消費税増税なしに大きな政府はできない

2021/09/25のニューズウィークで、パトリック・ハーラン氏が、自民党の総裁選の候補者は、完全にリベラルで、保守とは言えないとしています。

 


<富の再分配に弱者救済...自民党総裁選の候補たちの主張は、アメリカ基準では完全にリベラル。もう「保守」と名乗らなくてもいいんじゃない?>

安心感、寄り添う、度量の広い、寛容。こういった形容詞は、手厚い社会福祉制度が働く、ダイバシティーを受け入れるインクルーシブな社会を目指すリベラル派が普段使うものだ。アメリカでは、規制を廃止し、減税しながら公的サービスの削減を目標にする「小さな政府」主義の保守政策を表現するとき、「ぬくもり」なんか用いられない!

これらの形容詞に「本来の保守主義」をくっつけるのは、アメリカ人の感覚では「肉汁あふれる、うまみと脂身たっぷりでなめらかな舌触りの......レタス」のような、意外過ぎる発言になる。

野田聖子候補においても同じような現象が見受けられる。立候補表明をしたぶら下がり会見では弱者救済を中心に立候補の動機を述べた:「これまで主役になれなかった女性、子ども、高齢者、障害者が生きる価値があると思える保守の政治をつくりあげたい」。ほかの場でも、LGBTQ、貧困、孤独などに苦しむ人々に寄り添うとして、「全ての国民が力を発揮できる『フェア』な制度」を目指すと宣言している。

アメリカ人が理解する保守は実力主義の社会を理想とする。弱者救済に政府が執着すると、結局は実力で成功した人の資産を取り上げたり、優秀な「強者」から公平なチャンスを奪ったりする結果になる!というロジックに沿って、いわゆる救済策に原則として反対する。野田さんが言っている「フェア」はアメリカの保守が考える「アンフェア」に当たる。


この指摘は、極めて需要です。

DXが遅れているのは、DX弱者に対して、実害のある救済策を行っている可能性が高いです。

みずほ銀行が、システムトラブルを起こして、金融庁がクレームをつけていますが、銀行は護送船団方式で、大蔵省の指導に従えば、自動的に利益を生みだす仕組みでした。その代わりに、天下りを受け入れてきました。つまり政府が介入して、自由な競争を排除してきた結果、現在の状態に陥っています。

ここには、まともな規制緩和はありません。

大きな政府を目指すのであれば、消費税率が高くなります。

小さな政府を目指すのであれば、消費税率は低く抑えられます。

規制をするような余剰人員を抱えておいては百害あって、一利なしと考えます。

消費税率を上げないで、大きな政府できません。

消費税率を上げないで、弱者救済ができません。

河野候補が、「消費税+弱者救済」を発言したら、たたかれていますが、消費税に反対するのであれば、弱者救済に反対することになります。これは、たたく方がおかしいのです。

野党は、連合の支持を受けていますが、消費税を上げてこなかった結果、サラリーマンの社会保険料がうなぎ上りに増えてしまいました。連合は、労働組合員の利益を考えれば、消費税に賛成するのが筋です。

経済関連の新聞をみていても、DX人材の採用が盛んで、年俸は、1700万円から2000万円提示している会社もあると書かれています。この記事は、年俸は、出来高に合わせて払われるべきであるというアメリカ流の保守に反します。というのは、執筆者は、出来高に関係なく、年俸を記載しても、おかしいと感じていないからです。これが、共産党の機関紙であれば、こうした記載もわかりますが、経済関連の新聞であるところが、異常です。

経済が30年間、落ち込んでいます。日本人も、外国人も、優秀な人は、国外に脱出するようになっています。2021/09/22のニューズウィークで、石戸 諭は、「千人計画」で、国外に、移住する科学者がいるのは、国内の処遇に問題があるからだと、反論しています。

日本にまともな保守政党がないこと、「消費税率を上げないで、弱者救済をする」という、財政破綻にまっしぐらの政策を、抵抗なく、発言するばかりが多いことは、重大な問題点かもしれません。

なお、過去に、社会財源にすると公約しておきながら、消費税の増税分が、社会保障に使われなかったことは事実です。しかし、それをもってして、消費税の増税では、社会保障は改善しないと主張することは、論理のすり替えです。消費税を導入するときには、そもそも税率をあげないと公約してスタートしています。約束違反が、常態化すれば、全ての政策の執行は不可能になります。守れない約束をすることもこれに含まれます。この部分は、法治国会の基盤になるので、問題があっても、常に改善する以外に方策はありません。

https://www.newsweekjapan.jp/pakkun/2021/09/-929-nhk-lgbtq-2.php

https://www.newsweekjapan.jp/ishido/2021/09/post-19.php