一時期のブームはおさまりましたが、AIの性能は日進月歩です。
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安野たかひろ(貴博)氏は、AIについて、2024年7月7日の都知事選のときはIQ96、2025年7月20日の参院選の頃には、IQ 136といいます。
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シンギュラリティ「任期中に来る可能性高い」 安野貴博に聞いた、AI時代を生き抜くうえで一番大事な力とは?2025/08/29 Newsweek
https://www.newsweekjapan.jp/akane_t/2025/08/3_1.php
>>
つまり、1年の間に性能が、40%アップしています。
最近、Copilotにはまっています。Copilotは、聞きにくい質問にも、答えてくれるので、Critical Thinkingをする場合には、非常に有効なツールです。
三菱商事 が、洋上風力から撤退しました。
今回は、この問題をCopilotと考えてみます。
1)現状認識
NHKの報道の一部を引用します。
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Q なぜ撤退を決めたのでしょうか?
最大の理由はコストの問題です。
三菱商事を中心とする事業体は2021年、国が促進区域として公募した秋田県沖と千葉県沖の3つの海域の事業者に決まりましたが、決め手になったのは売電価格の安さです。
このとき三菱商事などの事業体が提示したのは競合他社より2割以上安い1キロワットアワーあたり11円台から16円台と、価格で他社を圧倒しました。三菱商事などは当初、3つの海域で2028年から2030年にかけて発電を始め、あわせて134基の風車でおよそ170万キロワットを発電する計画でした。
しかし、世界的なインフレや円安などを背景に、資材費や人件費などが高騰し、洋上風力発電の事業環境は厳しさが増していきます。
Q 国内の洋上風力発電の現状はどうなっていますか?
政府はことし2月に策定した新たなエネルギー基本計画で、再生可能エネルギーの割合を2040年度には「4割から5割程度」に引き上げる考えを示し、洋上風力はその達成のカギを握るとされてきました。
政府は洋上風力発電に適した海域を法律に基づいて重点的に整備する「促進区域」に指定して、事業者を公募し、これまでに10の海域で事業者が決まっています。
Q 今後の見通しはどうなりますか。
政府は運用指針で事業計画の認定後に事業者が中止を決めた場合の対応を定めています。
それによりますと、事業者に中止の理由を確認後、改めて公募するかどうか検討し、必要に応じて再び公募を行うことが望ましいとしています。
事業を所管する経済産業省と国土交通省は今回の撤退の理由をふまえて事業者が採算をとりやすいようルールを見直した上で、地元の意向も踏まえて改めて公募する方針です。
また、三菱商事などの事業体は今回の事業の保証金としておよそ200億円を国に積み立てていますが、事業を中止したため、保証金は事実上、国に没収されることになります。
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三菱商事 洋上風力からなぜ撤退?今後どうなる?【Q&A】 2025/08/27 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250827/k10014904801000.html
>>
Copliotではなく、Copilot Searchに以下の質問をしたところ、NHK以外の報道がヒットしました。一部を引用します。
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Q どうして撤退することになったの?
A 建設費用が当初の2倍以上に増えてしまい、計画通りに事業を進めるのが難しくなったためです。
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<1分で解説>三菱商事が洋上風力発電から撤退 社長「断腸の思い」 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20250828/k00/00m/020/133000c
>>
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ウクライナ危機によるサプライチェーン(供給網)の混乱や金利上昇、為替変動……。様々な要因がコスト高騰をもたらしたが、特に深刻だったのは「欧州風車メーカー3社の値上げに対して、サプライチェーンを迅速に再構築できなかった」(中西社長)ことだという。風車メーカーの変更や工法の見直し、工事の工程短縮といった様々な策を検討してきたが、抜本的な解決には至らなかった。
国内の洋上風力発電事業では、風車など主要部品の調達をデンマークのベスタス、米GEベルノバ、独シーメンス系の欧米大手3社に依存している。21年までに、三菱重工業や日立製作所といった国内勢が全社撤退したからだ。
欧米メーカー各社は国内事業者との価格交渉において強気の姿勢を崩さず、契約時から出荷までに生じた物価高騰分を国内事業者が負担する「価格調整条項」を盛り込むことが多いという。三菱商事を中心としたコンソーシアムも、風車の調達コストを下げられなかったことが事業撤退の一因となったと見られる。
想定外招いた中国勢の台頭
(以下は有料記事)
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三菱商事が洋上風力撤退 風車高騰で建設費2倍、想定外招いた中国勢の台頭:日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00758/082800007/
>>
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2)論点整理:なぜ巨大プロジェクトは頓挫したのか?
今回の事態は、単に外部環境の変化だけが原因ではありません。そこには、制度設計と事業計画そのものに内在する問題点がありました。
論点①:安すぎた?価格競争を重視した入札制度
企業連合が2021年の公募で落札した際の売電価格は、1キロワット時(kWh)あたり11.99円~16.49円でした。これは、政府の想定や他の事業者の提示額を大幅に下回る、極めて安い価格でした。
当時、この事業で適用されたのは固定価格買い取り制度(FIT)で、入札価格の安さが落札の決め手となりました。結果的に、過度な価格競争が、将来のコスト上昇に対するリスク許容度を極端に低くしてしまったと言えます。
論点②:予期せぬ逆風:ウクライナ危機、世界的なインフレ、円安
落札後に発生したウクライナ危機を契機に、世界は歴史的なインフレに見舞われました。風車の調達コストは2020年から2024年の4年間で1.5倍~1.8倍に上昇したとのデータもあります。当初の安すぎる売電価格では、このコスト急騰を吸収することは到底不可能でした。
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<<
三菱商事が洋上風力から電撃撤退!日本の再エネ戦略は白紙に?1兆円プロジェクト頓挫の真相と未来を解説 | 情熱電力
https://jo-epco.co.jp/passion-d-blog-mitsubishi-offshore-wind-withdrawal/
>>
Copilotに確認してみました。
Q:政府は洋上風力発電に適した海域を法律に基づいて重点的に整備する「促進区域」に指定して、事業者を公募し、これまでに10の海域で事業者が決まっています。このうち、最初に採択された海域の三菱商事は2025年に撤退がきまっています。今後、他の海域の事業者が撤退するリスクはありますか。
<
非常に重要な論点です。三菱商事の撤退は単なる個別事例ではなく、制度設計・事業環境・リスク分担の構造的課題を浮き彫りにしています。以下に、他の促進区域での撤退リスクについて、現状と将来予測を整理します。
他の促進区域における撤退リスク:現状と兆候
現在の状況(2025年9月時点)
- 三菱商事は第1ラウンドで採択された3海域(秋田県能代市沖・由利本荘市沖・千葉県銚子市沖)から撤退を正式表明。
- 銚子市は公式に「事業性再評価の結果、継続困難」と発表し、再公募の準備に入っている。
- 他の事業者(伊藤忠商事、丸紅、JERAなど)は、第2・第3ラウンドで採択された案件について「コスト上昇を織り込んだ計画を策定済み」と表明しており、現時点では撤退の意向は示していません。
撤退リスクの構造的要因
|
要因 |
内容 |
リスク評価 |
|---|---|---|
|
入札価格の過小設定 |
第1ラウンドでは売電価格が極端に低く設定され、資材高騰に耐えられなかった |
高 |
|
外部環境の変動 |
インフレ、円安、風車価格の上昇など、事業環境が急変 |
中〜高 |
|
制度設計の硬直性 |
FIT→FIP移行、送電網遅延、地域調整負担などが事業者に集中 |
中 |
|
技術依存と施工能力 |
SEP船不足、浮体式技術の未成熟、国内施工能力の限界 |
中 |
|
第2・第3ラウンドの改善 |
後発事業者はコスト上昇を織り込んだ応札を実施 |
低〜中 |
結論:撤退リスクは「第1ラウンド案件に集中」、後発案件は制度次第
- 撤退リスクが高いのは、第1ラウンドで過小価格で落札した案件です。三菱商事以外にも、同ラウンドで採択された事業者が再評価を迫られる可能性があります。
- 一方、第2・第3ラウンド以降の事業者は、外部環境の変化を織り込んだ事業計画を策定しており、現時点では撤退リスクは限定的です。
- ただし、制度設計(送電網整備、地域調整、認証制度)が改善されなければ、後発事業者も中長期的に撤退リスクを抱える可能性があります。
必要であれば、これをラウンド別撤退リスク評価マトリクスや制度改善シナリオに展開することも可能です。次はどの角度から掘り下げましょうか?
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Q:ラウンド別撤退リスク評価マトリクスを作成してください。
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以下に、日本の洋上風力発電プロジェクトにおける「ラウンド別撤退リスク評価マトリクス」を構造的に整理しました。各ラウンドの制度設計、価格水準、外部環境対応力、事業者構成などを踏まえた評価です。
ラウンド別撤退リスク評価マトリクス
|
ラウンド |
制度設計 |
価格水準 |
外部環境対応力 |
事業者構成の安定性 |
撤退リスク評価 |
|---|---|---|---|---|---|
|
第1ラウンド |
FIT制度(固定価格) |
極端に低価格(11〜16円/kWh) |
低(インフレ・円安未対応) |
三菱商事単独主導 |
非常に高い |
|
第2ラウンド |
FIP制度(市場連動) |
ゼロプレミアム中心 |
中(PPA活用可能) |
中程度 |
|
|
第3ラウンド |
FIP制度(改訂版) |
ゼロプレミアム+地域加点 |
中〜高(調整スキーム導入) |
外資含む複数連合体 |
低〜中 |
|
第4ラウンド |
FIP+価格調整スキーム |
準ゼロプレミアム水準 |
高(物価変動対応あり) |
国内外の大手連合体 |
低 |
補足ポイント
- 第1ラウンドは価格競争が過熱し、採算性を無視した落札が相次ぎました。三菱商事の撤退はその象徴です。
- 第2・第3ラウンドではFIP制度が導入され、事業者がPPA(企業との直接売電契約)を活用することで、価格変動リスクに一定の耐性を持ちました。
- 第4ラウンドでは政府が価格調整スキームを導入し、資材高騰などの外部要因に対応可能な制度設計となっています。
このマトリクスは、制度設計と撤退リスクの因果関係を可視化するツールとして、政策評価や事業戦略の検討に活用できます。次は、価格調整スキームの設計図や、PPA活用事例の比較表なども展開可能です。どの方向に進めましょうか?
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2)洋上風力発電を考える
ここからが、本番です。
Q:三菱商事が洋上風力から撤退しました。2つ質問があります。
第2に、日本で洋上風力発電を拡大するために、必要な条件は何ですか。
<
三菱商事は2024年末に、英国の「NortH2」プロジェクトなどを含む洋上風力事業から段階的に撤退する方針を示しました。主な理由は以下の通りです:
撤退の背景と要因
|
要因 |
内容 |
|---|---|
|
経済性の悪化 |
欧州を中心にインフレや金利上昇により、建設・運用コストが急騰。特に風車価格や資材費が高騰し、採算性が悪化。 |
|
事業リスクの増大 |
長期にわたる収益予測の不確実性、送電網接続の遅延、漁業・環境規制との調整負担が増加。 |
|
投資ポートフォリオの見直し |
太陽光・水素・蓄電池など他分野への集中を進めており、洋上風力は優先度が低下。 |
|
欧州市場の競争激化 |
現地企業や政府系ファンドが主導する案件が増え、日本企業のプレゼンス確保が困難に。 |
撤退は「脱炭素戦略の後退」ではなく、「選択と集中」の一環と位置づけられています。
日本は2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWの洋上風力導入を目指しています。その実現には以下の条件が不可欠です:
技術・制度・地域の三位一体の整備
|
分類 |
必要条件 |
説明 |
|---|---|---|
|
技術 |
浮体式風力の商用化 |
日本近海は急深な海底が多く、欧州のような着床式が使えないため、浮体式の技術革新が必須。 |
|
制度 |
2025年に法改正が成立し、EEZでの設置が可能に。これにより対象海域が10倍以上に拡大。 |
|
|
インフラ |
港湾・送電網の整備 |
大型風車の建設・保守に対応する基地港湾、系統接続の確保が必要。 |
|
地域合意 |
漁業・自治体との共生 |
法定協議会を通じた合意形成が不可欠。地域の「将来像」づくりと連携が求められる。 |
|
産業政策 |
国内サプライチェーンの強化 |
2040年までに国内調達比率60%を目指し、部材・船舶・人材育成が重要。 |
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Q:第1問に関する質問です。日経ビジネスは、三菱商事が導入を計画した欧州企業の洋上風量発電システムが、中国企業の洋上風量発電システムに価格競争で負けたことが原因であるという説明をしています。価格差はどれくらいありますか。この説明は妥当ですか。
<
非常に鋭いご指摘です。三菱商事の撤退理由に関する「中国企業との価格競争」という視点は、日経ビジネスだけでなく複数の専門メディアでも言及されています。以下に、価格差とその妥当性について構造的に整理します。
欧州 vs 中国の洋上風力設備:価格差の実態
価格差の目安(2023〜2025年時点)
|
項目 |
欧州製(例:Siemens Gamesa, Vestas) |
中国製(例:Goldwind, MingYang) |
備考 |
|---|---|---|---|
|
風車本体価格(1MWあたり) |
約1.3〜1.6百万ドル |
約0.8〜1.0百万ドル |
最大で40〜50%の差 |
|
EPC(設計・調達・建設)コスト |
高水準(労務費・規制対応) |
低水準(国内調達・規制緩和) |
中国は国内一貫体制が強み |
|
メンテナンス契約 |
長期契約・高額 |
短期契約・低額 |
欧州は信頼性重視、中国は価格重視 |
この価格差は、三菱商事が採用予定だった米GE系の設備が中国製よりも高コストだったことと一致します。
この説明は妥当か?
妥当性の評価
|
観点 |
評価 |
理由 |
|---|---|---|
|
価格競争の影響 |
妥当性あり |
欧州製設備の価格高騰により、採算性が悪化。中国製との価格差が事業継続を困難にした。 |
|
三菱商事の撤退理由 |
一因に過ぎない |
撤退は価格差だけでなく、円安・資材費高騰・送電網遅延・地域調整負担など複合要因による。 |
|
日経ビジネスの説明 |
部分的に妥当 |
中国製との価格差は確かに競争力に影響したが、それが「主因」とするにはやや単純化が過ぎる。 |
つまり、価格差は確かに重要な要因ですが、撤退の全体像を説明するには不十分です。三菱商事は「30年間の総収入を総支出が上回る」という採算性の崩壊を主因としており、中国製との価格競争はその一部に過ぎません。
ご関心に沿って、今後は中国製風車の信頼性・故障率・LCOE比較なども掘り下げ可能です。たとえば、Goldwind製の浮体式風車の実証データや、欧州のメンテナンス費用との比較などもご提供できます。どの観点から深掘りしましょうか?
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Q:三菱商事が、自社で技術開発をしなかった、あるいは、できなかったことが撤退の原因ではないですか。
<
結論から言えば、三菱商事が洋上風力の基幹技術を自社開発できなかった/しなかったことは、撤退の間接的な要因として妥当です。ただし、それが「主因」とまでは言い切れません。以下に、技術開発力と撤退の関係を整理します。
技術開発力と撤退の関係:三菱商事の限界と選択
技術開発をしなかった理由
|
観点 |
内容 |
|---|---|
|
商社モデルの限界 |
三菱商事は製造業ではなく、事業開発・投資・調達を担う「商社」であり、風車や浮体式構造の自社開発能力は持たない。 |
|
技術依存構造 |
洋上風力の基幹技術(風車、ナセル、ブレード、浮体)は欧州企業(Siemens Gamesa, Vestas)や中国企業(Goldwind)に依存。 |
|
国内技術基盤の弱さ |
日本国内には洋上風力の部材・設計・施工に関する産業基盤が未成熟で、商社が技術開発を担うインセンティブが乏しい。 |
|
リスク分散戦略 |
技術開発力不足が招いた撤退リスク
|
リスク |
内容 |
|---|---|
|
コスト制御不能 |
技術を外部依存することで、資材費・風車価格・施工費の高騰に対して自社で制御できず、採算性が崩壊。 |
|
特殊船(SEP船)や大型部材の調達が海外依存で、為替・国際需給に左右される構造。 |
|
|
設計変更への対応力不足 |
許認可や環境アセスメントの遅延により設計変更が必要になっても、自社技術がないため柔軟な対応が困難。 |
|
競争力の喪失 |
評価:撤退の「主因」ではないが、構造的な限界を露呈
三菱商事の撤退は、**価格競争・制度設計・外部環境(インフレ・円安)**など複合要因によるものですが、自社技術の欠如が「脆弱な事業構造」を生み、撤退を加速させたのは確かです。
これは、単なる企業の失敗ではなく、日本の洋上風力産業全体が「技術を持たない事業者が価格競争に巻き込まれる」構造的リスクを抱えていることを示しています。
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Q:三菱商事が、プロジェクトの早い段階で、洋上風車システムの調達先を欧米企業から中国企業に切り替えていれば、三菱商事が撤退する確率は低くなったでしょうか。
<
非常に本質的な問いです。三菱商事が早期に中国製洋上風車システムへ切り替えていれば撤退リスクは低下した可能性はありますが、それだけで撤退を回避できたとは言えません。以下に、構造的な評価を整理します。
仮説検証:調達先を中国企業に切り替えていれば撤退は回避できたか?
ポジティブな影響(撤退リスク低下の可能性)
|
要因 |
内容 |
|---|---|
|
価格競争力の向上 |
中国製風車は欧米製より最大40〜50%安価で、資材費高騰や円安の影響を緩和できた可能性がある。 |
|
サプライチェーンの柔軟性 |
中国企業は国内一貫体制を持ち、納期や部材調達の安定性が高い。欧州メーカーの供給制約を回避できた可能性。 |
|
EPCコストの抑制 |
設計・施工・メンテナンスを含む総合契約でコストを圧縮できた可能性がある。 |
これらは、採算性の改善に寄与する要素であり、撤退判断を遅らせる、あるいは回避する可能性を高めたと考えられます。
限界とリスク(撤退を完全に防げない理由)
|
要因 |
内容 |
|---|---|
|
認証・許認可の壁 |
中国製風車は日本の技術基準や認証制度との整合性に課題があり、導入には追加の検証・調整が必要。 |
|
地域合意形成の困難 |
地元漁業者や自治体との協議において、中国製設備への懸念(安全性・信頼性)が障壁になる可能性。 |
|
政策制度の不備 |
FIT価格の低さ、送電網整備の遅れ、環境アセスメントの長期化など、技術選定とは無関係な制度的リスクが多数存在。 |
|
政治的リスク |
安全保障や経済安全保障の観点から、中国製設備の導入に対する政府・世論の抵抗が予想される。 |
つまり、技術調達の変更は「採算性の改善」には寄与するが、「制度設計の限界」や「地域・政治的リスク」までは解消できないのです。
結論:撤退確率は「低下した可能性がある」が、「回避できた」とは言えない
三菱商事の撤退は、価格競争力の不足だけでなく、制度設計・地域調整・事業構造の脆弱性という複合要因によるものです。中国製設備への切り替えは、戦術的には有効でも、戦略的な撤退リスクを完全に除去するものではないと評価できます。
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Q:日本が、今後、自然エネルギー活用を進める上で、「中国製品を利用して価格を押さえ、普及を加速すべきか、品質が高い欧米製品を利用して高価格が原因になる普及速度の停滞を受け入れるべきか」を検討してください。なお、太陽光発電パネルについては、事実上、中国製品の独占になっている点も考慮してください。
<
この問いは、日本の再生可能エネルギー政策における「技術選定と制度設計のトレードオフ」を突く、非常に本質的な論点です。以下に、構造的・制度的・戦略的な観点から検討します。
二者択一の構造:価格 vs 品質の政策的ジレンマ
|
選択肢 |
メリット |
デメリット |
|---|---|---|
|
中国製品を活用し普及を加速 |
初期導入コストが低く、普及速度が速い。地方自治体や中小事業者にも導入しやすい。 |
品質・耐久性・安全保障・制度適合性に懸念。長期運用コスト(TCO)が不透明。 |
|
欧米製品を活用し品質を優先 |
高効率・長寿命・制度適合性・信頼性が高く、公共案件や金融機関の評価が良い。 |
初期コストが高く、普及速度が鈍化。地方導入や中小事業者にはハードルが高い。 |
この構造は、短期の導入速度と長期の制度的安定性のトレードオフを示しています。
太陽光パネル市場の現状:事実上の中国製独占
- 世界シェアの約80%以上を中国メーカーが占有(LONGi, JA Solar, Trinaなど)。
- 日本国内でも住宅用を除き、産業用・メガソーラーはほぼ中国製が主流。
- 価格差は最大で30〜50%。変換効率も近年では欧米製と遜色ないモデルが増加。
- ただし、インバータに不正通信機器が混入していた疑惑など、安全保障上の懸念も報道されている。
検討すべき政策的視点
- TCO(Total Cost of Ownership)評価の導入
- 初期価格だけでなく、保守・故障率・制度対応・保証期間を含めた総合コスト評価が必要。
- 欧米製は高価格でも、20年運用で見るとコスト優位になるケースもある。
- 制度設計による差別化
- 中国製を導入する場合でも、制度的に安全性・認証・保守体制を義務化することでリスクを緩和可能。
- 逆に、欧米製を導入する場合は、補助金・税制優遇で価格差を吸収する設計が必要。
- 用途別の最適化
|
用途 |
推奨製品 |
理由 |
|---|---|---|
|
地方自治体・狭小住宅 |
国産または中国製の小型・柔軟モデル |
設置性・価格・補助金対応力が重要 |
|
公共施設・金融案件 |
欧米製または高品質国産モデル |
信頼性・保証・制度適合性が重視される |
|
分散型蓄電池併設型 |
中国製+EMS連携 |
柔軟性・価格・施工性に優れるが、制度対応が鍵 |
結論:二者択一ではなく「制度設計による使い分け」が鍵
日本が自然エネルギーを普及させるには、価格と品質の二項対立を超えて、「制度 × 技術 × 運用」の統合設計が必要です。中国製品の活用は普及加速に有効ですが、制度的な安全性・信頼性の担保が不可欠。一方、欧米製品は公共性・長期安定性に優れますが、価格差を吸収する制度的支援が必要です。
関心に沿って、次は「TCO比較表」「制度設計の国際比較」「用途別最適技術マップ」なども展開可能です。どの方向に掘り下げましょうか?
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Q:洋上風力発電プロジェクトの入札では、電力価格を基準にして採択プロジェクトが選抜されました。この入札が、TOCに基づいていれば、三菱商事のような採択企業の撤退がおこるリスクは低かったといえますか。
<
この問いは、制度設計と事業リスクの関係を問う非常に鋭い視点です。結論から言えば、洋上風力発電の入札がTOC(Total Ownership Cost:総保有コスト)に基づいて設計されていれば、三菱商事のような撤退リスクは確実に低下した可能性が高いと評価できます。ただし、それには制度的・実務的な前提条件が伴います。
現行制度の問題点:電力価格のみを基準とした入札
日本の第1回洋上風力公募(2021年)は、FIT制度(固定価格買取)を前提に、売電価格の安さが主な評価軸でした。三菱商事連合は、1kWhあたり11〜16円台という極めて低価格で落札し、競合他社より2割以上安かったと報じられています。
しかしその後、資材費の高騰・円安・風車価格の上昇などにより、建設費が当初見込みの2倍以上に膨らみ、採算性が崩壊。結果として、三菱商事は524億円の減損を計上し、撤退に至りました。
TOCとは、初期投資・運用・保守・撤去・制度対応などを含めた事業全体のコスト評価です。これに基づく入札であれば、以下のような違いが生じていた可能性があります:
TOCベース入札の利点
|
観点 |
内容 |
|---|---|
|
採算性の精査 |
単なる売電価格ではなく、風車価格・施工費・保守費・制度対応費を含めた総合評価が可能。 |
|
リスク耐性の向上 |
インフレ・為替・資材高騰などの外部変動に対する感度分析が事前に行われる。 |
|
技術選定の合理化 |
安価な中国製 vs 高品質な欧米製の選定が、長期運用コストに基づいて判断される。 |
|
地域合意形成との整合 |
調整費用や漁業補償などもTOCに含めることで、地域との共生コストを可視化できる。 |
結果として、過度な価格競争による「安値落札→撤退」の構造は回避できた可能性が高いです。
制度的課題:なぜTOC評価が導入されなかったのか?
|
要因 |
内容 |
|---|---|
|
評価の複雑性 |
TOCは事業者ごとに異なる前提・技術・資金調達条件を持ち、比較が難しい。 |
|
政府の制度設計能力 |
FIT制度は導入初期に普及促進を重視したため、簡易な価格評価に偏った。 |
|
公共調達慣行 |
日本の入札制度は「価格重視」が根強く、長期的な事業性評価が制度化されていない。 |
|
政策目標との整合性 |
再エネ導入量の目標達成を急ぐあまり、事業の持続可能性よりも導入速度が優先された。 |
結論:TOC評価の導入は撤退リスクを低下させるが、制度設計の改革が不可欠
三菱商事の撤退は、価格のみを基準とした入札制度の限界を露呈した象徴的な事例です。TOCに基づく入札評価が導入されていれば、事業者のリスク耐性や長期的な事業性がより正確に評価され、撤退リスクは確実に低下していたと考えられます。
関心に沿って、次は「TOC評価項目の構成表」「欧州の入札制度との比較」「制度設計の改善案」なども展開可能です。どの方向に掘り下げましょうか?
>
Q:「欧州の入札制度との比較」をしてください。
<
日本と欧州の洋上風力発電入札制度の比較は、制度設計の成熟度と事業リスク管理の違いを浮き彫りにします。以下に、構造的に整理しました。
欧州 vs 日本:洋上風力入札制度の比較
制度設計の比較表
|
観点 |
欧州(例:英国・ドイツ・デンマーク) |
日本(2021〜2024年時点) |
|---|---|---|
|
入札評価基準 |
売電価格(FIT/FIP)中心。初期は価格偏重で事業性評価が不十分 |
|
|
送電網整備 |
政府主導で海底ケーブル・陸上変電所を整備(セントラル方式) |
事業者負担が大きく、接続費用が不透明。系統接続の遅延リスクあり |
|
サプライチェーン支援 |
長期的に港湾・製造・訓練を整備。国内産業育成と連動 |
国内基盤が未成熟。SEP船や風車部材は海外依存 |
|
地域合意形成 |
地域貢献スキーム(漁業補償・雇用創出)を制度化 |
法定協議会はあるが、調整費用や地域振興策は事業者任せ |
|
リスク分担 |
政府が制度的・インフラ的リスクを吸収し、事業者は技術・運用に集中 |
事業者が制度・インフラ・地域調整まで広範に負担 |
|
制度の安定性 |
長期的に安定した制度設計。予見性が高く、投資判断がしやすい |
毎回ルール変更あり。第2ラウンドでは評価基準や容量制限が変更 |
解説と補足
- 欧州では、**政府が送電網や港湾整備を担う「セントラル方式」**が一般的で、事業者は発電設備と運用に集中できます。これにより、事業リスクが分散され、撤退リスクが低下します。
- 日本では、FIT制度に基づく価格競争型入札が主流で、事業者が過度なリスクを負う構造になっていました。三菱商事の撤退はその象徴です。
- 欧州は30年かけてサプライチェーンを整備してきたのに対し、日本は制度設計が未成熟な段階で競争を先行させたため、制度と産業基盤の乖離が生じています。
結論:制度の成熟度とリスク分担が撤退リスクを左右する
欧州の制度は、事業者の長期的な事業性と地域との共生を制度的に担保する設計になっており、撤退リスクを構造的に低減しています。日本が今後洋上風力を拡大するには、価格競争から脱却し、TOC評価・インフラ整備・地域貢献を統合した制度設計への転換が不可欠です。
ご関心に沿って、次は「セントラル方式の制度設計図」「地域貢献スキームの国際比較」「送電網整備の財政モデル」なども展開可能です。どの観点から掘り下げましょうか?
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