クラウドサービスの怖さ

2021/12/09の日経新聞に、大手建設会社が、ビルOSを開発中という記事がのっていました。

ビルOSは、空調、カメラ、エレベータ、照明、ロボットを制御するそうです。

しかしながら、ビルOSに、勝算はないと思います。

機器を接続制御する規格には、10年以上前から、SCADAがあります。

ただし、セキュリティの問題があり、普及の拡大は進んでいません。

現在は、クラウドサービスに、移行しています。

クラウドサービスを利用すれば、開発者は、セキュリティの心配はなくなります。

コマツが、アマゾンのクラウドサービスに切り替えた理由の一つには、回線の維持管理とセキュリティ対策にかかるコストの削減があると思われます。

2021/11/2の現代ビジネスに、野口 悠紀雄氏が書いているように、新しい資本主義は、情報のサイズで決まります。スマホのOSや、クラウドサービスは、ビルOSより、はるかに大きいのです。

スマホは、驚異的な生産台数によって、ソフトウェアのコストを極限まで、下げました。しかし、それだけでなく、スマホに含まれるセンサーなどのハードウェアの価格も劇的に下げました。

ビルOSには、このスケールメリットはないので、始める前から、勝負は決まっています。

最近、話題になるスマートシティも、筆者には、どこに、OSの勝算があるのか、理解できません。

問題は、センサーのハードではなく、クラウドサービス、OS、データシステムです。

なぜか、これらを論じた記事は見ませんので、スマートシティは、無駄な投資に終わると思います。

なぜなら、ソフト開発であれば、リアルの街は、必須の条件ではありません。シュミレーターで十分なはずです。リアルにこだわる人には、問題も本質が見えていないと思われます。

Googleが、考えているように、クラウドサービスを制するものが、世界を支配する可能性があります。

クラウドサービスの未来は、SFの結末を変えてしまいます。

この問題は、「人口減少と産業構造」シリーズで検討してきましたが、「人口減少と産業構造(15)現実がSFを飛び越していく」で書いたように、アマゾンの対応は、SF小説をも越えています。

小説は完成していませんが、Novel Daysに、「自治体OS売ります」というタイトルで、2021/12/10から、掲載することにしました。

小説の設定時期は、2035年なのですが、アマゾンのクラウドサービスを見ていると、2030年には、小説の世界になりそうに、思われます。

一時は、時間設定を、修正しようと考えましたが、諦めて、時間は、アバウトで、全体の流れを、まとめて、ともかく、中編で仕上げる予定です。

筆者のクラウドサービスとOSの未来像は、小説に書いたつもりです。

人口減少と産業構造(15)現実がSFを飛び越していく 2021/12/06

それにしても、ビルOSの話や、スマートシティ、マイナンバーカードの利用拡大の話を聞けば聞くほど、日本は、既に、「回帰不能点(point of no return)」を越えてしまっているのではないかという気がしてきます。

  • Novel Days

https://novel.daysneo.com/author/Blue_Swan/

-「新しい資本主義」とは何か? それは「データ資本主義」「資本なき資本主義」である 2021/11/21 現代ビジネス 野口 悠紀雄

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89435