2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

オランダ病を理解する(4)

1)メリトクラシー トッド氏の経済成長モデルは、エンジニアが経済を成長させるというものです。 これは、1959年のスノーの「二つの文化と科学革命」の主張と同じです。 スノーは、2つの文化の融和を説いたわけではありません。 経済成長には、工学が必要で…

オランダ病を理解する(3)

1)なせ、経済政策は失敗するか 1990年代以降の経済政策は全て失敗しています。 その原因を考えます。 2)言語の問題 前回の「西洋の敗北」の分析でみたように、経済学が、「育成されて能力を身につけた男女の集合体」を表す言語をもたないことが原因の1…

オランダ病を理解する(2)

1)「西洋の敗北」 トッド氏の「西洋の敗北」は、アメリカの覇権システムに対応する西洋(大国レベルでは、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、日本)を対象にしています。 一方、トッド氏は、<日本は、「敗北する西洋」の一部>であるかと…

オランダ病を理解する(1)

1)オランダ病の定義 日本語版「ウィキペディア」の「オランダ病」を引用します。 < オランダ病(オランダびょう、英: Dutch disease)またはオランダの罠とは、天然資源の輸出により製造業が衰退し失業率が高まる現象を表す経済用語の一つ。 > 英語版「…

日米関税交渉で合意、相互関税15%(4)

1)ドローンの補足 筆者は、「日米関税交渉で合意、相互関税15%(2)」で、次のように書きました。 < 既に、戦闘機は、価値がなくなりました。 ウクライナの戦争では、毎月のように新型のドローンが投入されています。月単位で、新型のドローンを開発で…

日米関税交渉で合意、相互関税15%(3)

1)中国、メキシコ、カナダ トランプ・ディールが、成功する(安定的な解に収束する)条件は、中国、メキシコ、カナダの貿易合意ができることです。 この3カ国以外の貿易合意は、成功する(安定的な解に収束する)条件ではありません。 この3カ国の貿易合意…

日米関税交渉で合意、相互関税15%(2)

1)日米関税交渉の主な合意事項 日米関税交渉の主な合意事項が出てきました。 ロイターは、次のように整理しています。 < 日米関税交渉の主な合意事項は以下の通り。 《関税》 ・相互関税は15%を適用。既存の関税率が15%以上の品目にはかからない。…

日米関税交渉で合意、相互関税15%(1)

1)トランプ大統領の発表 トランプ大統領が、相互関税15%で交渉がまとまったと発表しました。 論点は、「15%は、予想可能であったか」という疑問です。 先に合意した、ベトナムとインドネシアを見ます。 2)ベトナムとインドネシアの合意 2-1)ベトナ…

政党の終わり(9)

1)無知と傲慢 パールは、「因果推論の科学」(p.443)で、1800年代には、既に過去の病気となっていた壊血病が、1世紀後に復活した事例をとりあげています。そして、正しい治療法が失われた原因は、「無知と傲慢(ignorance and arrogance)」であったといい…

政党の終わり(8)

1)反事実と演繹法 小選挙区は、新興政党には不利なシステムです。 小選挙区は、既得権を温存して、変わらない日本をつくります。 変わらないことにメリットがある時代もありますが、現在は、情報社会へのレジームシフトが起きているので、変わらないことの…

政党の終わり(7)

1)得票数の整理 比例区の表1を見ると、自民が、得票率22%、国民、参政、立民が、22%です。 国民、参政、立民の第2グループには、差がありません。 表1 比例代表 党派別得票・獲得議席 党派 得票 得票率 獲得議席 自民 12,670,709 21.6% 12 国民 7,553,1…

政党の終わり(6)

1)階級と宗教 選挙の結果が出る前の20日10時30分に、この原稿を書いています。 参議院選挙では、マスコミは、選挙は政策選択であると主張しています。 小選挙区制度を導入するとき、小沢一郎氏は、小選挙区になれば、イギリスのような二大政党制になると主…

政党の終わり(5)

1)選挙当日 20日は、参議院選挙当日です。 カッツ氏の発言を引用します。 < 家計から大企業へ所得が移る さらに、社会保障給付費は高齢者1人当たり290万円から210万円に減少し、物価変動を考慮すると30%もの大幅な減少となっている。さらに悪いことに、…

政党の終わり(4)

1)ルービン流の解釈 2005年から、20年間に実際に行われた政策(事実)は、以下でした。 < ・社会保険料は、負担増加する。 ・法人税を減税して、年金財源は、消費税を活用した間接税方式へ移行しない。 ・少子化対策には、所得移転をしない。 ・円安政策…

政党の終わり(3)

1)ブロッブとシャローステート トッド氏の「西洋の敗北」には、ブロッブ(Blob)という単語が出てきます。 この単語には非常に多くの意味がありますが、トッド氏は、「外部との知的あるいはイデオロギー的つながりを欠いた指導者集団」という意味で使って…

政党の終わり(2)

1)反事実思考 トッド氏の「西洋の敗北」は、「因果推論の科学」の視点でも、興味深い本です。 例を示します。 第1の例は、「問い」です。 全ての章ではありませんが、章の頭には、「問い」が設定されます。 第1章には次のように書かれています。 < ここで…

政党の終わり(1)

1)西洋の敗北 トッド氏の「西洋の敗北」を読んでいます。 この本は、それまでのトッド氏の著書にくらべると、走り書きの部分が多く、想像をしないと理解できないところがあります。 この本のメインテーマは、「国民国家としての西洋は消滅している」です。…

段落の論理の行方(9)

1)経営問題の所在 演繹法を使います。 ジョブ型雇用で、AIを活用した場合の生産性向上効果を考えます。 マイクロソフト社は、1年間で、22万8000人のうち1.5万人をレイオフしました。 これは、6.6%の削減です。これを5年間続けた場合、29%の削減になりま…

段落の論理の行方(8)

1)レイオフの話 パラグラフの論理で考えると理解できないことが多くあります。 2)パナソニックの場合 パナソニックホールディングスは、2025年5月、グループ内の営業や管理部門を中心に早期退職を募るなどして国内・海外それぞれ5000人、合わせて1万人規…

段落の論理の行方(7)

1)日本のディベート 日本のディベートをリードした松本道弘氏は、三角ロジック(段落の論理)に、トゥールミンモデルを改竄しています。 日本の教育は、段落の論理(共感の論理)に偏っていて、科学的な因果推論を拒否しています。 ソフトウエア工学研究財…

段落の論理の行方(6)

1)疑問 以上のデータから生じる疑問を考えます。 1-1)ワラントと問い トゥールミンモデルは、ワラントの作り方については何もいいません。 また、問い(評価関数)がありません。 この理由は、何でしょうか。 ヒントは、次にあります。 < トゥールミ…

段落の論理の行方(5)

1)Argumentation theory(議論理論) 英語版のウィキペディアを使って、Stephen Toulminの思想を要約します。 その前に、トゥールミンの論理を含むArgumentation theory(議論理論)を振り返ります。 特に、引用の断わりのない部分は、英語版のウィキペデ…

段落の論理の行方(4)

1)第2やまびこ学校 2020年、高等学校の学習指導要領が大幅に改訂され、今までの「現代文」という科目がなくなり、「論理国語」と「文学国語」との選択となりました。 つまり、国語教師は、「論理国語」を教えなければ、ならなくなりました。 この状況は、1…

段落の論理の行方(3)

7)パラグラフの論理 パラグラフの論理は、レシピに例えるとわかりやすいです。 料理は、次のスキーマで出来ています。 材料 + レシピ => 料理 添字をつけて、インスタンスを区別すれば、以下になります。 材料(i) + レシピ(j) => 料理(i,j) 「問い」…

段落の論理の行方(2)

4)設計図 再度、引用すると欧州特別支援教育機構(EASNIE)は、EBPMを次のように説明していました。 < 証拠に基づく政策立案 欧州特別支援教育機構(EASNIE) 「政策の目標に直接影響を与えることを目指すのではなく、政策プロセスに情報を提供するための…

段落の論理の行方(1)

1)段落の論理 世界標準は、パラグラフの論理です。日本では、パラグラフの論理では理解不可能な怪奇現象が頻発します。 石破首相は、<米関税交渉で「安易な妥協せず」>といいます。 << 石破首相、米関税交渉で「安易な妥協せず」ー自動車税率はゼロ求…

表現は、データ取得に優先する(1)

1)魚釣りの話 魚釣りにいくには、釣り竿を準備します。 準備する釣り竿の種類によって、とれる魚が決まります。 あるいは、昆虫採集をするときに、網を準備します。 蝶を採る網では、セミをとることはできません。 釣り竿、網は、データサイエンスにおける…

Peter McDonald教授の出生率予測

オーストラリアのPeter McDonald教授は、「A PROJECTION OF AUSTRALIA’S FUTURE FERTILITY RATES」の著者です。 以下では、McDonald教授の研究とオーストラリアの人口問題のレポートに、McDonald教授の紹介がのっているので、引用します。 なお、以下のレポ…

消費税は簡単に上げられる(4)

5)増税の仕組み 市の水道料金が20%アップするようです。 ポストに、水道料金の値上げに反対するチラシが入っていました。 どこかの政党が、水道料金の値上げに反対しているのでしょう。 東京都は、都議会選挙のまえに、水道料金の無償化をしました。 これ…

消費税は簡単に上げられる(3)

4)就職氷河期世代 法度体制(封建制度)のメンタルモデルで考えれば、大臣のような偉い人は、万能で何でもできることになります。 一方、民主主義のメンタルモデルで考えれば、大臣のようなポストと能力の間には、直接的関係はありません。能力のある大臣…