体育館の前のバラ花壇にはない品種が植えられているかが問題になります。

 

仮に、追加品種がなければ、体育館の前のバラ花壇の調査で完結します。

 

少しテストしてみました。

 

以下の写真は、サッカーグランド横のバラ花壇のものです。

 

写真1から写真4は、体育館の前のバラ花壇にもある品種です。

 

写真5のユートピアは、体育館の前のバラ花壇にもある品種ですが、花がついていないので確認できません。

 

Googleレンズでみると、写真5は、アンペラトリス・ファラーが一番近いですが、この品種は、遅咲きで、6月ならないと花が咲かないようなので、写真5は、アンペラトリス・ファラーではないと思われます。

2トンカラーのバラは、ジェミニか、コロラマ系になります。

 

ユートピアも2トンカラーですが、WEBのサンプル写真では、赤色が主体で、黄色は少ないです。

写真5が、ユートピアであれば、サッカーグランド横のバラ花壇には、追加品種はないと思われます。

 

写真1 アイスバーグ

 

写真2 ラベンダードリーム

 

写真3 バター カップ

 

写真4 ノックアウト

 

 

写真5 ユートピア

 

「テクノリバタリアン」を読む(6)ランダム化試験とパンドラの箱

(RCTの影響を考えます)

 

ロナルド・フィッシャーは、1925年にStatistical Methods for Research Workersを、1935 年に「実験計画法」を出版します。ランダム化試験(RCT)は、この本がスタートです。

 

アンダース・ハルドはフィッシャーを「現代統計科学の基礎をほぼ独力で築き上げた天才」と呼びました。

 

リチャード・ドーキンスはフィッシャーを「ダーウィン以来最も偉大な生物学者」と呼びました。

 

フィッシャーは、正規分布を中心とした頻度主義者で、ベイズ統計の顕著な反対者でした。

 

ベイズ統計が実用化されたのは、今世紀に入ってからです。

 

フィッシャーが、ベイズ統計の顕著な反対者であったことは、背景を考慮して評価する必要があります。

 

「実験計画法」(RCT)は、長い間、作物試験の手法と思われていました。

 

30年前、RCTは、作物試験の手法ではなく、基本的な統計学の手法であると認識されてきました。

 

RCTの基本は、サンプリングバイアスの排除です。RCTが不可能な場合には、分布を考えて、サンプリングバイアスを排除して、実験をできるだけRCTに近づける必要があります。

 

これが、エビデンスに基づく手法です。

 

エビデンスに基づく手法は、EBM(Evidence-Based Medicine、科学的根拠に基づく医療)から始まって、あらゆる分野に、普及しています。

 

「確率的および因果的推論の算法を発展させることで、人工知能に基礎的貢献をした」として、2011年のACMチューリング賞を受賞したジューディア・パールは、RCTに替わる方法はないといいます。

 

パールは、RCTを近似する方法を検討しています。

 

Association for Computing Machinery はパールの因果性についての業績について「統計学、心理学、医学、社会科学において、因果律についての理解に革命をもたらした」と評しています。

 

入門解説には以下があります。 

 

 因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか

 

著者 ジューディア・パール , ダナ・マッケンジー , 松尾豊・監修解説 , 夏目大・訳 2022 文藝春秋

 

The Book of Why: The New Science of Cause and Effect(2018)Judea Pearl,Dana Mackenzie

 

WEBをみると、アメリカの心理学科の卒業生が、学生時代にならったことが、その後の科学的根拠に基づく心理学研究の結果、ほとんど間違いで取り消されているとぼやいています。

 

エビデンスに基づく手法は、RCTのパンドラの箱を開けてしまいました。

 

橘玲氏は、テクノリバタリアンは、数学が全てであるといいますが、これは、RCTのパンドラの箱が開いて、世界が変わったという背景のもとに理解する必要があります。

 

加谷 珪一氏は、専門家のインフレの分析について次のようにいっています。

日本でも物価上昇が顕著なってきた当初、多くの専門家が原油価格の高騰など、一次産品の値上がりが原因であり、その影響は一時的なものにとどまると主張していた。教科書でいうところのコストプッシュ・インフレであり、大規模緩和策で想定していたインフレとは異なるという理屈である。

 

コストプッシュ・インフレ、ディマンドプル・インフレという言葉は、学生などが分かりやすいように教科書で用いられている分類に過ぎず、インフレというのは基本的に複合要因と考えるべきだ。

<< 引用文献

円安で国内消費は「壊滅状態」に…日本経済をぶっ壊す「スタグフレーション」のヤバい現状 2024/05/21 現代ビジネス 加谷 珪一

https://gendai.media/articles/-/130306

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これは、専門家は、原因が複数ある因果モデルが理解できていないことを意味しています。

 

専門家は、科学的な 因果推論ができないことを示しています。

 

あるテレビ番組では、最近、針治療に効果があることがわかったと説明しています。

 

EBMを使った2重盲検試験では、針治療の効果は否定されています。

 

つまり、番組で、治療に効果があるという結果を出した試験は、プラシボ効果であった可能性が高いと言えます。

 

過去にも、被験者が4名程度の試験で、実験をして、効果を論じる番組を製作していたチャンネルもあります。

 

統計学の常識では、サンプルが4つで、効果がでることはやらせ試験以外ではあり得ません。

 

最近では、欧米の大学では、Business analyticsを教えています。

 

これは、パールの因果推論の科学を実務に応用する内容です。

 

ビジネスの問題の多くは、データサイエンスの問題に置き換え、数値解をえることが可能です。

 

Business analyticsは、高等学校で、数学と統計学を学習していることを前提として、講義が進みます。

 

Business analyticsは、日本の文系では、歯が立たない可能性が高いです。

 

橘玲氏は、テクノリバタリアンを、数学オタクのように描写しています。

 

しかし、データサイエンスの基準でみれば、加谷 珪一氏の指摘のように、ずれているのは日本の専門家であって、テクノリバタリアンは、いたって普通の数学能力のように見えます。

 

RCTのパンドラの箱が開いたということを理解していない教育カリキュラムは、今後、その内容の大半が間違いであったことが判明する運命にあると思われます。

 

リベラルアーツが有害である証明(11)

18)因果と責任

 

山本理顕氏は、今回の万博における一番の問題点は「責任者が誰なのか分からない」ということであるといいます。

 

<< 引用文献

「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」2024/05/21 デイリー新潮

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/05210556/?all=1

>>

 

木村正人氏は、英国のエイズ裁判について、次のように、述べています。(筆者要約)

 

英国で1970~91年にかけ、汚染された血液製剤や輸血で3万人以上の人々がヒト免疫不全ウイルス(HIV)や肝炎に感染し、約3000人が死亡したNHS(国民保健サービス)史上最悪の医療災害で調査委員会は5月20日、5年にわたる調査の最終報告書を公表した。

 

最終報告書は「この医療災害は回避することが可能であり、回避されるべきだった。患者は故意に『容認できないリスク』にさらされた」と結論付けた。さらに英国政府、医師、NHSが感染を隠蔽しようとしたと非難した。

 

日本でも厚生省が承認した非加熱製剤にHIVが混入していたため、80年代前半に血友病患者の3割に当たる約1400人がHIVに感染した。検察の捜査が入り、96年には民事訴訟で被告企業が責任を全面的に認め和解が成立している。日本と英国の差はどこから来るのか。

 

階級社会が残る英国では司法は弱者のために機能しない。高額報酬の優秀な弁護士を雇える企業や富裕層が法廷では圧倒的に有利だ。弱者は泣き寝入りするしかない。かつて「揺りか

ごから墓場まで」の福祉国家モデルとして称賛されたNHSは神でもあり、悪魔でもある。

英国は日常生活でも政治でも公然とウソがまかり通る。正直者は損をする社会だから、自分の非は絶対に認めない。非を認めたら最後、解雇されたり、賠償を求められたりする。しかし司法の機能不全と「否定の文化」は間違いなく英国社会を衰退させている。

<< 引用文献

魔法の薬の「実験体」にされた子供たち...今も解決しない英「薬害エイズ事件」、なぜ日本と差がついた?2024/05/21 Newsweek 木村正人

https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2024/05/post-257.php

>>

 

木村正人氏の論旨は、「英国は、日本に比べて、司法の機能不全で、政治でも公然とウソがまかり通る」というように読めます。

 

しかし、山本理顕氏の指摘を並べてみると、木村正人氏の論旨には納得できないところがあります。

 

最終報告書は、「この医療災害は回避することが可能であり、回避されるべきだった」と述べています。

 

医療災害の原因は、「英国政府、医師、NHSが感染を隠蔽しようとしたこと」にあると言っています。

 

つまり、最終報告書は、因果モデルで、医療災害の原因を特定して、その責任者を名指しにしています。

 

これは、どうみても、大阪万博よりマシに見えます。

 

東京オリンピックは、赤字でした。

 

英国と同じように、東京オリンピックが、赤字になった原因を調査する委員会が活動して、最終報告書で、赤字の原因が特定されていれば、山本理顕氏の指摘はあてはまりません。



英紙の報道では被害者への補償は100億ポンド(約3兆円)にのぼると推定されています。

 

「英国政府、医師、NHSが感染を隠蔽しようとしたこと」が原因であれば、「英国政府、医師、NHS」は、100億ポンドの一部を負担する責任が生じます。

 

同様に考えれば、大阪万博が赤字であった場合には、その赤字の一部を関係者が負担する必要があります。

 

日本では、給与の一部を返納すれば、責任をとったという主張をする人がいますが、これは因果モデルを無視しているので、イベントのたびに、赤字が繰り返されます。赤字が発生すると、責任を問わずに、税金が投入されています。

 

アメリカでは、脱税は非常に重い罪になっています。これは、税収がなくなれは、国家が転覆してしまうからで、脱税は、国家転覆を試みるアナキストと同罪であると考えられています。

 

同様に考えれば、イベントのたびに、赤字が発生して、責任を問わずに、税金を投入すれば、国家が転覆しますので、脱税や、アナキストと同じレベルの犯罪が繰り返されていると言えます。

 

イベントの赤字補填がなければ、その分は、減税をすることができます。

 

欧米でも、イベントの赤字に、税金が投入されることはありますが、強い制約がかかっています。

 

モントリオールオリンピックの赤字は、モントリオール市が30年かかって、返済しています。

 

大阪府に、それだけの覚悟があるのでしょうか。

「テクノリバタリアン」を読む(5)トロッコ問題バージョン3

(トロッコの問題の派生形を考えます)

 

ロッコ問題のバージョン2(p.148)は以下です。

 

猛スピードで線路を走っているトロッコが制御不能になり、このままでは作業中の5人が轢き殺されてしまう。

 

このときたまたま、あなたは線路の上の歩道橋におり、横に太った男がいた。その男を線路に突き落せばトロッコは止まり、5人の作業員は助かる。このときあなたは、太った男を犠牲にして5人を救うべきか。

 

ロッコ問題のバージョン3を定義します。

 

猛スピードで線路を走っているトロッコが制御不能になり、このままでは作業中の5人が轢き殺されてしまう。

 

線路の直線方向に5人が、切り替え方向には誰もいません。何もしなければ、5人が死亡し、ポイントの切り替えをすれば、誰も死にません。

 

目の前に、このポイントの切り替えスイッチを操作するオペレーターがいます。

 

あなたは、このオペレーターに、ポイントの切り替えをするように説得を試みました。

 

しかし、オペレーターは頭が悪くて(数学ができないので)、ポイントの切り替えを拒んでいます。

 

このままでは、5人が死んでしまいます。

 

あなたは、この状況を放置すべきでしょうか。

 

それとも、オペレーター1人をなぐって殺して、ポイントを切り替えて5人の命を助けるべきでしょうか。

 

人を殺せば、殺人罪になります。

 

第1に、数学問題としては、死亡する人の数の問題です。

 

この数量化されたモデルでは、バージョンの違いはモデルに反映されません。

 

ただし、死亡する人の数以外を取り扱う数学があります。

 

これは、統計的因果モデルに重要になる介入の概念です。

 

観測されたデータの値が同じであっても、そのデータの属性値に、介入のありと、介入のなしのフラグを付けて、データを区別すべきであるというアイデアです。

 

この場合には、1人の死亡データは介入ありの属性が、5人の死亡データには介入なしの属性がつきます。

 

殺人罪は、介入ありのデータに対して成立します。

 

死亡する人数のデータに、介入属性がついた場合、功利主義では、この属性の処理が問題になります。

 

2024年時点では、この属性に関する問題は、功利主義では、まだ、未解決です。

 

頭が悪いオペレーターが為政者で、死亡する5人が貧困者であれば、これは、革命や、アナキズムを認めるかという問題になります。ポイントの切り替えは、統治システムの変更に相当します。

 

テクノリバタリアンは、トロッコ問題は、アナキズム問題に繋がっていることを知っています。

 

過去の歴史を振り返れば、アナキズムは、大きな問題を生み出しました。

 

アナキズムを受け入れる社会はないと思われます。

 

テクノリバタリアンは、アナキズムを回避した功利主義を目指します。

 

これが、テクノリバタリアンが、国家を越えたスケールで問題解決を試みる理由と思われます。

 

なお、バージョン3で「オペレーター1人をなぐって」ても、オペレータは死なないこともあります。その場合には、犠牲者は、ゼロになります。

 

バージョン2で「横に太った男を線路に突き落し」ても、トロッコは止まらず、合計6人が犠牲になる可能性があります。

 

バージョン1では、あなたは、ポイントの切り替えを操作しますが、ポイントの切り替え器が故障して、ポイントが切り替わらない故障確率もあります。

 

確率モデルを使えば、文章では曖昧なこの部分を正確に表現できます。

 

また、トロッコ問題では、あなたが、「猛スピードで線路を走っているトロッコが制御不能」という情報をどのように入手して、その情報の信頼性はどの程度かという観測の問題が無視されています。

 

アパートの隣の部屋で、殺人事件があっても、あなたは殺人罪に問われることはありません。

 

しかし、ヒッチコックの裏窓のように、殺人を見てしまった場合には、あなたと殺人事件の間には、関係が生まれます。

 

あなたが、警察か救急に通報すれば、被害者が死亡しない確率が高くなるので、あなたには道義的な責任が生じます。

 

ロッコ問題で問われているのは、道義的な責任の範囲であると考えれば、全く違った数学モデルができます。

 

いずれにしても、テクノリバタリアンは、曖昧な文章で考えることに、うんざりしていると思います。

 

2024年5月のウクライナ情勢

5月に入って、ウクライナ情勢が大きく動いています。

 

5月19日の情報はありませんが、18日までの情報を、元の発表日の時間に沿って、ピックアップしてみました。

 

留意点は、3つです。

 

(1)情報量

 

情報量は、CNNが他を圧倒しています。日本の新聞を読むのは時間の無駄に思われます。

 

(2)分析記事

 

日本の新聞でも、論説がのることはありますが、これは、提案のようなものです。

 

日本のマスコミでは、情報分析は、専門家に丸投げして、専門家の意見を引用するだけです。

 

米国は10日、防空装備やその他武器を含む4億ドル(約623億円)規模の支援策を発表した。

 

ロシアとしては、追加支援が来る前に、戦局をできるだけ有利に進めるインセンティブがあります。

 

同じ兵器と兵力を投入するのであれば、追加支援が来る前が、追加支援のあとより有利になると思われます。

 

ロシアが5月に兵力を集中投入した場合に、ウクライナがどこまで耐えられるかが課題になります。

 

今回のポイントは、「ウクライナ、ロシアの越境攻撃で弱点露呈 最も過酷な1カ月に 2024//05/13 CNN ティム・リスター」です。CNNのティム・リスター氏は、状況分析をしています。

 

リスター氏の結論は、以下です。

ロシアは前々から準備を進め、今それを利用している。米国の行動の遅さ、それによって今直面しているジレンマのため、ウクライナは厳しい決断を迫られるかもしれない。

 

そうした決断で、時間を稼ぐために領地を手放すことになるかもしれない。結果として、失った領地の大半が奪還できない可能性を受け入れることになるかもしれない。

つまり、ウクライナは部分的に敗退するリスクは無視できないといいます。

 

BBCは、次のように言っています

ウクライナ軍の報道官は、ハルキウ州の2地域から「より有利な位置」に部隊を移動したと説明した。

 

ウクライナはこの2年間の戦争で、撤退を意味する場合にこうした表現を使っている。

 

これは、太平洋戦争の時の、日本軍が、徹底と言わずに、転進といったことに対応しています。

 

戦況は太平洋戦争並みになっているかもしれません。

 

3)報道の信頼性

 

日本のマスコミは、タス通信やロシア軍の発表情報をそのまま、伝えています。

 

日本のマスコミは、タス通信が、発表したということが事実であれば、発表の内容のファクトチェックは不要であるという立場です。

 

もちろん、これは、日本だけのローカルルールです。

 

英米のマスコミは、報道内容のクロスチェックをします。

 

クロスチェックが出来なかった場合には、記事の掲載を見送るか、記事の内容に確認がとれていないという但し書き付きの記事にします。

 

「発表したということが事実であれば、発表の内容のファクトチェックは不要であるという立場」は、読者の利便性を無視しています。このような役に立たない情報に対して、購読料を払う人がいなくなるのは当然です。記事の品質は、無料のロイターや、CNN以下ですから。

 

政治資金規正法を改正する自民党案について、岸田総理大臣は17日の参議院本会議で「政治とカネの問題に対する抜本的解決策だ」と述べ、「実効性ある再発防止策だ」と強調しました。

 

日本のマスコミは、岸田総理大臣の発言の「政治とカネの問題に対する抜本的解決策だ」と「実効性ある再発防止策だ」をそのまま記事にしています。

 

政治資金規正法の改正が、「実効性ある再発防止策」でない場合には、この記事はフェイクになります。

 

英米のマスコミには、タス通信は、ほとんど出てきません。

 

これは、内容の確認ができていないためと思われます。

 

以下に、要点と出典を並べます。



5月18日

カボリ北大西洋条約機構NATO欧州連合軍最高司令官は18日までに、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ北東部ハルキウ州の戦況に触れ、「戦略的な打開」を得るのに必要な兵員をロシア軍は保持していないとの見方を示した。

 

ただ、ロシア軍は「局地的な前進」は果たしていることは認めた。

<< 引用文献

ロシア軍、ハルキウ州で「戦略的打開」可能な兵員なし NATO2024/05/18 CNN

https://www.cnn.co.jp/world/35219075.html

>>

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は土曜日、前線の現状は「厳しい」と認め、 最近のウクライナの戦場での挫折は「十分に行動していない全員」のせいだと述べた。

 

クレバ氏は、エストニアのタリンで開催されたレナート・メリ会議でビデオ会議を通じて、「皆さんに感謝しているが、十分な努力をしていない皆さんを責める」と語った。同氏は、ロシア軍がそれを利用してウクライナへさらに進軍することができた援助の遅れについて、米国に責任があると考えるかについてのCNNのジム・シュット氏の質問に答えた。

 

クレバ氏のコメントは、ロシア政府がウクライナ北部での攻勢を強化した後に出た。先週、同国は 2年間の戦争で最も驚くべき作戦を開始し 、北部国境を越えて国内で2番目に人口の多い都市ハリコフを占領する新たな試みを行った。

 

ハリコフ州北部のボフチャンスク市は、周囲の村々を制圧すると主張するロシア軍の猛攻撃にさらされており、民間人は避難を余儀なくされている。

 

クレバ氏は前線におけるウクライナの現在の立場を「厳しい」と評した。

<< 引用文献

ウクライナ外相、戦場での挫折は「十分な努力をしていない全員」のせいだと非難 

Ukraine’s foreign minister blames battlefield setbacks on ‘everyone who is not doing enough’ 2024/05/18 CNN

https://edition.cnn.com/2024/05/18/europe/ukraine-kuleba-aid-battlefield-setbacks-intl/index.html

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5月17日

 

ウクライナの当局者は17日、ロシア軍が国境の町ボウチャンスクの民間人数十人を拘束したと明らかにした。地元警察トップは、ロシアが住民を「人間の盾」に利用しているとの非難を展開している。

 

ロシア軍が国境の町の住民拘束、「人間の盾」に利用 ウクライナ当局者 2024/05/18 CNN

https://www.cnn.co.jp/world/35219078.html



ウクライナ軍のシルスキー総司令官は17日、ロシアが地上侵攻している北東部ハリコフ州の前線で「激しい戦闘」が迫っていると警告した。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ロシア軍がハリコフ州の一部地域で10キロ進軍したと認めた。

<< 引用文献

北東部ハリコフ州「激しい戦闘」迫る、ウクライナ軍総司令官が警告 2024/05/18 ロイター

https://jp.reuters.com/world/ukraine/WPYXIFWR7RIC7FCE5U4WNERFMU-2024-05-17/



ロシア国防省ハルキウ州で12集落掌握」発表…ゼレンスキー氏、露の作戦は「第1波」の見解  2024/05/18 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/world/20240518-OYT1T50126/

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5月16日

ウクライナは、北東部ハルキウ州のロシアとの国境地帯にあるいくつかの村から部隊を撤退させた。ウクライナ軍が15日までに発表した。一帯ではロシア軍が攻撃を続けている。

 

ウクライナ軍の報道官は、兵士たちが激しい攻撃を受けたとし、「命を守り、損失を避ける」ため、ハルキウ州のルキャンツィ、ヴォヴチャンスクの2地域から「より有利な位置」に部隊を移動したと説明した。

 

ウクライナはこの2年間の戦争で、撤退を意味する場合にこうした表現を使っている。

<< 引用文献

ウクライナ軍、ハルキウ州の一部から撤退 ロシア軍の越境攻撃続 2024/05/16 BBC

https://www.bbc.com/japanese/articles/c8vzvl4eedzo

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ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ロシア軍の激しい攻勢を受けている北東部ハルキウ州を視察し、軍高官らから戦況報告を受けた。ゼレンスキー氏は「極めて困難」な状況であるとの認識を示し、部隊を増強していることも明らかにした。

<< 引用文献

ゼレンスキー大統領、ハルキウ州を視察 「極めて困難な状況」2024/05/17 CNN

https://www.cnn.co.jp/world/35219015.html

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5月15日

ゼレンスキー大統領は今後数日間に予定していた外遊をすべて延期した。大統領府が15日に発表した。

<< 引用文献

ゼレンスキー大統領、外遊予定をすべて延期 ロシアの攻勢強まる 2024/05/15 CNN

https://www.cnn.co.jp/world/35218967.html

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ブリンケン米国務長官は15日、訪問先のウクライナの首都キーウで、対外軍事融資として同国向けに追加で20億ドル(約3100億円)を拠出すると発表した。また、待ち望まれている武器や弾薬を急いで前線に輸送中だと明らかにした。

<< 引用文献

米、ウクライナに3100億円の追加軍事支援 2024/05/16 CNN

https://www.cnn.co.jp/usa/35218975.html

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5月13日

ウクライナにとって、5月は今までで最も過酷な1カ月となりつつある。

 

専門家の意見では、ドネツク州チャシブヤールのウクライナ軍の兵力はロシア軍の10分の1の可能性がある。砲弾の数も慢性的に不足し、空からの防衛はゼロだ。

 

米国は10日、防空装備やその他武器を含む4億ドル(約623億円)規模の支援策を発表したが、それをはるかに超える量が必要になるだろう。

 

ゼレンスキー氏は先週、追加支援が到着したあかつきには「東部で(ロシア軍を)止めることができる」と断言した。だが、「現地の状況が非常に厳しい」ことも認め、現時点までに届いた支援は「議会で可決された量には達していない」と主張した。

 

ロシアは軍事支援の中断に備えていたとバロン氏は言う。「ここ最近のロシアの前進は、単なる日和見主義によるものではない。ロシアは前々から準備を進め、今それを利用している。米国の行動の遅さ、それによって今直面しているジレンマのため、ウクライナは厳しい決断を迫られるかもしれない」

 

そうした決断で、時間を稼ぐために領地を手放すことになるかもしれない。結果として、失った領地の大半が奪還できない可能性を受け入れることになるかもしれない。

<< 引用文献

ウクライナ、ロシアの越境攻撃で弱点露呈 最も過酷な1カ月に 2024//05/13 CNN ティム・リスター

https://www.cnn.co.jp/world/35218850.html

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5月10日

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領が17日、首都キーウでAFPの独占インタビューに応じた。

 

ロシア軍はこれまで数か月にわたってわずかに前進したのみだったが、10日にハルキウ(Kharkiv)州で新たな攻撃を開始して以来、過去1年半で最大の占領地拡大を達成した。

<< 引用文献

ウクライナ大統領、北東部でのロシア攻勢を警告 2024/05/19 AFP

https://www.afpbb.com/articles/-/3520073?cx_part=theme-latest

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つくばローズガーデンつくば市とその周辺の風景写真案内(1272)

つくばローズガーデンのバラです。

 

 

写真1 つくばローズガーデン

 

 

写真2 つくばローズガーデン

 

 

写真3 つくばオーズガーデン(クレマチス