社会構造の変化の予測(2)
変化の始まり
現在の政治の中心である、池田内閣が作り上げた超過利潤システムは、持続可能ではありません。
持続性が破綻して、いつ変革が起こるかという時期を推定することは困難です。
しかし、ここでは、今書いている小説の設定時期である2030年から2035年の間には、変化が起こっていると仮定します。
この前提にたてば、現在起こっている変化の予兆を探すことが、予測のスタートになります。
1)有権者の投票行動
投票行動においては、無党派層が多数になっています。
これは、既存政党が、与党も野党も、現存する社会グループの既得利権を守って、超過利潤を確保する政策を提案しているので、当然のことと思われます。既得利権グループに属さない人の利益を代表する政党はありません。
労働組合の構成員が減少しているように、既得利権グループの組織票の比率は、急激に低下しています。このため、人気取りの弱者救済政策を、与党も野党も提案しますが、これらの政策は、組織票とは相いれません。組織に属さない有権者、すなわち、無党派層の多くもそのことは承知しているので、無党派層の投票行動は、流動的になっています。
しかし、緑の党のような組織票に依存しない政党が出てくれば、この状況は大きく変わる可能性があります。 今後、ヴァールオーマットのようなアプリが普及する可能性があります。つまり、DXは、超過利潤システムを破壊する可能性が高いのです。
ヴァールオーマットのようなシステムが出てくれば、政党は、派閥力学ではなく、政策で勝負するようになります。これは、現在の、無党派層を新しい政党の投票行動に引き付けるでしょう。
2)立候補者の行動
現在の国会議員に占める世襲議員の割合は高いですが、当選回数の少ない議員では、比率は下がります。
世襲議員に求められている行動は、超過利潤システムを維持することです。システムを維持するために期待されることは、補助金予算の獲得であり、そのための駆け引き、派閥力学であって、政策作成能力ではありません。 つまり、政治とは予算獲得であると理解されています。
このことは、アウトカムズによる政策評価、そのためのモニタリングがほとんど行われていないことでも確認できます。
資金不足が、経済発展の主な阻害要因である場合には、超過利潤システムは、国民の平均所得があがり、貧富の差が減少して、国民全体に、利益をもたらします。しかし、先進国になり、資金供給制約が、経済発展の制約条件でなくなると、超過利潤システムは、技術進歩の阻害要因になり、貧富の差を拡大します。
その結果、政治家は、池田内閣が行ったような、所得の増加を掲げて、選挙に勝つことができなくなります。選挙に勝つためには、パンとサーカスが求められます。
小泉劇場(サーカス)、オリンピック(サーカス)、ふるさと納税(パン)など、例は多く見つかります。
パンとサーカスで、超過利潤システムを続けることは、持続可能ではないため、どこかで破綻します。若年の議員が、連続当選できないので、その兆しはあります。
人間には、ヒューリスティックな認知バイアスがありますので、高度経済成長期がもう一度来ると期待し、それを掲げる政治も支持されます。しかし、先進国の経済成長は、高度経済成長期の超過利潤システムの再現では実現はしません。経済成長の主体は、労働生産性の向上であり、DXの進展です。認知バイアスが崩れれば、立候補者は大きく変容するはずです。
超過利潤システム以外の企業が大きく成長すれば、認知バイアスは崩れます。ユニコーン企業が、GAFAのように大きくなれば、認知バイアスが崩れます。現在の日本では、GAFAたたきの本がベストセラーになっています。これは、日本では、情報産業が成長していないため、高度経済成長の再現を願う超過利潤システムの認知バイアスが、主流のためです。このままで行けば日本は、沈没しますが、ここでは、現状は、夜明け前と考えます。
(以下続く)
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