みずほ銀行の障害について、調べていたときに、2種類のDXを区別すべきではないかという気がしました。
汎用機は、信頼性を上げるために、高品質部品をつかったので、高価で、メモリー容量も小さかったです。
1974年に、インテルが、PC用8ビットチップi8080を出します。これが、16ビットになって、1981年にIBMーPCが出ますが、ネットワークはありません。イーサネット規格は、1980年にオープン規格として、公開されます。1980年代に、ワークステーションが拡がり、ネットワークで接続されます。1990年になるとインターネットが普及し始め、PCのOSがGUIを標準で備えるようになります。
この辺りまでが、DX0.1です。
DX0.1は、人間が行う処理を、コンピュータに置き換えました。PCの性能は上がりましたが、依然として、処理速度は、汎用機やスーパーコンピュータの方が速かったです。AIも研究されていましたが、人間の思考パターンを分析して、コンピュータが、人間の代わりをするというアプローチです。ここでは、あくまで、主役は人間であったて、脇役がコンピュータです。
2005年くらいに、クラウドとスマホの普及が始まります。AIが本格的に使えるようになったのは、2012年からです。1990年から20年がたっています。ムーアの法則では、性能は18か月で2倍ですから、3年で、4倍になります。21年で考えると4の7乗=16384倍に性能が上がっています。2011年から9年たてば、4の3乗が加わりますので、30年で、合わせて1048576倍になります。この状態が、今言われている、DX、DX1.0 です。
DX0.1とDX1.0は全く別物です。DX1.0では、主役はシステムで、人間はサポートです。
自動運転を考えても、運転するのが人間で、ナビがサポートするのであれば、主役は人間です。
これが、テスラの自動車になれな、主役は、自動運転で、人間がサポートです。
同様に、DXでは、コンピュータシステムが組織の主役であって、人間はサポートです。組織は、コンピュータシステムが有効に機能するように作り替える必要があります。
こうして整理すると、みずほ銀行のシステムも、マインバーカードも、DX0.1の世代の製品であることがわかります。
この2つの区別ができない人に、DXの説明をすることは、不可能に思われます。
DX0.1の発想は、コンピュータは人間の代わりをするという発想ですから、「シンギュラリティをコンピュータの思考能力が人間に追いつくのはいつか」という質問に置き換えてしまいます。「シンギュラリティとはAIが人類の知能を超える技術的特異点(転換点)」という理解です。
カーツワイルが、そんなことを言うはずはありません。Wikiには、「レイ・カーツワイルは、技術的特異点を人工知能の能力が人間の能力を超える時点としては定義しておらず、$1,000で手に入るコンピュータの性能が全人類の脳の計算性能を上回る時点として定義しているのみである」と書かれています。これは、ムーアの法則による性能向上のレベルを言っているだけです。つまり、多くの人は、DX0.1でものを考えるバイアスがあるということです。「全人類の脳の計算性能」を考えることは、ネットワーク上のシステムに集団意識があるという発想の反映です。これは、アマゾンの商品のおすすめを意識と考えた場合に、どのように抽象化して、システム設計に取り入れるかという現実的なコーディングの課題です。
あなたが、アマゾンのおすすめで、商品を選択した場合に、「それは、あなたの意識の問題か、アマゾンのコンピュータシステムの意識の問題か、アマゾンのコンピュータシステムが、おすすめを作成するデータを提供した過去の購買履歴を作成した、カスタマーの意識の問題か」区別はできません。つまり、集団意識がネットワーク上にあると考えることが自然です。
DX0.1の言語と、DX1.0の言語は、日本語と英語くらい違います。DX1.0は、データサイエンスの上に乗っています。この言語は、プログラム言語、アルゴリズム、数式です。文章は、少なくとも、コーディングを意識して、アルゴリズムになるように書かれていなければ、不正確でどうにもなりません。
まとめると、DX0.1とDX1.0 の間にギャップがあると思います。ギャップの解消方法は、データサイエンスやコンピュータサイエンスを理解ひない限りは埋まらないと思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%9A%84%E7%89%B9%E7%95%B0%E7%82%B9
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