データサイエンス

理系の経済学(16)日本独自の責任論の課題

(日本の責任論の間違いを指摘します) 1)確率と責任 起こった結果が、予想された結果と異なった場合に、責任が生じます。 予想された結果が明示されていない場合もあります。 風邪で病院にいって、死亡することは、まず、あり得ません。 一方、ベンチャー…

理系の経済学(15)問題の裏返し

(問題を裏返して解く方法を説明します) 1)30年の見方 日本のGDPがドイツに抜かれ、世界順位は4位に転落しました。日本だけがほぼゼロ成長であり、他国は普通に成長しているので、日本の順位が一方的に下がっています。 これは、日本だけが、労働生産性が…

理系の経済学(11)デザイン思考と責任(第2版)

(責任の評価には、デザイン思考が不可欠です) 1)責任とは何か 政治の意思決定過程は、目に見えません。 教育を含む政治過程では、結果が判明するまで、数十年かかることもあります。 そうなると、因果モデルは複雑になり、失敗の判定や、原因(失敗を作っ…

理系の経済学(14)パレート分布の経済学

(パレート分布の使い方を説明します) 1)春闘 春闘の結果が出ました。 日銀は、金融緩和の変更を検討しています。 春闘が経済の指標になる条件は、正規分布近似が性質して、平均値に統計的な代表値としての意味がある場合です。 しかし、情報化した経済で…

理系の経済学(13)ミームの読み方

(ミームを例に、人文科学の限界を説明します) 1)過去と未来 過去に起こったことが未来にも起こることは保証されていません。 ニュートン力学に始まる物理学は、20世紀の大きな成功を納めました。 アカデミー賞を受賞した映画「オッペンハイマー」の主人公…

理系の経済学(12)ゴジラ-1.0

1)特攻問題の背景 「ゴジラ-1.0」を見ました。 ネタばれになるので、詳細には、書きませんが、「ゴジラ-1.0」は、ゴジラと特攻問題を絡めて組み立ててあります。 生物は、基本的には、自分の生存を優先する行動をとりますが、場合によっては、自分の生息よ…

理系の経済学(11)デザイン思考と責任

(責任の評価には、デザイン思考が不可欠です) 1)責任とは何か 政治の意思決定過程は、目に見えません。 教育を含む政治過程では、結果が判明するまで、数十年かかることもあります。 そうなると、因果モデルは複雑になり、失敗の判定や、原因(失敗を作っ…

理系の経済学(10)政策の評価

(政策の評価をエビデンスに求めます) 1)過疎問題の経済学 過疎問題、弱者救済は、経済成長を阻害します。 これは、投入する税金の利用効率が低いためです。 文化的な最低限の生活を保証するためには、分配の原資である経済成長を優先します。税金の投入…

理系の経済学(9)漬物とDX

(DXが進まない原因はデザイン思考の欠如にあります) 1)政策決定の分析の方法 DXを進めるためには、科学に基づく政策決定(ブリーフの固定化)を進める必要があります。DXの内容は目に見えないので、実際に、科学に基づく政策決定が行なわれているかを検…

理系の経済学(8)経済学の課題

(経済学で解くべき課題を考えます) 1)労働市場の課題 2024年3月5日の予備選挙で、トランプ前大統領は、15州中14州でトップをとり圧勝しました。トランプ前大統領の岩盤支持層は、白人男性の非大卒であると言われています。 経済学の市場原理の仮定は、実…

理系の経済学(7)中世化の課題

(日本の中世化を考えます) 1)2つの勢力 前回の検討を要約すると次になります。 世界では、資本主義や民主主義といった、いわゆる近代的システムがうまく機能しなくなって、中世化の進展が見られる。 日本では、世界に先んじて中世化が進んでいるため社…

理系の経済学(5)2つの経済学

(2つの経済学の可能性を考えます) 1)経済学の課題 経済学が解決すべき課題は、貧困の解消です。 このために、経済成長を最大化する方法を研究してきました。 コブ=ダグラス型関数は、よく使われる生産関数のひとつです。 コブ=ダグラス型関数は次の形を…

理系の経済学(4)デザイン思考の能力

(デザイン思考の能力を考えます) 1)経済学の基本 経済学の基本は、市場原理と経済合理性を仮定します。 経済的合理性とは、人間が利益を最大化する行動をとることを意味しています。 これは、次の2点に分解できます。 第1に、利益の評価ができることです…

理系の経済学(3)グライダーとロケット

(帰納法とデザイン思考を考えます) 1)経済合理性の前提 経済学では、経済合理性を仮定します。 実際のデータには、放蕩息子の経営者も含まれています。 したがって、帰納法では、経済合理性の仮定は導かれません。 2)グライダー リリエンタールは、空…

理系の経済学(2)本音と建前

(経済学は本音を問題にします) 1)2つの前提 前回、説明しましたように、経済学では、市場原理と経済的に合理的な人間の2つの前提をおきます。 経済的に合理的な人間とは、人間の行動は利益を最大化するように選択されるということです。 2)政治倫理…

理系の経済学(1)連続方程式と運動方程式

(連続方程式と運動方程式を説明します) 1)微分方程式の世界 物理学も、経済学も、微分方程式で記述される世界です。 これから、経済学を物理学の視点で整理することが可能です。 地球温暖化のシミュレーションでは、微分方程式を数値的に解きます。 基礎…

プレイステーションとNVIDIA

(半導体ビジネスについて考えます) 1)半導体の話 ソニーグループ傘下で、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」を手がけるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は2024年2月27日、世界で約900人の人員を削減すると発表しました。 米…

政治倫理審査会をめぐって

政治倫理審査会が開かれました。 衆議院の説明は以下です。 < 政治倫理審査会は、政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関です。 本審…

特攻問題の研究(5)フィードフォワードシステム

(フィードフォワードシステムの恐怖について説明します) 1)市場原理の基本 生産性をあげる方法は市場原理しかありません。 これが、前世紀に社会主義国家が破綻した原因です。 生産性をあげるためには、適切な資源配分が必要です。 この資源配分について、…

特攻問題の研究(4)政策と人事

(政権交代の条件を考えます) 1)アメリカのシンクタンク アメリカにおいてシンクタンクは政府高官の供給源の一つであり、特に新政権が発足す る時には、数多くのシンクタンク関係者が政府高官に任命されます。レーガン政権やブッシュ政権では、多数の保守…

特攻問題の研究(3)パーティ券と人権

(パーティ券問題の本質は人権問題です) 1)財産権の課題 野口 悠紀雄氏は、パーティ券問題について、次のように書いています。(筆者の一部抽出) < 自民党裏金問題は、納税義務において、政治家が一般国民と別扱いされていることを明らかにした。国民の…

特攻問題の研究(2)現象とプロセス

(現象とプロセスの違いを説明します) 1)特攻問題はプロセス問題です 特攻が問題になる、あるいは、注目をあつめる理由は、特攻が自死を含むという点にあります。 この自死は、観察可能な現象です。 しかし、特攻の再発を防ぐためには、特攻を生み出した…

リベラルアーツは、有害である

(科学の方法について述べます) 1)リベラルアーツの効能 リベラルアーツが有益であるという意見が巷にあふれています。 書店に行けば、哲学や教養の本が平棚に置かれています。 数学の本やプログラミングの本は、専門書のコーナーに行けばありますが、入…

ノーベル平和賞のジレンマ

(2024年のノーベル平和賞を予測します) 1)ナワリヌイ氏の死 ナワリヌイ氏が、2月16日、刑務所で不審な死を遂げました。47歳でした。 2)ノーベル平和賞の手続き 在ノルウェー日本国大使館による、以下の手続きがあります。 前年の 9 月末: 各国に、来…

民主党の遺産

(民主党政権はどこで躓いたかを考えます) 1)議員立法の課題 選挙によって、多数派政党が入れ替わらない限り、政治資金規正法が、まともに、改正されることは困難です。 しかし、選挙によって、多数派政党が入れ替わっても、多数派政党が、悪法の改正プロ…

悪法もまた法なり

(法律改正のプロセスを考えます) 1)悪法 「悪法もまた法なり」は、プラトンの著書「ソクラテスの弁明」にあるソクラテスの発言と伝えられる言葉で、世に存在する法律は、それが例え悪い法律であっても法律は法律であるため、それが廃止されない限りは守…

憲法と人権の話

(憲法を守っていない、人権を無視した法律があります) 1)パーティ券問題の出所 パーティ券問題は、違法ではないという扱いになっています。 これは、個別法に対して違法でないことをいっているだけで、個別法が新憲法の人権を守っていることを保証するも…

三権分立の話

(三権分立の欠陥について述べます) 1)パーティ券の脱税問題 パーティ券のキャッシュバックは、政治資金ではないと考えられます。 これについては、国税庁の捜査を期待する人もいるようですが、国税庁が、捜査をする可能性は低いと考えます。 その根拠は…

特攻の問題の研究(1)問題の設定

(特攻問題を定義します) 1)特攻と特攻問題 特攻は、太平洋戦争で行なわれた作戦です。 これは、人権無視の作戦であり、「特攻を繰り返さないためにはどうしたらよいか」という視点で、特攻を直接の対象とする研究とより一般的な文化に関する研究がなされ…

AIが仕事を奪わない恐怖

(日本ではAIが普及することは困難です) 1)AIが仕事を奪う話 欧米では、AIが、人間の仕事に入れ替わっています。 欧米では、近い将来AIが人間の仕事を奪うという予測をしている学者が多くいます。 日本の学者には、横の物を縦にする(英文を日本語にする…