人口減少と産業構造(7)

アイリスオーヤマの研究(1)

家電メーカーでは、アイリスオーヤマが、業績がよく、最近、工場と倉庫を建設しています。

今回は、社会変化にうまく対応できている企業として、アイリスオーヤマを調べてみました。

アイリスオーヤマは、今まで、中国での生産が多かったのですが、最近は、日本国内にも工場を建設し、国内生産の比率を上げています。国内工場は、生産には、ロボットを使って、人間は、監視と保守だけを担当しています。

一方、大手家電メーカーで、業績が良いのは、ソニーと日立です。ソニーは、画像センサーを除けば、ソフトのコンテンツメーカーを目指しています。

日立も、オールラウンドのメーカーを止めて、選択と集中をしています。家電は、高級品の生産は中止して、低、中価格に絞っていますので、価格帯は、アイリスオーヤマに重なってきています。

日本の大手家電メーカーは、価格競争力を失っています。シャープが、技術者のレイオフをしたときには、アイリスオーヤマは、失業した人の一部を、採用しています。シャープが躓いた理由には、液晶パネルの亀山工場の価格競争力の低下があります。パネルの価格が下がり、高品質であれば、価格が高くとも売れるというビジネスモデルが失敗して、低い価格でしかパネル売れなくなり、作れば、作るほど赤字になってしまいました。

アイリスオーヤマの製品設計は、売れる価格帯を設定して、その中に、何を入れるかを検討する手法です。このため、高価格帯の製品はありません。

シャープが、国内に亀山工場を作るときには、海外の工場との価格競争に巻き込まれるリスクがありました。筆者は、素人目に、無謀だと思って見ていました。シャープの戦略は、ロボットを導入した自動工場であれば、価格競争に耐えられるというものでした。

アイリスオーヤマは、LEDを中国の大連、日本の埼玉工場とつくば工場で作っています。最近は、国内の工場を増設して、国内の生産比率を上げています。アイリスオーヤマは、国内にロボット工場を作ることで、国内生産の海外工場以下のコストダウンを実現しています。つくば、工場の生産ラインは、ラインひとつに人が一人です。これは、監視と問題時の対応のためで、生産自体は、無人です。アイリスオーヤマは、LED電球を、東芝パナソニックの3分の1程度の価格で販売しても利益があがる生産を実現しています。

亀山工場建設の時に比べると、最近の中国は、賃金が上がっているので、条件に違いがあります。しかし、亀山工場がロボット化により、海外の工場より、コストを下げられていたのであれば、価格競争に負けることはなかったと思われます。つまり、亀山工場のロボット化の効果は、従来の国内生産に比べれば、コストが下がるものの、海外工場より、安く作れることを目標としていなかった、あるいは、実現できなかったことになります。

大手家電メーカーには、経営コンサルタントが入っています。経営コンサルタントは、経営上の問題点を見つけて、改善策を提案するのが仕事です。具体的に、どんなことをしているかは、企業秘密でわかりませんが、亀山工場のような大きな投資をする場合には、経営コンサルタントが、レポートを作っているはずです。レポートが出ていたとすると、次の2つが考えられます。

1)レポートが、シャープの首脳陣に忖度する内容で、亀山工場建設案を追認していた。(タイプ1のレポート)

2)レポートは、亀山工場建設に否定的な内容であったが、首脳陣は、レポートを無視して、亀山工場の建設を進めた。(タイプ2のレポート)

このレポートの内容を確認して、対応することは、経営上重要な判断であったはずです。「アイリスオーヤマができることを、どうして、シャープ、パナソニック東芝ができなかったのか」が、疑問点です。 あるいは、理解は、行動変容を引き起こします。

認知科学的に考えれば、口でわかりましたといっても、行動変容が起こらなければ、理解できていなかったことになります。「理解=>認知の変化=>行動変容」という行動変容モデルで、何が起こっているかを考えます。

すると、疑問点は、、シャープ、パナソニック東芝などの家電メーカーは、行動変容モデルの理解に達しなかった、問題点を理解できなかった理由に置き換えられます。

まとめ

経営学では、使われないようですが、認知科学的な問題の整理が有効な可能性があります。

次回は、この点に、踏み込んでみます。