科学的方法の進化論(2)

(2)わかるということ

 

(Q:わかるとわからないの判別ができますか)

 

1)生成AIの理解

 

霞ヶ浦総合公園の面積を調べたところ、ネットでは、460ha、46ha、33ha、10.5haの4つの数字が見つかりました。

 

460haは、ゼロの数え間違いと思われますが、残りの3つを絞り込むのは容易ではありません。

 

そこで、Bing先生に聞いたところ、46haでした。引用文献は、46haの数字が乗っているHPでしたので、これでは、当てにできません。

 

これから、Bingは、クロスチェックをかけていないことがわかります。

 

そこで、Bingに、クロスチェックをかけてと聞いたところ、今度は460haになりました。

 

Bingは、上手使わないとクロスチェックはかけられないようです。

 

結局、地理院地図を使って、面積を計測した結果、30haだったので、33haに落ち着きました。

 

引用するだけでは、理解していないことがわかります。

 

2)数学と物理学の試験

 

数学と物理の試験では、公式を書いても点数はもらえません。

 

求まられているのは、公式を暗記する能力ではなく、公式を使いこなす能力だからです。

 

この考え方を徹底すれば、試験問題の最後のページに、参考資料として、公式集をつければ良いはずですが、残念ながら、そこまで、徹底はしていません。

 

つまり、現状は、理解が中心とはいえ、中途半端に、暗記を求めています。

 

数学や物理学の教科書を書くことは容易ではありません。

 

同じ教科の2冊の教科書を持ってきて、比べた場合、文章であれば、一字一句が同じになることはありません。それでは、盗作になってしまいます。

 

しかし、公式(数式)は、全く同じです。

 

一般には、生成AIのような、丸ごとコピーは良くないのですが、公式は、丸ごとコピーせざるをえません。

 

数式の入っていない文章で書かれた教科書であれば、文章を読めは、分かり易い教科書とわかりにくい教科書があることが簡単に理解できます。

 

執筆者がどこまで、内容を理解しているかを判断することは難しいですが、執筆者が、分かり易い教科書を書く能力がどの程度あるかは判断できます。

 

それでは、公式や数式の多い教科書の執筆者の理解度と分かり易く書く能力は、判断できるでしょうあ。

 

これは、複数の教科書を比べ読みしてみるしかありません。

 

公式そのものは、どの教科書でも丸ごとコピーであることには、変わりはありません。

 

違いは、公式の前後の解説、理解を促進するための演習問題の選択などにあります。

 

大学で、教科書を読んで理解できなかった時には、自分はよほど頭が悪いのだろうと思っていました。

 

しかし卒業後に、複数の教科書の読み比べをすると、数学や物理学の教科書の50%は、執筆者が理解していないコピペ教科書で、読んでもわからないのは当然だと考えるようになりました。

 

これは、中学校と高等学校の数学と物理学の教科書にも当てはまます。中学校と高等学校の教科書は、チームで作成していまので、さすがに、一冊丸ごとお薦めできないことはありませんが、20から30%の部分では、改善の余地があると感じています。

 

さて、話を大学の数学と物理学の教科書に戻します。

 

ここで、読んでもわからない教科書と、丁寧に読めばわかるように書かれている教科書の判別は、演習問題を解けるようになるか否かで行っています。

 

つまち、公式に、実際の数値を代入して、問題を解けることを、理解の判断基準にしています。

 

このタイプの典型は、数学と物理学ですが、演習問題を解くように「理解とは、公式に、実際の数値を代入して、問題を解けること」という基準は自然科学に共通しています。

 

その理由は、自然科学はエビデンスによる検証によって、公式が作られているからです。

 

インスタンスをあつめて、共通項をオブジェクトにしたものが公式になります。

 

3)人文科学の理解

 

生成AIが引用文献を部分的にコピーしても、生成AIが中身を理解できているとは思えません。

 

それでは、人文科学で、理解できているとはどのような状態を指すのでしょうか。

 

パースのThe fixation of beliefを解説している本やHPがあります。アクセスしやすいのは、HPで、検索すれば、解説を見ることができます。

 

「信念の固め方」、「信念の固定化」、「信念の確立」などいった訳が多いです。

 

「納得に至る方法」と書いている人もいて、こちらの訳はこなれています。

 

The fixation of beliefを公式とみなします。

 

そうすると、これは、オブジェクト beliefにメソッドfixationを適用する話になります。

 

The fixation of belief公式を使いこなす(理解できている)とは、オブジェクト beliefと、メソッドfixationが理解できていて、実際に公式に適用できることになります。

 

The fixation of beliefで、パースは自然科学の方法の一般化を目指しています。

 

そうすると、beliefは、ケプラーの法則ニュートンの法則も含んでいることになります。

 

beliefは、日本語の信念ではありません。敢えて日本語にするのであれば、ブリーフとカタカナ表記にするしか方法がありません。

 

パースは、科学的方法を出来るだけ広く一般化することを目論んで、The fixation of beliefを書いています。科学的方法とは、 fixationに第4の科学的方法が利用可能であれば、すべて科学的方法になります。科学的方法の適用対象を最大限に大きくとるのであれば、メソッド fixationで、第4の科学的方法が利用可能は全てのオブジェクトを対象にすべきです。

 

したがって、筆者は、beliefは、メソッド fixationが利用可能な全てのオブジェクトを表わしていると思います。

 

こう考える、The fixation of beliefを理解するとは、The fixation of beliefが実装できればよいことになります。

 

4)The fixation of beliefの実装

 

4-1)belief=ソフトウェア

 

ソフトウェア開発をする場合に、事前に完全な仕様書を作り、指示通りに開発をする方法は、第2の権威のよる方法(一方的な作業命令の流れ)に対応しています。

 

オブジェクトの特性を無視して、データとアルゴリズムを完全独立に設計する関数プログラミングは、汎用性は高いですが、オブジェクトとの乖離を招きやすく、デバッグが困難になります。これは、第3の形而上学による(論理的正統性による)方法に対応しています。

 

オブジェクトとメソッドか切り離せないと考えるのは、言葉は、オブジェクトを直接は使えずインスタンスを通じてしか取り扱えない点に対応します。

 

第4の科学的方法は、パースが、The fixation of beliefを書いた時点では、実体が殆どありませんでした。

例えば、マイクロソフトのグレイの第4のパラダイムで言えば、第3のパラダイムの計算科学も、第4のパラダイムのデータサイエンスもありませんでした。

 

パラメータを完全に制御できる実験が不可能な分野で、利用可能な唯一の手法であるRCTと、それに基づく、エビデンスべースアプローチもありませんでした。

 

従って、パースの第4の科学的方法の部分は、虫食い原稿のように考えて、新しい知見を加えて、解釈し直しながらよむべきです。

 

その情報が少ない中で、パースが提示した条件は次になります。

 

(1)言葉の不完全を前提にして、検証を行う。

(2)科学的な真理は常に更新されて、改善するプロセスを含む。

 

「言葉の不完全を前提」にする部分は、関数プログラミングに対するオブジェクト指向に対応しています。

「科学的な真理は常に更新されて、改善するプロセスを含む」は、アジャイル開発につながっています。もちろん、パースの時代には、コンピュータはありませんでしたので、The fixation of beliefがそのまま使える訳ではありません。

 

しかし、The fixation of beliefは、集団でのbeliefを問題にしています。

 

これは、言葉は集団の中でしか意味をもたないと考えるからです。

 

また、集団のなかで、 beliefが収束していくというアイデアは、アジャイル開発に共通しています。アジャイル開発は、PDCAに似ていますが、自己組織的なチームが対話の中で方向性・仮説を見出します。変化を伴いながら、 beliefを収束させるのは、一見すると矛盾していますが、言語の不完全性を前提にすれば、すり合わせの余地がでてきます。

 

アメリカでは、パースは、哲学以外の専門家が研究しています。

 

それは、行き詰ったときに、パースを参考にするとブレークスルーが見つかるからだと思われます。

 

4-2)政策=belief

 

次に実施する政策になに選ぶかでも、The fixation of beliefは使えます。

 

4-3)企業の経営方針=belief

 

企業の経営方針の決定にも、The fixation of beliefは使えます。

 

まだまだありますが、問題は、科学の進歩によって、利用可能なメソッドが劇的に拡大しています。

 

例えば、企業はABテストをする場合も、The fixation of beliefに、従っていると言えます。



5)A:わかるとわからないの判別

 

公式をオブジェクト+メソッドであると考えれば、インスタンスを実装できて初めて、わかっていると言えると考えます。

 

この基準でみると、実装を伴わない人文科学は、アウトになります。

 

実装を伴わない人文科学には、(自然科学でいう)理解が存在しないことになります。

 

The fixation of beliefは、第2の方法で権威を、第3の方法で、実証を伴わない形而上学を批判して、無力であると断じています。

 

つまり、The fixation of beliefは、実証を伴わない人文科学批判になっています。

 

そう考えると、The fixation of beliefは、人文科学としてではなく、自然科学として読まれるべき論文であると考えます。

ソリューション・デザイン(32)

(32)ルーツをたどる方法

 

(Q:探求の方法を知っていますか)

 

1)パースの解釈をめぐって

 

パースは、2層構造の科学を想定していました。

 

パースは、その時代の言語を使って、科学的方法を一般化する方法を記述しました。パースは、科学的方法に見られるように、言語による記述は不完全なものだろうと考えました。記述の内容は、実験の可能な科学であれば、実験による検証を必要とします。

 

実験の不可能な対象であれば、記述の内容は、実際に、内容を使った実世界への介入を行い、その結果で判断すべきだと主張しました。筆者は、パースは、常に、科学的方法を一般化する手順を考えていたことを前提に、パースを解釈すべきと考えます。

 

ここで問題になるのは、訓詁学と原典主義です。パースは、異常な才能の持ち主で、膨大な量の原稿を残して死にました。パースの業績を専門に分析している人もいますが、一生かかっても、分析できません。

 

パースのプラグマティズムはオブジェクトです。

 

パースは、プラグマティズムを実装するインスタンスとして、論文を書きました。

 

インスタンスとしての論文は、その時代に利用可な言語が知識に左右されます。

 

パースの時代には、RCT(ランダム化試験)も、機会学習もありませんでしたので、パースの論文には、これらを使った説明は出てきません。

 

筆者は、RCT(ランダム化試験)と機会学習を考慮して、プラグマティズムの新しいインスタンス(論文)を実装することがパースの期待していた科学的方法を一般化する手順であるプラグマティズムにふさわしい対応であると考えます。

これは、パースの論文を科学的文化で理解するアプローチです。

 

その対極にあるのが、原典主義と訓詁学の人文的文化のアプローチです。

 

次の例文は、あるパースの説明の一部です。

 

<==

 

パースによれば、観念の意味は「その観念の意味が真であることから必然的に帰結すると考えられる実際的な結果」にある。

 

==>

 

これは、機械翻訳の結果ではなく、日本語で書かれた文章です。

 

筆者には、この文章は理解できません。ここまでひどくはありませんが、パースの論文の文言を問題にした人文的文化の論文は多数ありますが、インスタンスの更新を問題にする科学的文化の論文は少ないです。

 

さて、科学的な方法を一般化する場合、次の2つのステップが問題になります。

 

(1)仮説を見つける方法

(2)仮説を検証する方法

 

一般化された仮説の名称のつけ方は難しいです。

その理由は次があります。

 

ブログを書いていてもわかりますが、書いて考えていくうちに、概念を表わす用語の使用法は変化します。使っているうちに、より適切な表現に気付くからです。1つの用語が途中で2つに分解することもありますし、その逆も起こります。ですから、パースも用語を厳密に使い分けていない可能性が高いと考えます。

 

とりあえず、仮説をブリーフにおきかえると次になります。

 

(1)ブリーフを探求する方法

(2)ブリーフをフィックスする方法 fixation

 

自然科学では、(1)は、あまり、論じられません。ニュートンの林檎の木だったり、セレンディピティserendipity)が問題になる程度です。

 

自然科学の方法を一般化するのであれば、(1)は、無視できるはずです。

 

パースが、(1)を入れたかった理由は、(1)は、哲学を一般化しているためです。

 

(1)を入れることで、パースは、既存の哲学に対して問題提起をしています。

 

2)問題解決のルーツ探索の例(A:探求の方法を知っていますか)

 

前書きが長くなりましたが、今回とりあげたい事項は問題解決のルーツをさぐる方法です。

 

これは、「(1)ブリーフを探求する方法」の一部になるはずです。

 

日本の大学の定員は、文系が多く、理系でも、データサイエンスなどデジタル社会に対応した定員は少ないです。

 

大学以前に高等学校の文系と理系という(科学)前時代のレガシーを抱えています。

 

大学の定員では、GDPの1%未満の農業に対応した農学部の定員が多すぎると批判する人もいます。

 

農学部の定員が多すぎる」ことは問題かもしれません。

 

農学部の定員が多すぎる」(原因)と、IT人材が増えない(結果)ので、デジタル立国が遅れることになります。

 

その指摘は正しいと思いますが、「農学部の定員が多すぎる」(結果)になった原因を変えなければ、変化は起こりません。

 

因果モデルは、(原因=>結果)の繰り返しですので、因果モデルのよりルーツを探求することで、問題解決が出来る可能性があります。



筆者は、「農学部の定員が多すぎる」(結果)は、「農学部の教員として働くことが収入を最大化する機会である」(原因)によって引き起こされていると考えます。

 

ハル・ヴァリアン氏は、大学の教員をやめて、Googleの幹部になりましたが、転職によって収入が増えたと思います。

 

同様に、農学部の教員をやめて、転職した方が収入が増えれば、農学部の教員は減ります。

 

農学部の卒業生の初任給が、データサイエンス学部の卒業生の初任給より低くなれば、農学分に学生が集まらなくなるので、農学部の学生数が減ります。

 

これが、ジョブ型雇用をおこなっている欧米で起こっていることです。

 

企業は、年功型雇用を維持し、大学卒業資格があれば、学部と学科の専門や成績にかかわりなく、一律の初任給を提示します。これは、科学的な方法に反するドキュメンタリズムです。

 

文部科学省は、大学のデータサイエンス関連学科の定員増を認めましたが、年功型雇用に手をつける予定はありません。

 

文部科学省は、指導要領では、探求の学習を勧めていますが、政策では、探求の方法をつかっていません。

 

楽天は2011年に経団連を脱退しました。三木谷浩史氏は2012年、新経済連盟を発足させています。

 

三木谷浩史氏は次のように言っています。

 

経団連は日本企業の護送船団方式を擁護し、これが世の中の共通認識だとカムフラージュするために作られた団体なんですね」

 

「日本企業の護送船団方式」は、年功型雇用と天下りの受け入れで構成されるドキュメンタリズムです。

 

経団連」と「新経済連盟」の2分法で考えるのはバイナリーバイアスです。

 

2018年5月から3年間、経団連会長だった中西宏明氏(日立製作所会長)は、日本型雇用システムの限界を打ち出し、デジタル敗戦からの巻き返しに向けた組織内の構造転換を進めようとしていました。

 

中西氏は、2018年にデジタル省構想を出していますが、実現したデジタル庁は骨抜きになったように見えます。少なくとも、他省庁と対等に渡りあえる省ではありませんでした。

 

楽天が脱退した2011年の経団連と2023年の経団連は同じではありません。

 

したがって、バイナリーバイアスには注意する必要があります。

 

とはいえ、2023年にも、経団連は、春闘を維持して、ジョブ型雇用は進んでいません。

 

中西氏の日立製作所並みに、ジョブ型雇用を徹底している企業は、経団連では少数に止まります。中西氏が亡くなってから、経団連の変化速度は下がっているように感じられます。

 

まともなジョブ型雇用がなければ、高度人材の流出は止まりません。

 

ジョブ型雇用は、人材評価ができないと成立しません。

 

楽天スマホビジネスの状況は良いとは言えません。

 

楽天スマホビジネスがいきずまった場合、年功型雇用であれば、「日本企業の護送船団方式」を抜け出してリスクをとった三木谷氏の評価は低くなります。

 

一方、楽天スマホビジネスがいきづまっても、正しく間違えたのであれば、三木谷氏の評価は高くなります。

 

三木谷氏をヘッドハントする人がいるはずです。

 

これが、事実上破綻したクレディ・スイス働いていた人をヘッドハントする論理です。

 

ジョブ型雇用をするためには、このような科学的な人材評価ができる必要があり、高いハードルがあるので、人文的文化ではクリアーできません。

 

補足1:

 

特定の個人の話を引用するのは気がひけるのですが、筆者は、探求の学習とは、正解を記憶することではなく、正しい間違え方の科学的な方法の習得であると考えていますので、三木谷浩史氏の話を引用しておきます。(以下筆者の要約)

 

<==

 

 三木谷浩史は、少年時代は勉強をまったくしなかった。したがって成績は悪かった。しかし父も、母ものびのびと育てることを心がけ、気にかけなかった。

 

一橋大学を卒業し、日本興業銀行に入行、同期中最速でハーバード大学に留学し、MBAを取得。30歳で興銀を退職し、新卒の大学生を従業員にしてたった二人で起業し、わずか5年後にはアメリカの経済誌『フォーチュン』で世界の若手富豪ランキング6位に入るほどの成功を収めた。

 

 どこから見てもエリートそのものだ。

 

 三木谷氏が少年時代は勉強できなかったと言っても、妻は信じなかった。

 

そこで、三木谷氏は母に頼んで、小学校から高校までの通信簿を送ってもらって点検した。

 

 小学校1年生から6年生までの間、5段階評価でいうと彼の成績表を埋めているのは2と3ばかりで、5はひとつもなかった。中学校の通信簿も2と3ばかり。それが高校2年生まで続いた。

 

 欠席日数も28日、21日、33日、という具合であった。

 

それを見て、妻もさすがに啞然とした。

 

==>

 

筆者は、正解を記憶しない探求の学習の求めている教育は、従来の評価では、三木谷氏の成績になると思います。

 

補足2:

 

成果主義は結果主義ではありません。

 

日本の高度経済成長も、企業経営がよかったというより、朝鮮戦争ベトナム戦争に助けられ、中国の毛沢東が大躍進と文化大革命で失政したことに助けられた可能性が高いです。

 

つまり、年功型雇用が行動経済成長に寄与したというエビデンスはありません。

 

むしろ、日本人の若者が鎖国的な発想になった点が問題と思われます。

 

第一生命保険は2023年3月16日、将来なりたい職業の2022年度のランキングを発表しました。首位は小中高生の男子、中高生の女子が「会社員」でした。

 

海外に留学しても、その専門性を評価して働けるジョブ型雇用のポストはありません。例えば、同じ米国の大学のビジネススクールの卒業生をみれば、日本で働く場合の給与は、発展途上国以下です。

 

2023年3月には、次のような不正が報告されています。

 

 川崎重工業神戸市中央区)は24日、子会社の川重冷熱工業(大阪市)がビルなどの空調システム用に製造販売した冷凍機の検査不正に絡み、新たに204件の不正が見つかったと発表しています

 

三菱重工業は24日、子会社の重環オペレーション(長崎市)が運転業務を受託している福島県いわき市の北部清掃センターで、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度の測定データを改ざんし、いわき市に提出していたと発表しています。

 

豊田自動織機は17日、フォークリフト用エンジンについて、排ガス性能試験で不正があったと発表しています。



島津製作所は22日、中期経営計画のガバナンス(企業統治)強化策を発表しました。昨年、子会社の島津メディカルシステムズ(大阪市)がエックス線撮影装置の故障を偽装した問題を受けた措置で、グループ内の監視を強化し、不正を防ぐ体制の構築を目指すといいます。山本靖則社長は「創業以来、最大のコンプライアンス(法令順守)問題で、性悪説に立ってでもモニタリングを徹底的に強化しないといけない」と述べています。

 

しかし、評価を結果主義におく限り、同様な不正はなくならないと思います。

 

これだけ不正が多いということは、不正が企業文化になっている考えられます。

 

その実態は、検査結果の文書が優先するドキュメンタリズムにあります。

 

背景には、科学的な2層構造への無理解があります。「モニタリングを強化」すれば、より不正が表面化しにくくなるので、事故が発生した場合の被害は甚大になってしまいます。

 

今後、日野自動車と同じような、大規模不正が発覚する可能性が高くなっています。

 

評価を性能試験の合格ではなく、手順の順守に切り替える必要があります。性能をオーバーした検査結果を報告すれば、評価されるような企業文化(科学的な企業文化)が必要です。



引用文献

 

通信簿はほとんど2か3。世間のイメージとまったく違う三木谷浩史  2018/20/17 幻冬舎Plus山川健一

https://www.gentosha.jp/article/9718/

茗溪学園前の桜~つくば市とその周辺の風景写真案内(1011)

茗溪学園気象研究所の間の通りの桜です。

 

同じ通りには、東小学校、東児童館、谷田部東中学校があり、赤塚公園の北の端にもなっています。

 

茗溪学園前の桜

 

ETTRとHDR(9)

(9)オリンパス(1)

 

露光を標準グレーからずらす、あるいは、ダイナミックレンジを拡張する機能の続きです。

 

オリンパスの自動露光補正が複雑で、手間取ってしまいました。

 

1)階調オート

階調の自動設定は、SAT(シャドー・アジャストメント・テクノロジー)とも呼ばれていましたが、「階調オート」と呼ばれることが多いです。

 

階調の設定には、次の4種類があります。

 

(1)階調標準(階調Normal)

(2)階調オート(階調Auto)

(3)階調ローキー(階調Low)

(4)階調ハイキー(階調High)

 

ややこしいのは、階調の設定は、ピクチャーモードのピクチャースタイルの下にぶらさがっていることです。

 

ピクチャーモードは、フジフィルムでいえば、フィルムシミュレーションになると思いますが、フジフィルムでは、ダイナミックレンジ拡張は、フィルムシミュレーションとは独立しています。

 

オリンパスでは、階調の設定は、ピクチャーモードの一部で、ピクチャーの設定毎に、階調の設定を変えることができます。

 

これは、フジフィルムであれば、プロビアでは、ダイナミックレンジを100%に、アスティアであれば、ダイナミックレンジを200%に設定するイメージです。

 

「(1)階調標準」は、RAWには影響しません。

「(2)階調オート」は、自動的に、「(1)階調標準」、「(3)階調ローキー」、「(4)階調ハイキー」を切り替える気もしますが、そうはなっていません。これもRAWには影響しません。

 

「(3)階調ローキー」は、露光をさげるので、RAWに影響します。

「(4)階調ハイキー」は、露光をあげるので、RAWに影響します。

 

この2つは注意が必要ですが、RAW撮影で、あえて積極的に使うメリットはありません。

 

ところで、階調オート以前の問題として、オリンパスの「(1)階調標準」は、標準グレーではないことに注意する必要があります。RAWでの撮影では露光を標準グレーより低めに設定して、RAW現像時点で、その差を持ち上げて補正しています。この方法をとると、同じMFTでは、パナソニックに比べて、白飛びしなくなりますが、暗所ノイズが増えてしまいます。

 

筆者は、白飛びが怖いので、標準露光をー0.7EV 下げて撮影することが多いのですが、この方法は、パナソニイックでは正解ですが、オリンパスでは、間違いのようで、ISO200でも、暗所を持ち上げると、盛大なノイズが出てしまいます。

 

問題は、AWでの撮影では露光を標準グレーより低めに設定しても、カメラのモニターにでるヒストグラムは補正後のJpegヒストグラムであるため、そのことが確認できないことです。

 

オリンパスのカメラで、 RAW画像をETTRにすると、カメラのモニターのヒストグラムでは、右端が切れる状態になるようです。その偏差量はー1EV 弱のようです。

 

したがって、オリンパスのカメラでETTRにするは、標準露光を下げるのでなく、上げて使う必要があります。

 

2)HDR

 

オリンパスは、例外的にHDRでも、RAW保存できます。

 

HDRの説明は以下です。

<==

1回の撮影で自動的に露出を変えながら複数枚の撮影をしてカメラ内で合成した画像を生成します。[HDR1]にすると自然な風合いの仕上がりに、[HDR2]にすると絵画のようなアート性を強くした仕上がりになります。


• [KISO感度]は、200に固定されます。
• 設定できるシャッター速度は4秒までです。撮影は15秒まで動作します。
• ピクチャーモードは[Natural]に、カラー設定は[sRGB]に固定されま
す。
HDR合成された画像はJPEGで記録されます。画質モードが[RAW]のと
きはRAW+JPEGで記録されます。

==>

ところで、出来あがったRAWを見ると、普通のRAWと変わらない気がしました。

この点は、後で、ダイナミックレンジの広いシーンで確認したいと思います。

 

今回は、画像は省略します。

 

 

3)シーンモード

 

EM5シリーズまでは、シーンモードがあり、RAWで保存できます。

EM1シリーズには、シーンモードはありません。

 

パナソニックは、上位機種では、マニュアルのシーンモード選択はできませんが、iAUTOで、自動シーン判別が残っていますが、EM1シリーズには、iAUTOに相当するモードはありません。

 

iAUTOでは、70点満点くらいの設定しかできませんが、風景、ポートレート、接写を瞬時に切り替えることができるので、便利です。少なくとも、Pモードよりはましです。

絞り優先か、シャッター速度優先で、設定を変えると、思ったような写真が撮れますが、花の写真のように、綺麗な姿を花を選別する、背景の綺麗なアングルを探す、日光の強さの変化を予測するなどすると、30分くらいで、集中力が続かなくなります。

筆者は、こうした場合には、iAUTOを使って、頭を休ませることがあります。

上位機種に、iAUTOを付けない理由は思い浮かびません。

 

 

福岡堰の桜~つくば市とその周辺の風景写真案内(1010)

福岡堰の桜が満開になりました。

 

ただし、農業用水は、取水されていないので、水面が低く、見栄えがしません。

 

写真1 福岡堰の桜

 

写真2 福岡堰の桜