階調をなめらかにして、見やすい写真にするには~ローカルコントラスト.vs.シャドウとハイライト(darktable3.0第62回)

逆光などの写真で、明暗の階調が極端になった場合には、暗いところは明るくして、明るいとことは暗くして、階調を滑らかにすることで、暗所や明所がはっきりした写真にすることができます。

カメラメーカは、こうした補正に、各社独自の名称をつけています。

例えば、キャノンはオートライティングオプテキマイザ、ニコンはD-ライティングといった具合です。さらに、こうした各社の機能には明暗の階調補正だけでなく、他の機能も追加され、さらに、バージョンアップによって、追加機能が増大しています。ですので、オートライティングオプテキマイザは階調補正だけでなく、独自の機能が沢山付加されていることになります。でも、複雑すぎてユーザーは理解できていないとも思われます。一方では、スマホの写真補正は、格段の名称を付けず、デジタルカメラより高度な補正を易々とこなします。あまりネーミングにこだわるのも問題ではないかと思うのですが。話が、ちょっと脱線しましたが、今回の話題は、明暗のコントラストが強すぎる画像の階調をなめらかにする方法の検討です。

darktableでこの目的のために、用いられているのは、基本グループにあるシャドウとハイライトモジュールと思われます。これは、逆光などの明暗の差が非常に大きな時には有効なモジュールです。

いっぽうで、明暗の差が、ほどほどの場合もあります。その場合には、ローカルコントラストモジュールを使う方法の検討に値します。

ローカルコントラストモジュールの中間トーンの説明

ローカルコントラストモジュールの中間トーンのところにマウスをかざすと、次のような説明があらわれます。

「中間トーンを定義します。低下させると良好なダイナミックレンジ圧縮(シャドウとハイライトのコントラスト低減)、増加させると強力なローカルコントラストになります。」

そこで、ここでは、この2つのモジュールを比較します。

 

 

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中間トーンの説明

 

ルーアンの大時計

今回の素材はフランスのルーアンの大時計です。

この大時計は、14世紀に設計され、1529 年にフランスのルーアン市内の現在の場所に再建されました。文字盤には、星が散りばめられ中央に太陽が描かれています。針は1本だけです。文字盤の上部の中央の窓は球が埋め込まれ、月の満ち欠けを表しています。文字盤下部の窓は曜日を表わしています。

時計の部分を拡大して示します。

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ルーアンの大時計

 

シャドウとハイライトモジュールによる補正

最初のサンプル1は、シャドウとハイライトモジュールの使用例です。

左が元の画像、右がシャドウとハイライトモジュールで処理した画像です。

建物の壁の暗部は、明るくなって細部が見えるようになっています。

一方、時計の上の屋根の明部は、屋根のスレート?が見えるようになっていますが、若干不自然な感じもします。

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サンプル1


 

ローカルコントラストモジュールの中間トーンによる補正

サンプル2は、ローカルコントラストモジュールの中間トーンを使ったれいです。

モードはローカルラプラシアンフィルタを使っています。

左が元の画像、右がローカルコントラストモジュールで処理した画像です。

建物の壁の暗部は、明るくなって細部が見えるようになっています。これは、サンプル1と同じ傾向です。

一方、時計の上の屋根の明部は、屋根のスレート?が見えるようになっています。また、屋根と時計をつなぐ壁の部分も詳細がわかるようになっています。しかも、この部分の表現は、自然な感じがします。

つまり、明部については、ローカルコントラストモジュールの方が、シャドウとハイライトモジュールより良い結果といえます。

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サンプル2


   

両者の比較

サンプル3では、サンプル1とサンプル2の処理結果を比較しています。

左がシャドウとハイライトモジュールで処理した画像、右がローカルコントラストモジュールで処理した画像です。

明部は、ローカルコントラストモジュールの方が、細部まで階調が復元出来ています。また、暗部も一番暗いところでは、ローカルコントラストモジュールの方が、細部まで階調が復元出来ているとおもわれます。

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サンプル3


 

まとめ

今回の大時計の画像では、階調の復元については、シャドウとハイライトモジュールよりも、ローカルコントラストモジュールの方が、優れているという結果になりました。

もちろん、この結果は、対象とする画像の状態や、処理をかける強さに依存しますので、常に、どちらがいいということはいえません。

結論としては、明暗の差が極端でない場合には、階調の復元に、ローカルコントラストモジュールをつかうことも検討に値するといえます。