1)反事実と演繹法
小選挙区は、新興政党には不利なシステムです。
小選挙区は、既得権を温存して、変わらない日本をつくります。
変わらないことにメリットがある時代もありますが、現在は、情報社会へのレジームシフトが起きているので、変わらないことのデメリットが非常に大きくなっています。
たとえば、マイクロソフトは、AIを利用して、1年間に、5%以上のレイオフをしています。
仮に、生産性が1年間で5%アップすると仮定すれば、10年で、1.6倍になります。
これは、AIを使った生産性の向上ができない企業は、10年以内に撤退する可能性が高いことを示しています。もちろん、AIを導入しても、レイオフが出来なければ、生産性があがりません。つまり、年功型雇用は、10年以内に崩壊すると思われます。
過去30年間、年功型雇用に成果主義を取り入れれば、情報社会へのレジームシフトに対応できると考えた経営者が多くいますが、全て失敗しています。ここで、敢えて全てと断言する理由は、数的言語で、モデルを考えた場合には、「年功型雇用に成果主義を取り入れれば、情報社会へのレジームシフトに対応できる」という解は考えられないからです。たとえば、マイクロソフトが1年間で、レイオフにより、生産性を5%アップさせていると仮定します。
この推論は、演繹法です。演繹法の推論は、前提(仮説と初期値データ)が正しければ、正しい推論になります。前提が間違っていれば、間違った推論になります。
ファクトチェックによって反事実を封印すれば、問題は解決できなくなります。
トランプ大統領は、移民を受け入れません。イタリアでも、イギリスでも、移民の強制送還を試みています。
この政策には、人権上の問題があります。しかし、人権上のマイナスと、目先の移民の起こすマイナス効果を天秤にかけて、移民の排斥をしています。
薬を飲めば、副作用があります。副作用をさけて、薬を飲まなければ、全ての治療は止まってしまいます。
「賃上げと物価の好循環」(スタグフレーション政策)には、とてつもなく大きな副作用が生じています。
クマの保全は重要ですが、クマが人間を襲うようになると、プラスより、マイナスの効果が大きくなるので、駆除する必要があります。
クマを何頭駆除すべきかを法律で定めることはできません。
モニタリングをしながら、現場で判断するしか、方法がありません。
全てのクマが、人間を襲う訳ではありませんが、人間を襲うクマがいます。
同様に、全ての外国人が、迷惑を起こしたり、犯罪を犯す訳ではありません。
しかし、迷惑行為をしたり、犯罪を犯す外国人がいます。
実際に発生している外国人の犯罪をどうして減らすかということが問題です。
外国人が犯罪を起こす確率が低いことは、外国人の犯罪を放置してよい理由にはなりません。
クマによって、殺害される人の数は、人間によって殺される人の数より遥かにすくないですが、そのことが、殺人クマを放置してよい根拠にはなりません。
ここで、重要な視点が対策のコストとベネフィットの関係です。
低いコストで、治安の改善効果が大きいのであれば、対策を行うべきです。
データに基づくコストベネフィット計算(CB計算)は封印されていてタブーです。
その理由は、コストベネフィットが明らかになると、政治家が、利権を優先して、補助金や公共事業費を配分することができなくなるからです。
予算の中心が、公共事業費であり、かつ、道路などの社会資本が不足している時代には、コストベネフィット計算は封印されている問題点は、表面化しませんでした。
たとえば、東名高速と名神高速の間で、CB計算をすれば、どちらを先に建設すべきかという答えがでます。しかし、この2本の路線では、どちらも、CB値が大きいので、優先順位が入れ替わっても、大きな問題は生じません。
2010年代に入って、道路建設のCB値は1を切りました。
その結果、そのままでは、新規の道路建設が困難になったため、補正値をかけて、CB値を補正しています。
これは、簡単に言えば、新規道路を建設すればするほど、GDPが下がるフェーズになったことを意味しています。
その一方では、下水道の事故に見るように、既存の社会資本の維持管理はないがしろにされています。
現状(小選挙区、年功型雇用)と演繹法を比べれば、演繹法には、現状を否定する反事実の要素が含まれています。
ファクトチェックで、チェックできる内容は、データだけです。
データの解釈はファクトではありません。
完全無欠な問題の解決方法はありません。
エラーがおきることは、折り込んで、政策を進める必要があります。
さもなければ、何も変わらなくなります。