「因果推論の科学」をめぐって(31)

注:これは、ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー「因果推論の科学―「なぜ?」の問いにどう答えるか」のコメントです。

 

(31)形而上学と科学

 

1)イデオロギーと科学

 

パースが、プラグマティズムを提唱したとき、科学のモデルは、物理学と生物学(進化論)でした。

 

プラグマティズムとは、科学の方法を、自然現象以外の社会現象に拡大する試みです。

 

物理学は、主に実験室のデータを使っていました。

 

社会現象には、パラメータを制御する実験の手法は使えませんので、パースは、プラグマティズムを生物学をモデルに考えました。

 

プラグマティズムは、科学の方法なので、その手法は進歩します。

 

RCTが出てくれば、採用します。

 

因果推論の科学が成立すれば、プラグマティズムは、因果推論の科学の手法も採用します。

 

パースは、プラグマティズムを提唱しました。

 

パースは、プラグマティズムのスタート地点を記述しましたが、プラグマティズムは、その後も改良されて、最新のプラグマティズムが出来ています。

 

もちろん、最新のプラグマティズムは混乱を避けるために、プラグマティズムと呼ばずに、別の名称で呼ばれることもあります。

 

その場合には、名称が異なっていても、パースのプラグマティズムのバージョンアップ版であることに注意すべきです。

 

パースの時代のプラグマティズムを、現代でも、そのまま使うことは、間違いであり、パースの希望した方法ではありません。

 

ニュートンは、プリンキピアを書きましたが、そこには、数式はでてきません。

 

オイラーは、力学を数式で書きました。

 

その後、オイラーの数式は、ベクトルやテンソル表示にバージョンアップされています。

 

力学を学習するために、プリンキピアを読めば混乱します。

 

現在の力学を標準的なテキストで学習したあとで、プリンピキアを読めば、力学の発展の経路が確認できます。

 

ウィキペディアの日本語版の「プラグマティズム」と、英語版の「プラグマティズム」を比べれば、英語版の「プラグマティズム」は、科学の方法に従って、バージョンアップしたプラグマティズムが記述されています。日本語版は、次のように書かれています。

 

パースに始まり、ジェイムズによって広まったプラグマティズムは、シカゴ大学で学派をなし、一つの運動として多方面に多大な影響を与えたが、1930年代にカルナップら論理実証主義者が次々とアメリカ合衆国に亡命し、ウィーン学団を結成して影響力を持ち始めると、急速に衰退していった。

 

つまり、プラグマティズムは、絶滅した思想に分類されています。

 

これは、プラグマティズムが、科学の方法であると理解できていないことを示しています。

 

プラグマティズムは、哲学の伝統をひいていますが、形而上学ではないので、哲学とは、直接競合しません。

 

これは、日本の文系固有の理解です。

 

日本の文系の理解は、形而上学で、推論のアルゴリズムは、データとは独立していると考えます。簡単に言えば、宗教に近い理解です。それは、法度制度や年功型雇用といった文化に支えられています。推論は、権威の方法と形而上学によっていて、科学的な推論は否定されています。

 

イデオロギーと科学」を区別するには、進歩があるか否かを点検すれば分かります。進化の有無を点検するとみることも可能です。

 

マルクス経済を論ずる時に、資本論を読んでいる人は、科学が理解できていません。

 

マルクスのあとで、バージョンアップしたマルクス経済学があるはずです。

 

問題にすべきは、バージョンアップしたマルクス経済学であって資本論ではありません。

 

もしも、、バージョンアップしたマルクス経済学がみつからない場合には、マルクス経済学は、形而上学であり、リアル世界の問題を解決できないことになります。

 

経営は哲学(イデオロギー形而上学)であると考えている経営者と有識者がいます。

 

科学では、問題を一般化して考えます。

 

経営は哲学であると考えると、観測値に基づくDXのような生産性の漸近的な改善を無視しますので、DXは進みません。DXを一般化すれば、DXは、観測に基づいて、生産性を改善するプロセスです。最近では、IT機器をつかうと有効な場合が含まれていますが、それは必須ではありません。

 

生産性を向上するには、生産のフローを見直すか、効率の悪いモジュールを効率のよいモジュールに取り替えます。後者のモジュール交換に必要な条件は、ジョブ雇用ですから、年功型雇用では、生産性を向上させるDXはできません。

 

資本論を読むべきであると主張するような原典主義は、科学的な間違いです。

 

キリスト教では、聖書を読むことが推奨されますが、これは、宗教が科学の方法ではなく、権威の方法をつかっているためです。

 

科学を方法を使って問題解決をする場合には、原典ではなく、「最新の知識でバージョンアップされた教科書」を読むことが推奨されます。

 

イデオロギーと科学」を区別するには、「最新の知識でバージョンアップされた教科書」の有無で調べられます。



「日本語で書かれた最新の知識でバージョンアップされた教科書」は、皆無に近いです。

 

「日本語で書かれた最新の知識でバージョンアップされた教科書」が、外国語に翻訳されて使われている例は非常に少ないです。

 

教科書の執筆では、草稿や、古いバージョンの教科書に対するコメントを反映した改善がなされ、こうしたノウハウを反映して教科書がつくられます。

 

教科書の執筆者は3名程度ですが、挿絵を書いたり、文章をチェックしたり、レイアウトを調整するなど、膨大な作業が必要になります。ジョブ型雇用のない日本の大学では、教科書を作ることができません。

 

これは、労力の制約ですが、原典ではなく、「最新の知識でバージョンアップされた教科書」が必要であると考えている専門家が少ない問題もあると思います。

 

原典主義を主張する人は、自分が科学の方法を否定していると認識すべきです。

 

2)例題

 

加谷珪一氏の円安の指摘は以下でした。(筆者要約)

メディアや一部の論者は、データではなく願望や感情に基づいて議論を進め、円安になれば日本経済は力強く成長すると主張した。日本では冷静にデータを分析することが忌避され、楽観や願望に基づいて情緒的に戦略立案されるケースが多い。その結果、同じ失敗が繰り返される。

<< 引用文献

「円安で日本の輸出企業は業績を伸ばす」は本当なのか…? 数字が示す「残酷な真実」 2024/07/24 現代ビジネス 加谷珪一

https://gendai.media/articles/-/134289?imp=0

>>

 

野口悠紀雄氏のNISAの指摘は以下です。(筆者要約)

 

⾦融資産所得優遇の本当の理由は税軽減求める圧⼒と⼈気取りです。⾼いリターンが期待できる投資先が日本にないため、「貯蓄から投資」が資金の海外流出を拡大して(日本企業からの資金流出によって)⽇本経済を弱る「悪循環」が起きています。

 

「貯蓄から投資」という政策は全く間違ったものです。

 

政府の政策は、技術⾰新と高度人材により、国内での経済活動を活性化し、国内投資の収益率を⾼めることです。

 

これは、新NISAのような⾦融資産所得の税負担軽減では実現できません。

<< 引用文献

新NISAの買い付け額前年の「4.2倍」、資金の海外流出もたらし日本経済を弱体化!? 2024/07/25 東洋経済 野口悠紀雄

https://diamond.jp/articles/-/347494

>>

 

この2つの指摘は、政策選択が科学の方法によっている場合には、意味がありますが、政策選択(ブリーフの固定化)が、権威の方法や形而上学の方法に従っている場合には、無効です。

 

科学の方法は、仮説を立てて、検証します。

 

ここで、帰納法に縛られずに、仮説をつくる点が重要です。

 

2つの仮説が考えられます。

 

第1の仮説は、「日本の政策選択は、科学の方法によっている」です。

 

第2の仮説は、「日本の政策選択は、権威の方法と形而上学によっている」です。

 

仮説の検証は、前向き研究に寄るべきです。

 

しかし、この2つの仮説のうち、どちらが、あてはまる確率が高いかという判定であれば、相関でも検討できます。

 

データからは、第2の仮説が支持されます。

 

第2の仮説が正しい場合には、加谷珪一氏と野口悠紀雄氏の政府の政策に問題があるという指摘には、意味がありません。

 

政策選択の方法を科学の方法に切り替えなければ、政策の比較検討は無意味です。

 

第2の仮説が正しければ、アベノミクスが失敗することは、予測可能であった(ほぼ、確実であった)と言えます。

 

「政策選択」を「経営選択」に置き換えることができます。

 

野口悠紀雄氏は、「⾼いリターンが期待できる投資先が日本にない」といいます。

 

日本企業の経営選択が、第2の仮説の「権威の方法と形而上学」によっていれば、科学の方法で経営選択をしている企業に勝てることはありません。



加谷珪一氏は、「(データをみれば、)日本の製造業は競争力低下によって、輸出を拡大できない状態が15年以上も続いている」といいます。

 

加谷珪一氏は、その原因を説明していませんが、日本企業の経営選択が、第2の仮説の「権威の方法と形而上学」によっていれば、「競争力低下によって、輸出を拡大できない状態が15年以上も続いている」ことが説明できます。

 

第1の仮説は、「日本の経営選択(政策選択)は、科学の方法によっている」が成り立つためには、科学のリテラシーは必要です。

 

ウィペディアの「プラグマティズム」にみるように、日本の文系だけが、科学の方法を無視しています。日本の文系の高等教育は、世界でもまれな、科学の方法を欠いた高等教育になっています。

 

日本の高等教育の定員の7割は、科学の方法を無視した権威の方法と形而上学になっています。

 

1990年の大学進学者数は、49万人でした。2022年の大学進学者数は、54万人です。増員の中心は、コストのかからない文系の学科です。さらに、18歳人口が半減していますので、難易度の高い数学のような教科をとる学生の比率が下がります。

 

文系という日本独自のカリキュラムは、数学はできなくとも、高い収入を得られるというメッセ―ジになっています。高等教育には、数学や科学の方法は不必要であるというメッセージです。しかし、パースが指摘したように、科学の方法以外のブリーフの固定化方法は、「固執の方法」、「権威の方法」、「形而上学」の3つしかありません。文系の教育とは、「固執の方法」(前例主義)か、「権威の方法」か「形而上学」になっているはずです。

 

次の疑問があります。

 

<どうして、第1の仮説の「科学の方法」ではなく、第2の仮説の「権威の方法と形而上学」で、経営選択がなされているか>

 

この疑問に対する答えは、世界に類をみない科学の方法を無視した文系の高等教育の効果があったと考えれば理解できます。

 

3)何が、起こるか

 

パール先生は、タバコと肺がんの章で次のようにいっています。

 

「科学の新発見にる文化の動揺は、その発見にあわせて文化の方を再調整しない限り収束しない」(p.286)

 

野口悠紀雄氏は、<⾼いリターンが期待できる投資先が日本にないため、「貯蓄から投資」が資金の海外流出を拡大している>といいます。

 

第2の仮説である権威の方法と形而上学で経営選択をしている企業から、第1の仮説である科学の方法で経営選択している企業への資金流出は、「文化の再調整」のプロセスです。

 

今後、このような「文化の再調整」のプロセスが拡大すると思われます。

 

文系の学問の卒業証書の価値がなくなります。

 

文系の学問の高等教育はなくなります。

 

このように書くと、法学部や弁護士がいなくなるはずがないと思われるかも知れません。

 

筆者は、法学部や弁護士がなくなるといっていません。

 

なくなるのは、文系の法学部と弁護士です。

 

なくなるのは、科学の方法を使わずに、権威の方法と形而上学を使っている法学部と弁護士です。

 

パール先生は、因果推論を使った強いAIは実現可能であると考えています。

 

強いAIは「科学の方法」を使います。そのときに、人間の弁護士が、「固執の方法」、「権威の方法」、「形而上学」を使えば、人間の弁護士には勝ち目がありません。

 

法学部が、科学の方法を使うのであれば、法学部では、強いAIをつかった判決システムの開発研究をするはずです。現在の生成AIは、マッチングですので、因果推論ができません。因果推論ができる強いAIが出て来る時代になれば、法学部では、強いAIをつかった判決システムの開発研究をするはずです。これは、パール先生の「文化の再調整」のプロセスです。

 

「文化の再調整」のプロセスに適応できない組織はなくなるでしょう。

 

これは、日本経済の過去30年のプロセスでもあります。

レンズの解像度を巡って(2)

2)ミラーレス時代のレンズ

 

フイルム時代のレンズの解像度がよくないことがわかりました。

 

 

ミラーレスカメラは、MFTで2009年ころからはまっています。

 

digicame-info.com

DXOのデータを見れば、次になります。

 

シグマ19mmF2.8  7P-Mpix    

Lumix 20mmF1.7 11P-Mpix

 Olympus  17mmF2.8 7P-Mpix

 

Olympus  17mmF2.8は、6P-Mpixと評価しているレビューもあり、けっして高い性能ではありません。

 

2009年のLensTips.comにオリンパスM.Zuiko Digital 17mm F2.8 (E-P1のキットレンズ)のレビューが掲載されています。

中央部の解像力は絞り開放で45lpmmに達し、とてもシャープな画像。F5.6まで絞ると50lpmmに達し、これは、ZD 50mm F2 MacroとZD150mm F2と並び、フォーサーズ単焦点レンズの中でベストの解像力

デジカメinfoはつぎのように書いています。

解像力は素晴らしい値ですが、小型軽量化を優先させたためか歪曲と色収差は大変に大きな値で、評価の難しいレンズですね

コメント

正直言って価格はもっと下げて欲しい

当然かもしれませんが、性能相応以上にに安ければ満足度は高くなるでしょうね。
値下がりに期待したいところですが、今の人気だと当分は安定したままだろうか(汗)。

 

 

digicame-info.com

 

歪曲と色収差は、現在では、デジタル補正が原則なので、2009年頃のレビューは、その点を配慮してよむ必要があります。

 

2013年3月1日に、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」は、47,500円(税込49,875円)が30,000円(税込31,500円)に価格改定しています。

 

2024年現在では、Lumix 20mmF1.7 (11P-Mpix)は、現役ですが、シグマ19mmF2.8 と Olympus  17mmF2.8は、ディスコンで、7P-Mpixは各段すぐれた性能ではありません。

 

なお、MFTは、ズームレンズが作りやすく、OMDS12-40mmF2.8の解像度は、14P-Mpixあります。

 

つまり、サイズを求めて、単焦点レンズをつかうメリットはありますが、解像度を求めて単焦点レンズを使うメリットはありません。

 

MFTでも特大のレンズを使えば、ズームレンズ以上の解像度が得られる場合があります。

 

MFTでは、特大の効果なレンズを使っても、フルサイズセンサーには、勝てないので、そのようなレンズは、ビジネスモデルとしては、破綻している気がします。

 

写真1から、写真4をみれば、EF-M22mmF2.0が優秀ですが、現在では、あまり解像度がないろいわれる他の3本のレンズでも、フィルム時代のレンズや、中華レンズと比べれば、圧倒的な解像度があります。写真のように等倍にしなければ、その差は気にする必要がないと思います。

 

され、2009年頃に、レンズの解像度性能は劇的に上昇しましたが、その後の進化はとまっています。

 

もちろん、デジタル補正を選定としないレフ機用のレンズをミラーレスようにバージョンアップする場合には、劇的な性能向上が見込めますが、ミラーレス化を先行したMFTでは、進歩の余地は少ないと思います。

 

こうして比べると、筆者は、解像度重視ではありませんが、フィルム時代のレンズの解像度には、心理的な抵抗があります。

 

写真1 オリンパス 17mmF2.8

 

 

写真2 シグマ19mmF2.8



写真3 Lumix 14mmF2.5

 

 

 

写真4 キャノン EF-M22mmF2.0

 

 

写真5 Takmar55mmF.18

 

「因果推論の科学」をめぐって(30)

注:これは、ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー「因果推論の科学―「なぜ?」の問いにどう答えるか」のコメントです。

 

(30)科学の問題

 

1)科学とは何か

 

パール先生のテーマは、因果推論の科学の普及です。

 

しかし、その前提には、科学が普及していることがあります。

 

実は、日本では科学が普及していないのですが、そのことが理解されていません。

 

ある人は、「科学の99%は仮説である」といいます。

 

この表現は、「科学の99%は間違っているかもしれない」(科学には、間違いがある)というイメージを強調しています。

 

しかし、この発言は、間違いです。

 

科学は、正しいか、間違っているかについては、何も言いません。

 

義務教育から始まって、科学の公式を暗記させるカリキュラムが行なわれていますが、このカリキュラムは、科学とは関係がありません。

 

「科学の99%は間違っているかもしれない」(科学には、間違いがある)というイメージは形而上学です。観測された事実とは独立した真理(正解)があるという主張です。

 

科学は、形而上学を否定していますので、間違っているという基準があるという思い込みは否定されています。

 

過去には、こうした形而上学の燃えカスが残っていました。例えば、誤差という表現は、観測不可能は、真の値を基準にしていますので、現在では、正確を期する場合には、使うべきでない用語になっています。代表値に平均値を使う方法は、データに異常値が含まれている場合には、ロバストネスがないので、間違った方法です。中央値と平均値の差が大きい場合には、異常値を疑うべきです。

 

こうした科学の基本理解のないテキストが蔓延しています。

 

アメリカの生物学の教科書をみれば、最初に科学的方法論の説明があります。

 

ところが、日本の生物学の教科書には、科学的方法論の説明がありません。

 

これは、文部科学省が科学とは、確かな真実を暗記する教科であると考えていることを示しています。

 

科学とは、科学的な方法論というプロトコルを示す言葉です。

 

パール先生は、因果推論の科学を因果推論のレンズで、対象をみることであるといいます。

 

この科学のレンズで、対象をみることが科学のプロトコルになります。

 

2)例題

 

例をあげてみます。

 

2-1)トヨタの不正認証問題

 

文芸春秋のインタビューに、豊田章男会長は次のように答えています。

認証制度は絶対に守らなければいけない制度です。ただ、例えば、今回トヨタがやっていた試験では、クルマの後ろから重い台車をぶつけるテストがありましたが、基準より700キロ重い台車をぶつけたんです。それでそのデータを使った。これはアメリカの基準を意識したものでした。だけど日本の制度は「1100キロでやりなさい」となっているから、1800キロでやるのは法令違反。(中略)

 

 その試験で守るべき保安基準とか、品質管理のやり方を決めているのが認証制度です。厳しい条件で試験を行っても、日本の法規に沿っていなければ法令違反と認定されます。このルールは見直しませんか、ということを今、われわれの口から言ってはいけないことはわかっています。言ってはいけませんが、でも本音を言えば、いずれかの時点では見直す議論が出ても良いと思っています

 

「言ってはいけませんが、でも本音を言えば……」トヨタ自動車豊田章男会長が認証不正問題の渦中に独占告白! 2024/07/09 文芸春秋

https://bunshun.jp/articles/-/71889

 

7月18日に、長野県茅野市の聖光寺で開かれた交通安全祈願の催しの後、トヨタ自動車豊田章男会長は報道陣に「(自動車業界が)日本から出ていけば大変になる。ただ今の日本は頑張ろうという気になれない」「ジャパンラブの私が日本脱出を考えているのは本当に危ない」と述べました。

 

この発言には一部で、パニッシングが起きています。

 

科学は、単純化と一般化をします。

 

文芸春秋のインタビューの豊田章男会長発言を単純化・一般化すれば、次になります。

 

Q1:

科学の方法(自動車の安全性を優する方法)に対して、権威の方法(認証制度、利権の方法)を優先することで、安全性がないがしろになっていませんか。

 

プラグマティズムでは、利権の方法を科学の方法に優先することは間違いに分類されています。(注1)

 

この質問は、日本の政治制度には、権威の方法は、科学の方法に対して優先する間違いを回避するシステムが備わっていますかという質問です。

 

政治学の根幹に関わる疑問です。

 

Q1は分解して、検証可能な質問に再構築する必要があります。

 

たとえば、ブリーフの固定化に、科学の方法を用いている場合と、ブリーフの固定化法に、権威の方法を用いている場合を、識別する手順を構築する必要があります。

 

Q1の質問に対しては、色々な意見がでますが、最終的な整理は、利害関係のない第3者が行なう必要があります。

同様に、Q1に答えるには、第3者機関が存在することが必要です。

 

つまり、Q1を評価する第3者機関がないことは、政治制度に基本的な欠陥があるのではないかという疑問に到達します。

 

これに答えることは、政治学の社会的な使命であると思われます。

 

なぜなら、この疑問に答えられない場合には、政治学は科学ではなく、利権誘導のシステムになってしまうからです。

 

恐ろしいことに、豊田章男会長の発言に対して、科学的なアプローチができる識者がいません。

 

2-2)円安

 

経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は2024年4月23日、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を踏まえれば、現在の円安は行き過ぎだとの考えを示しました。

<< 引用文献

経団連十倉会長、今の円安は行き過ぎ-介入は政府・日銀が適切に判断 2024/04/23 Bloomberg 稲島剛史

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-23/SCDAAKT0G1KW00

>>



この問題は、Q2「適正な円ドルレートとは何か。適正な円ドルレートを算出することができるか(算出方法はあるか)」という質問に、一般化されます。

 

科学とは、科学の方法を用いることです。

 

重力定数は、9.8ですが、重力定数を決めるときに、科学者が行なう議論は、定数の算出法です。仮に、誰かが、自分は、9.7が好きだと発言すれば、その人は科学を理解していない人として相手にされません。

 

科学の方法を使えば、円安政策を行なう前に、Q2が検討されます。

 

経団連は、介入によって、円ドルレートが変化すると仮定していますが。この仮定には、根拠がありません。日本は人口が減少していますので、人口減少を打ち消すだけの生産性の向上がなければ、中期的には、円安になります。

 

加谷珪一氏は次のように言います。(筆者の要約)

 

円安が進むと輸入物価が上昇し、国民生活が苦しくなることは当初から想定されていた。政府は当初、円安になって輸入物価が上昇しても、輸出産業の業績が拡大し、賃上げが進むことで一連のマイナスを相殺できると考えていた。だが急激な円安が進み始めてから2年以上が経過しても、円安効果は認められない。

 

(データをみれば、)日本の製造業は競争力低下によって、輸出を拡大できない状態が15年以上も続いている。円安によって日本経済に大きな恩恵が及ぶ可能性が低いことは容易に推測できた。

 

メディアや一部の論者は、データではなく願望や感情に基づいて議論を進め、円安になれば日本経済は力強く成長すると主張した。日本では冷静にデータを分析することが忌避され、楽観や願望に基づいて情緒的に戦略立案されるケースが多い。その結果、同じ失敗が繰り返される。

<< 引用文献

「円安で日本の輸出企業は業績を伸ばす」は本当なのか…? 数字が示す「残酷な真実」 2024/07/24 現代ビジネス 加谷珪一

https://gendai.media/articles/-/134289?imp=0

>>

 

加谷氏は、「メディアや一部の論者は、データではなく願望や感情に基づいて議論を進める」といいます。

 

これは、科学的な推論ができないこと、科学のリテラシーがないことを意味しています。

 

アメリカの中学校の生物学の教科書を理解していれば、「願望や感情に基づいて議論を進める」ことはありません。

 

これは、文系教育(形而上学)の成果です。

 

経団連や政府には、科学を理解している人がいません。

 

3)プロセスの課題

 

科学の実体は、科学的な推論の方法にあります。

 

科学の方法を無視して、権威の方法を降り回せば、かならずツケを払うことになります。

 

パーティ券問題では、政治資金規正法の改正が、違法行為を防止する効果があるかという議論がなされます。

 

しかし、この議論は形而上学であって、科学の方法ではありません。

 

政治資金規正法の改正が、違法行為を防止する効果があるかどうかは、データによります。

 

実際のデータが得られるまで、政治資金規正法の改正が、違法行為を防止する効果があるかはわかりません。

 

データなしに議論ができると考える時点で、政治資金規正法の改正は、形而上学になっています。

 

科学のプロセスを無視している検討は、無駄で、無意味です。

 

科学の方法は、データハンドリングのプロセスを論じます。

 

政治資金規正法が、データに基づかないのであれば、その時点で、科学の方法を無視していることになるので、アウトです。

 

形而上学になれば、加谷氏が指摘しているように「同じ失敗が繰り返され」ます。

 

パール先生は、タバコと肺がんの章で次のようにいっています。

 

「科学の新発見にる文化の動揺は、その発見にあわせて文化の方を再調整しない限り収束しない」(p.286)

 

注1:

 

パースは、「ブリーフの固定化の方法」で、「科学の方法」以外の「固執の方法、権威の方法、形而上学」を指定しています。

 

「ブリーフの固定化の方法」とは、自然科学の方法を、社会科学に拡張する場合の公式集のようなものです。

 

数学公式は、式の形を記憶しても、価値がありません。公式に、値を代入して、実際に使ってみてはじめて価値が出ます。

 

「ブリーフの固定化の方法」も、同様に、実際のブリーフの固定化の場面に使ってはじめて価値がでます。

 

「ブリーフの固定化の方法」の文言を記憶してている識者は、多数いますが、実際に、「ブリーフの固定化の方法」を使っている識者はほとんどいません。

 

これは、日本の文系の理解が、文言の引用位の訓詁学になっているためです。

 

日本以外には、科学を無視した文系も、訓詁学もありません。

 

 

レンズの解像度を巡って(1)

1)中華最安レンズの気になる点

 

銘匠光学 TTArtisanの安価なレンズを購入しました。

 

中華レンズを購入してみたかったことと、F1.4のボケ量を確認したかったことが理由です。

 

銘匠光学 TTArtisan 35mm f/1.4 C は、1万円くらいの最も安価なレンズです。

 

フイルム時代の中古レンズよりは、よいという評価が一般的で、各段悪い評判はありません。

 

 

写真1が、TTArtisan 35mm f/1.4 CでF2.8で撮影しています。

 

F1.4は、条件が厳しいので、F2.8にしています。

 

写真1は普通に見えます。

 

写真2が等倍ですが、犬の毛のデータがつぶれています。

 

写真3はフィルム時代のTakmer55mmF1.8で、F2.8です。

 

これも、普通に見えます。

 

写真4は、等倍です。

やはり、毛のデータがつぶれています。

焦点があってない、カメラが壊れているなどの可能性があるので、いろいろ試しまたが、やはり、このレベルで間違いがないことがわかりました。

 

 

 

写真1

 

写真2

 

 

写真3

 

写真4

2)国産の格安レンズ(シグマ19㎜F2.8)

 

写真5は、シグマの19㎜F2.8の等倍です。F3.2 で若干絞っていますが、F2.8 と大きな差はないと思われます。

 

 

中華レンズTTArtisan 35mm f/1.4 やフィルム時代のTakmer55mmF1.8とは、大きな違いがあります。

 

写真は、等倍で見るものではないので、解像度がすべてではありませんが、ここまで差があると考えてしまいます。

 

写真5

 

「因果推論の科学」をめぐって(29)

注:これは、ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー「因果推論の科学―「なぜ?」の問いにどう答えるか」のコメントです。

 

(29)反事実2.0の空間分布

 

1)反事実2.0のスワップ

 

現時点(t=0)に対して、将来(t=+1)のトレンド予測を事実2.0、トレンドに反する因果モデル予測を反事実2.0と定義します。

 

入院患者を例にすれば、今日生きているという事実のトレンド予測である「明日も生きている」が事実2.0です。これに対して、病気の症状から因果モデルをつくって、「明日は死んでいる」が反事実2.0です。

 

翌日になって、「患者が亡くなった」という表現には、tのステップが1つ進んで、得られた事実は、事実2.0の「今日も生きている」ではなく、反事実2.0の「今日は死んでいる」になったことを指します。

 

つまり、「患者が亡くなった」という表現は、「患者が死んでいる」ことを意味するのではなく、事実2.0ではなく、反事実2.0が実現したという反事実的思考が含まれています。

 

多くの場合、反事実2.0よりも、事実2.0が実現する確率が高いと思われます。

 

これは、カーネマン流に言えば、ファスト回路で生活できる根拠になります。

 

例外的な状況はトレンド予測が外れた場合です。

 

ソ連社会主義が崩壊したという場合にも、事実2.0の「社会主義体制」ではなく、反事実2.0の「資本主義体制」が実現したという意味です。

 

社会主義政権時代には、事実2.0は「社会主義体制」で、反事実2.0は「資本主義体制」です。

 

社会主義政権が崩壊すれば、事実2.0は「資本主義体制」で、反事実2.0は「社会主義体制」です。

 

つまり、反事実2.0と事実2.0のスワップ(簡略して反事実2.0のスワップ)が起こっています。

 

「反事実2.0のスワップ」がどのような条件で起こるかは、重要なテーマです。

 

カーネマン流に言えば、スロー回路の推論が生きる条件は何かになります。



少子化問題(出生数をあげる)では、事実2.0の「少ない出生数」と反事実2.0の「多い出生数」の間のスワップを起こしたいというテーマになります。

 

日本の経済成長では、事実2.0の「小さなGDPの増加率」と反事実2.0の「大きなGDPの増加率」の間のスワップを起こしたいというテーマになります。

 

トレンド予測が外れる原因は、因果構造が変化するからです。

 

日本社会科学の研究者の99%は、帰納法の推論をして、因果構造を無視しています。

 

つまり、反事実の2.0のスワップに使える研究成果はないといえます。

 

2)空間分布

ソ連社会主義が崩壊したという場合には、事実2.0の「社会主義体制」ではなく、反事実2.0の「資本主義体制」が実現して、反事実2.0のスワップが起こっています。

 

ソ連崩壊前夜をオセロのようなグリッドデータでイメージします。

 

社会主義が黒い駒、資本主義が白い駒を仮定します。

 

ソ連崩壊前には、ソ連に相当するセルには、オセロの黒い駒が見えます。

 

ソ連が崩壊すると、ソ連に相当するセルは、オセロの白い駒に反転しています。

 

ソ連崩壊前であれば、ソ連に相当するセルでは、白い駒(資本主義)は、反事実でした。

 

しかし、ソ連崩壊前でも、アメリカに相当するセルでは、白い駒(資本主義)は、事実で、黒い駒(社会主義)は、反事実でした。

 

つまり、GIS上では、反事実と事実は、補完する2つのレイヤーの問題であって、何が、事実で、何が、反事実かを識別する方法はありません。

 

反事実2.0のスワップは、ソ連のような地物の境界線の形状の変更に対応します。

 

さて、日本の雇用を対象に考えます。

 

日本の雇用では、年功型雇用ですが、世界標準は、ジョブ型雇用です。

 

これは、「年功型雇用=社会主義」、「ジョブ型雇用=資本主義」と対比すれば、ソ連の崩壊前のイメージになります。

 

20年前には、日本では、ジョブ型雇用は出来ませんでした。

 

企業の収益に貢献しても、給与は増えませんでした。

 

海外に流出すれば、ジョブ型雇用でしたので、状況は、ソ連の崩壊前そのものでした。

 

しかし、現在は、違います。

 

日本にいても、ジョブ型雇用の外資系企業に就職することができます。

 

日本にいても、ジョブ型雇用のアメリカ企業のリモート社員に就職することができます。

 

GIS上に2枚の雇用レイヤーをつくったイメージを考えれば、日本の中に、ジョブ型雇用のレイヤーが入り込んでいます。

 

3)ドライビングフォース

 

1945年に、日本は太平洋戦争にまけます。

 

ソ連の崩壊と同じような、地物の境界線の形状の変化が起こっています。

 

しかし、敗戦を境界線の移動であると認識している人は少ないです。

 

レイヤーの地物の境界線に移動をおこす原因(ドライビングフォース)は、生産性です。

 

日本の敗戦も、ソ連の崩壊も、生産性の違いで説明できます。

 

エマニュエル・トッド氏は、生産性の向上は、エンジニアが起こすといいます。

 

次の因果モデルです。

 

エンジニア(原因)=>イノベーション=>生産性の向上

 

1980から1990年に日本経済が世界をリードしたドライビングフォースは、高い生産性にあります。

 

日本の家電メーカーは、中国企業との競争にまけて、白物家電から撤退しました。

 

このとき、日本の家電メーカーは、生産性競争をしませんでした。

 

雇用を優先して働かないおじさんに給与をはらい続けて撤退しています。

 

工場を海外に移転した場合、日本企業と海外の企業の製造コストは同じになります。

 

つまり、工場の海外移転ができれば、技術レベルが同じであれば、、生産性競争に負けることはありません。

 

工場を海外に移転しても、、生産性競争に負ける場合には、考えられる原因は次の2点です。

 

第1は、技術レベルが低いことです。

 

第2は、管理費が高いことです。働かないおじさんに給与をはらい続ければこうなります。

 

現状は、この2つの原因で、日本企業は、生産性競争に負けています。

 

外国が、海外企業を受け入れる理由は、生産性の向上によって、国が豊かになるからです。

 

日本企業が生産性競争に負けたので、これから、日本企業の海外からの撤退が続くはずです。

 

資本を投資すれば、海外に工場や店舗を作ることができます。

 

しかし、その先に、利益をあげるためには、競合企業との生産性競争に勝つ必要があります。

 

一帯一路構想は、公共投資を中心にしています。しかし、公共投資は民間投資とリンクしています。民間投資の生き残りは、生産性競争に勝つことです。

日本の家電メーカーは、中国企業との競争にまけて、白物家電から撤退しました。

 

日本の家電メーカーは、生産性競争に負けました。

 

今後、同じ因果構造が、日本の海外と投資でも起こるはずです。

 

生産性競争を放棄して、雇用を優先すれば、ソ連の崩壊や、太平洋戦争の敗戦と同じドライビングフォースをかかえることになります。

 

筆者は、2割程度の日本企業が海外投資で成功して、8割程度の日本企業が海外投資で失敗して撤退することになると考えています。

 

4)スワップが起こる時

 

ソ連が崩壊するとき、ゴルバチョフ氏は、市場経済の導入を試みて失敗しています。

 

一方では、鄧小平氏は、市場経済の導入に成功して、中国は崩壊を免れています。

 

ソ連では、反事実2.0のスワップがおきましたが、中国では、反事実2.0のスワップは置きませんでした。

 

その違いは、生産性の向上に成功したか否かにあります。

 

社会主義」と「資本主義」の2枚のレイヤーを使うのではなく、生産性の1枚のレイヤーを使って考えると現象が説明できると言えます。

 

IMDの2024年の世界競争力ランキングでは、中国は、14位、日本は、38位です。

 

つまり、日本企業が、中国企業に生産性競争で勝てる可能性は低いです。

 

IMDの2024年の世界競争力ランキングでは、台湾8位です。

 

これは、TSMCが、熊本に工場をつくると景気が良くなることを説明しています。

 

東南アジアの国は、日本企業より、中国企業に、中国企業より、台湾企業に期待していると言えます。



現代ビジネスは、官僚の天下りシステムが、生き残っている状態を説明しています。

 

<< 引用文献

財務省の宇宙人」神田財務官、次なる野望は「日銀総裁」か…!? 7・11「サヨナラ為替介入」の全内幕と「財務官退任後のキャリアパス」2024/07/23 現代ビジネス

https://gendai.media/articles/-/133910

>>

 

天下りシステムでは、給与はポストにつきます。はたらかないおじさん(あるいはおじいさん)が、椅子に座っていれば高給がもらえるシステムです。このシステムは、年寄りが働らかない分、若年層が働くことで、成り立っています。若年層が給与が増えないのに余分に働く理由は、第1に、転職できる労働市場がないこと、第2に、自分が年寄になったときに、働かなくとも高給がもらえると期待するからです。

 

この条件は、20年前にはあてはまりました。

 

現在は、第1に、高度人材の労働市場があります。

第2に、自分が年寄になったときに、働かなくても高給がもらえると期待することはできません。

 

高齢になれば、スポーツ選手のように、身体の動きが悪くなります。

 

体力があって稼げるときに、仕事にみあった給与をもらえない組織は、ブラックなハイリスクな組織で、避けるべきです。

 

千本木啓文氏は次のように説明しています。

2022年までに、国家公務員の志願者は10年で3割減り、人材の離職が急増しています。

<< 引用文献

行政劣化の深刻!コロナ対応の自治体格差、国家戦略の押し付け合い…公務員の人材流出が招く「国家的危機」からの脱し方 2024/07/22 Diamond 千本木啓文

https://diamond.jp/articles/-/347218

>>

 

これは、年功型組織は、ソ連のように崩壊するリスクが高いので、適切な就職口ではなくなったことを意味してます。

 

「行政劣化」という表現は、偏見です。人材は、市場均衡に近づいて正常化しています。労働者が働き口を選べることは基本的に人権です。

 

千本木啓文氏は次のように説明しています。

2018年に、トランプ政権が関税率アップを強行した場合の影響試算は、内閣府(旧経済企画庁)ができずに、日本銀行が行っています。

 

千本木啓文氏は、内閣府が影響試算が出来なくなった原因は、「審議官クラスの人材が大学に流出したことにある」といいます。

 

しかし、これは、経済モデルに対する理解不足です。

 

一般均衡の経済モデルは、パッケージ化がすすんだので、博士課程レベルの能力があれば、簡単に計算できます。手間がかかるとしたら、日本の独自のデータを編集する部分だけです。

 

AIプログラムをゼロからつくる人はいません。公開されたライブラリを使います。

 

一般均衡の経済モデルの解析は、確実にお金になるので、有料のパッケージが主流になっています。こうしたパッケージが使える状況にあれば、関税率アップを強行した場合の影響試算は、簡単にできます。品目細分化すれば、その分のデータをつくる手間がかかりますが、計算事態は、AIプログラムがつくれるレベルのコンピュータの知識があればできます。

 

日本の大学の給与は、あまり高くありません。人材流出の影響があるとすれば、もっとと若年層が、高給の選られる民間に流出しているケースと思われます。

 

さて、以上の状況を考えれば、日本にスワップが起こるとしても、ソ連型のスワップにはならないと思われます。

 

ジョブ型雇用は、ある規模まで拡大すれば、年功型組織は崩壊するが、ジョブ型組織が生き残るようなマダラ模様の変化が起こると思われます。

 

これは、イメージとしては、競争力のある組織が、競争力のない組織を駆逐するプロセスです。

 

日本の在来植物が、光合成性能の高い侵入植物に駆使されるようなプロセスです。

 

企業は赤字になれば、淘汰されますが、行政組織は、赤字でも存続します。しかし、赤字の行政組織を存続させるためには、重税と国債の発行が必要になり、経済を疲弊させます。

 

ですから、行政組織だけは、ソ連型のスワップが起こると考えられます。

 

補足:

 

パール先生は、do演算子のような言葉をつくることで、今まで考えることのできなかった思考が実現すると言います。



これは、最近気づいたことですが、データをGIS表現(X、Y、Z、tと解像度)に変化すると、まったく違った世界が見えてきます。

 

「因果推論の科学」をめぐって(28)

注:これは、ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー「因果推論の科学―「なぜ?」の問いにどう答えるか」のコメントです。

 

(28)因果モデルの3段階

 

1)歴史は韻を踏む

 

マーク・トウェインは「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」といったと伝えられています。

 

これを、次のように書くことができます。

 

歴史=繰り返す部分(韻)+繰り返さない部分

 

こう書けば、歴史から、「繰り返す部分(韻)」を抽出するフィルターの設計が課題になります。

 

因果推論の視点で見れば、歴史は次のようになります。

 

歴史=因果構造(韻)+非因果構造

 

ノイズを考慮すれば、次になります。



歴史=因果構造(韻)+非因果構造+ノイズ

 

ノイズの分離は、解像度によります。

 

円ドルレートを考えます。

 

円ドルレート時系列=因果構造(韻)+非因果構造+ノイズ

 

因果構造には、金利差と産業の競争力が含まれます。

 

政府が、為替介入すれば、円ドルレートは変化します。

 

これは、日単位のデータでは、非因果構造の変化に現われます。

 

しかし、月単位のデータであれば、ノイズとみなすことができます。

 

解像度を大きくとれば、非因果構造の部分は小さくなります。

 

これは、株式であれば、長期保有で利益をあげる方法と、短期の売買で利益をあげる方法が異なることを示しています。

 

株式の場合、株価の全てを予測する因果モデルを作ることは困難です。

 

一方、産業分野や解像度を限定すれば、その範囲で、株価を予測する因果モデルをつくることは可能です。

 

著名な投資家は、独自の因果モデルを持っていると思われます。

 

ジム・ロジャーズ氏は、ハイテク株を購入しませんが、これは、ロジャーズ氏が、ハイテク株の株価の因果モデルをもっていないためと思われます。

 

このように「因果構造(韻)」は、人間が、因果推論をして得るものです。時系列データに含まれているものではありません。人間が、因果モデルを作れなければ、「因果構造(韻)」と「非因果構造」の分離はできません。

 

また、ロジャーズ氏の持っている因果モデルは、ハイテク分野にはあてはまりませんが、因果モデルがどの分野にあてはまるかは、持っている因果モデルと同じ因果構造がある場合に限定されます。その判断は、因果モデルを使う人の主観に基づきます。

 

2)3段階

 

「因果構造(韻)」(因果モデル)を分離するだけでは、予測をすることはできません。

 

例を示します。

 

2-1)因果モデル

 

経済学のテキストにのっているシュムペーター型のモデルを取り上げます。

 

経済成長(結果)<=(労働力、資本、イノベーション)(原因)

 

このモデルでは、操作出来る変数は、3つ(労働力、資本、イノベーション)あります。

 

2-2)問いとエスティマンド

 

「問い」では、3つの操作可能な変数から1つを取り上げます。

 

設備投資は、資本に含まれます。

 

「工場を大型化して効率をあげたら効果(売りあげ、利益率、経済成長)があるか」といった問いを設定します。

 

この問いは、資本が原因(説明変数)、効果が結果(目的変数)モデルをつくることになります。

 

この場合、労働力とイノベーションは、交絡因子になる可能性がありますので、チェックして、問題があれば、交絡因子の影響を補正をします。

 

次の式(エスティマンド)を算出します。

 

効果(結果、目的変数)=f(資本(原因、説明変数))

 

2-3)予測モデルの作成

 

データをつかって、エスティマンドのf()を決定します。

 

回帰モデルであれば、係数の求めることに相当します。

 

使うデータは、前向き研究で取得したものを使います。

 

2-4)予測計算

 

予測モデルにデータを入れて、予測計算をします。

2-5)注意

 

予測モデルは、問いに対応しています。

 

予測モデルは、3つ(労働力、資本、イノベーション)の変数のどれを、変更すると最大の効果が得られるかには答えません。

 

この問題は、3つの予測モデルをつかって、感度分析をして、求めます。

 

3)帰納法との比較

 

経営コンサルタントなどの推論は、ほぼ100%帰納法をつかっています。

 

帰納法は、科学的に間違った推論です。

 

「歴史が韻を踏む」のは、因果構造だけです。

 

因果構造のモデルとデータは分離して処理する必要があります。

 

ほぼ100%帰納法をつかって推論するのは、コンサルタントだけではありません。

 

文系の研究手法では、帰納法が多用されています。

 

その結果は、仮説の提示としては受け入れられますが、検証がなされていない点では、まったく価値がありません。ジャッジ付きの論文を100本以上もっていても、使える成果はゼロです。

 

帰納法が正しい検証法であると勘違いして、何十年もライフワークを進めた人がいても、その研究成果に、検証済みの推論という価値はありません。

 

文系の大学院に進学して、10年近く、専門の研究を進めて、博士の学位を取得しても、その成果に、検証済みの推論という価値はありません。

 

パール先生の言い方をすれば、「なぜ」という質問に答えて、問題解決をすることはできないのです。

 

4)応用問題

 

モルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)時代に「伝説のトレーダー」の異名を取った藤巻健史氏は、さらなる円安の進行やハイパーインフレが発生する可能性について、警鐘を鳴らしています。

 

藤巻氏の因果モデルは、「通貨量を異常に増やす(原因)とハイパーインフレになる(結果)」というものです。この因果モデルは、教科書にのっているものでは、間違いはありません。

 

この因果構造(教科書にのっているハイパーインフレの因果構造)が、現在の日本にあてはまるかという判断は、主観の判断になります。

藤巻氏は、「さらなる円安の進行やハイパーインフレが発生する可能性について、警鐘を鳴らしています」つまり、今後、ハイパーインフレの因果構造が、現在の日本にあてはまる可能性が高くなるといっています。

 

ハイパーインフレの因果構造には、時間のパラメータがないので、将来起こることのタイムラグの推定はできません。

 

藤巻氏は、随分前から、ハイパーインフレのリスクを口にしています。

 

それにもかかわらず、まだ、ハイパーインフレになっていないので、藤巻氏の主張はデタラメであるという人もいます。

 

しかし、「因果モデル、因果モデルがあてはまる因果構造の確認、データ」は区別して扱う必要があります。

 

まだ、ハイパーインフレになっていないことは、ハイパーインフレの因果モデルが、間違っていることの検証にはなりません。

 

有名人になりすました投資詐欺が増えています。

 

ある人は、「SNSで掲載されている投資広告の6割は詐欺広告です。広告費の高いものが優先的に表示され、実際目にする9割は詐欺」であるといいます。

 

ここには、帰納法の推論(投資に成功したという人をまねする)があります。

 

筆者は、ロジャーズ氏は、因果モデルを持っていると思いますが、ロジャーズ氏は、因果モデルを公開しません。株式運用の因果モデルは、公開して、多くの人が使えば、因果モデルが成り立たなくなるからです。過去に、そうなった例には、ブラックーショールズモデルがあります。

 

因果モデルで考えることが出来れば、詐欺にだまされるリスクは劇的に小さくなるはずです。



「因果推論の科学」をめぐって(27)

注:これは、ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー「因果推論の科学―「なぜ?」の問いにどう答えるか」のコメントです。

 

(27)反事実2.0の異常事態

 

1)定義の要約

 

時系列データがある場合を想定します。現在時刻をt=0として、将来(t=+1)の予測結果E(+1)を考えます。

 

トレンド予測の結果「結果E(+1|trend)」と因果モデルの予測の結果「結果E(+1|do)」を比較することを反事実2.0と呼ぶことにします。

 

因果推論をする理由は、現状の「結果(t=0)」を変更したい(問題を解決したい)からです。

 

つまり、因果モデルの予測の結果「結果E(+1|do)」は、現状の「結果(t=0)」とは大きく異なります。

 

一方、トレンド予測の結果「結果E(+1|trend)」は、現状の「結果(t=0)」に似ているはずです。

 

つまり、トレンド予測の結果「結果E(+1|trend)」は、現状の「結果(t=0)」(事実)に似ていますし、因果モデルの予測の結果「結果E(+1|do)」は、現状の「結果(t=0)」(事実)とは大きく異なります。

 

現状の「結果(t=0)」を「事実」と呼ぶのは、乱暴ですが、特に、混乱がなければ、因果モデルの予測の結果「結果E(+1|do)」を反事実2.0と呼ぶことにします。

 

同様に、現状の「結果(t=0)」(事実)に似ているトレンド予測の結果「結果E(+1|trend)」を、事実2.0と呼ぶことにします。

 

2)科学的な推論

 

科学的な推論は、因果モデルによります。反事実2.0が科学的な推論の結果です。

 

パール先生は、統計学が因果モデルを封印したと批判しています。

 

しかし、仮に、回帰モデルを因果モデルの代りにつかった場合でも、科学の手法であれば分析の意図は、反事実2.0の推定(結果を実現する原因の探索)にある場合が多くなります。

 

時系列のトレンド予測には、因果関係はありません。トレンド予測は科学的には、間違った予測です。

 

物体の運動には、慣性力があります。どんなに高性能な自動車でも、90度の角度で曲がることはできません。

 

株価の時系列チャートで、変動幅が大きいと、高騰や暴落など異常事態と判断されます。これは、株価には慣性力が働きにくくボラリティが大きくなることを指します。

 

製造業の工場では、生産ラインをとめない限りは、製造量には、慣性が働きます。

 

つまり、トレンド予測は、科学的に間違った推論ですが、慣性がある場合には、短期的には、それなりのパフォーマンスが得られます。

 

人文科学と社会科学で多用されているデータに帰納法をあてはめる場合を考えます。

 

手法がトレンド予測の場合には、因果構造と関係がありませんので、慣性の効く短期予測以外では、まったく意味のない推論になります。

 

株価が上昇しているとき、あと1週間株価が上昇するという予測をすれば、その予測が当たる可能性が高いですが、あと10年株価が上昇するという予測は、確実に外れます。

 

手法が因果モデルの場合には、因果構造が変わらない限り、正しい予測ができます。

しかし、この方法には問題があります。因果構造が変わらなければ、因果モデルの予測とトレンド予測には大差がなくなります。

 

解析をする目的は、現状を変えたいという反事実2.0にあります。

 

少子化(少ない出生数)の問題は、将来の出生数が変わらないこと(事実2.0)にあります。統計データには、観測済みの現在の出生数がとりあげられますが、この値は、変更不可能であって、問題は、トレンド推定である事実2.0にあります。

 

解析の目的は、反事実2.0の実現です。

 

これは、現在の因果構造を変えることが出来るかという問題に置き換えられます。

 

つまり、帰納法では、永久に問題解決ができません。

 

科学を、「Science for peple」と定義するのであれば、問題解決のできない帰納法偏重の人文科学と社会科学は、科学とは言えません。

 

人文科学と社会科学が、帰納法偏重になって、科学とは言えない状態になっているのは、日本固有の現象であり、欧米には存在しません。

 

筆者は、その理由は、法度制度のミーム、数学を無視した文系の教育、訓詁学の伝統にあると考えますが、この問題を分析した論文はありません。

 

この推測が正しいとすれば、文系の教育では、反事実2.0が無視されていることになります。

 

3)アブダクション

 

反事実2.0は、解析の目的であり、評価関数です。

 

猫を識別する画像認識では、事実2.0が、識別率70%であれば、反事実2.0はより高い識別率になります。

 

少子化であれば、特殊合計出生率が1.2が、事実2.0であれば、反事実2.0は、より高い(2.2のような)特殊合計出生率になります。

 

推理小説であれば、事実2.0が犯人が特定できていない状態であり、反事実2.0は犯人が特定できている状態になります。

 

結果を実現する原因を探索する推論はアブダクションです。

 

アブダクションができれば、因果モデルができます。

 

アブダクションでは、複数の因果モデルができますが、どれが正しいかは、因果モデルだけからはわかりません。

 

データと付き合わせて、問題のある因果モデルを消去することで、有望な因果モデルに絞りこむことができます。

 

因果モデルをつくって、選抜するには、高度な知識が必要ですが、反事実2.0を提示することは誰でもできます。

 

依頼人は、ホームズに、「犯人を探してください(反事実2.0を実現する因果モデルを特定してください)」と言えば、あとは、ホームズの出番になります。

 

4)新しい解決法

 

問題があった場合に、新しい解決法を提示することは、科学の方法の因果推論では新しい因果モデルを提示することです。

 

温暖化対策で、CO2の排出が減っている状態(反事実2.0)を実現する手段(因果モデル)には、複数のアプローチがあります。EVは、ガソリンの自動車のCO2排出とは異なった因果モデルを使う提案になります。

 

ガソリン自動車、EV、ハイブリッドは、異なる因果モデルです。どの因果モデルが一番有効になるかは、技術レベルにより異なりますので、一概には、決まりません。

 

ホームズのように、常に、犯人が一人に絞れる訳ではありませんので、データを更新して、比較する必要があります。

 

ガソリン自動車の場合、EVを提案することは、新しいCO2の排出抑制方法を提案することになります。

 

ここでは、「新しい=従来にない因果モデル」になっています。

 

新しい手法の目的は、CO2の削減(反事実2.0)にあります。

 

問題を解決するためには、「反事実2.0を提示して共有すること、反事実2.0を実現する因果モデルを作成すること」が必要です。これが、新しい解決法になります。

 

CO2の排出量を削減するときに、ガソリン自動車の燃費改善を提案できます。しかし、この手法を新しい解決法であると認めてくれる人はいません。

 

EVのアイデアは、ガソリン自動車よりも古いと言われますが、実用化ができた理由は電池の性能向上にあります。

 

政府は、新しい資本主義といいましたが、だれも、「新しい」という言葉を真に受けている人はいません。その理由は、新しい資本主義には、新しい因果モデルがないからです。

 

新しい資本主義は、ガソリン自動車の燃費改善を提案しているような内容なので、効果が限定的なことは自明です。

 

政府は、健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに統一する計画です。

 

マイナンバーカードは、新しい解決法ではありません。

 

新しい解決法の条件は、「反事実2.0を提示して共有すること、反事実2.0を実現する因果モデルを作成すること」でした。

 

マイナンバーカードは、この条件を満たしていません。

新しい資本も、マイナンバーカードも、新しい解決法の条件を満たしていませんし、そもそも、反事実2.0はありません。

 

ホームズは、依頼人から、犯人探しを依頼されていないのです。

 

5)異常事態

 

パール先生の表現を借りれば、反事実2.0が共有されていない(評価関数が設定されていない)のは、異常事態です。

 

反事実2.0が共有されていなければ、先に進むことができません。

 

マイナンバーカードに、DXの効果があるか」が問題ではなく、反事実2.0(DXの効果)を結果(目的)として、マイナンバーカード(原因、手段)が設計されていないのですから、異常事態です。

 

簡単に言えば、問題を解決するメカニズムが存在しません。

 

小林麻央さんが、標準治療を拒否して民間療法(気功)に頼っていたことが、死亡率の低い乳がんで亡くなった原因であると言われています。

 

現在の政府の政策は、エビデンス(評価関数)のない民間療法レベルになっています。

 

「反事実2.0が共有されているか」をみれば、異常事態がどこまで広がっているかを調べることができます。

 

年金問題には、反事実2.0はありません。

 

検討は、すべてトレンド予測(事実2.0)の範囲で進められています。

 

<< 引用文献

放置された「国民年金の給付水準低すぎる」大問題 2024/07/21 東洋経済 野口 悠紀雄 

https://toyokeizai.net/articles/-/780256

>>

 

国民年金の給付水準が低すぎる」ことは、政策の選択肢です。これ自体には、良し悪しはありません。

 

しかし、この選択肢を選択した場合には、極端な治安の悪化を受け入れる必要があります。

 

人間は、食べられなくなれば、法律を守ることより、食べることを優先します。

 

トレンド予測の事実2.0は、「国民年金の極端に低い給付水準」です。

 

反事実2.0には、幾つかのレベルがあります。

 

その中で、最も低い給付水準は、最低限の生活ができるレベル(極端な治安の悪化が起らないレベル)です。

 

一度、治安が悪化してしまうと、元に戻すことは非常に困難になります。

 

治安を元に戻すコストを考えれば、最低限の生活ができるレベルに給付水準を維持する方がコストがかからないはずです。

 

もちろん、最低限の生活ができるレベルに給付水準を維持するためには、膨大な財源が必要になります。おそらく、産業振興、医療費などは、大幅削減する必要があります。

 

高額医療費は、公的補助の対象から外して、浮いた財源を国民年金に回す方が、便益が大きくなるはずです。

 

治安が悪くなって、高額医療をうけるために病院に行く途中で、殺人事件に巻き込まれる場合を考えれば。優先順位は判断できます。

 

反事実2.0は、見つかりません。

 

異常事態が蔓延しています。

 

考えられる原因は2つあります。

 

第1に、利権のシステムを阻害する反事実2.0が封印されている可能性があります。

 

ホームズに犯人捜しをしてもらうと、共犯で捕まる人がいれば、反事実2.0を封印します。

 

第2に、日本の文系の学問は、数学が必要な反事実2.0を封印している可能性があります。

 

どちらの場合も、現在の因果構造の保持する選択になります。

 

因果構造が変わる(経済成長する)日本という問題設定はなされていません。