労働生産性とDXの課題

衆議院選挙の公約は、配分と経済成長ですが、重点は、配分に置かれています。 配分は、ある程度は、政治的な駆け引きで決められるマージンがありますので、政治のテーマになりやすいです。

典型は、共産主義で、配分をイデオロギーにしています。マルクス系の思想家は、経済発展は、あって当たり前、配分だけが問題であると考えがちです。

マルクスは、資本主義経済が進むと、行き詰まって、共産主義になると考えましたが、共産主義革命が起こった国は、資本主義が遅れた国でした。資本主義が行き詰まって、共産主義になったのではありません。このあたりから、配分を論ずるときには、経済発展を無視する傾向が出てきます。

資本主義に、イノベーションが必要か、否かは、よくわかりませんが、イノベーションによって、資本主義経済が発展してきたことは事実です。

今世紀のイノベーションは、ITです。DXや、A Iがイノベーションになります。 ITのイノベーションは、過去のイノベーションとは大きく異なります。

それは、書いたこと、言ったことが実現するからです。

昔の知識人は、良いアイデアがあれば、それを文章にしました。文章は、誰かが読んで、実行することで、現実化します。

建築の設計図は、誰かが、図面を解釈して、工事を行うことで、建物ができます。

プログラムは、書かれたものですが、コンピュータを通せば、内容が現実化します。

3Dプリンタがあれば、プログラム化された図面は、人間がいなくとも、現実化します。

プログラムとは、人間を介在することなく、書かれたものを現実化する仕組みです。

あなたが、「アレクサ、あかりをつけて」と言った場合、この言葉は、プログラムに変換されています。

その結果、言ったことが現実化します。

このことが理解できれば、労働生産性の向上において、DXが決定的な役割を果たすことがわかります。

DXのシステムは、作る人と使う人がいます。

デジタル庁で問題になったのは、DXの利用であり、導入です。

しかし、主戦場は、DXを作る部分にあります。GAFAが、圧倒的な収益を上げている理由は、DXのシステムを作り、自らが利用者、第1号になることで、競争優位にたてるからです。

つまり、労働生産性を上げるためには、労働生産性を上げるツール(DXシステム)を導入することと、労働生産性を上げるツール(DXシステム)を作ることの2つがありますが、効果が高いのは後者です。

プログラムの機能のまとまりを、モジュール(ライブラリ)と言います。モジュールは、一番、最初は、プログラム言語を使って作りますが、一旦モジュールができると、モジュールは、モジュールを使って記述できます。

「アレクサ、あかりをつけて」は、プログラム言語ではありませんが、モジュールを起動することで、プログラム言語と同じ機能を実現します。

日本のDXでは、DXシステムの導入の議論が、なされていますが、世界のスタンダードは、DXシステムの導入はできて当たり前で、DXシステムの開発(内製)が企業の生き残りを左右すると考えられています。

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