庭のおくら

5月の連休にミニトマトと一緒にオクラの苗を買ってきて植えました。しかし、オクラの苗は全く大きくなりません。枯れはしないものの高さが一向に伸びません。

オクラは、根がまっすぐに伸びるので、移植には適していないのです。ですから、本来であれば、オクラは直播で、移植せずに育てるのが基本です。オクラは、F1は少ないですし、秋に簡単に種がとれるので、採種して、ひたすらたくさんの種をまくのが乾いた土地であればよいと思います。我が家の庭でも、こぼれ種から次の年に実がなったこともあります。

それにもかかわらず苗を植えているのは、発芽したばかりのオクラは、ナメクジの好物で、すぐに、双葉が食べられてしまうからです。つまり、土壌が湿りがちな時には、ナメクジ対策をするか、苗を植えるかの選択になります。

オクラを直播する場合のもう一つの難点は、発芽する地温が高いことです。オクラは暖かくなってからまかないと発芽しません。これは、雑草との生育競争では不利な条件です。

オクラを見ると、アフリカのガーナのオクラ畑を思い出します。一緒にいった方が、農民がオクラの種をまくときに、地面の棒で穴をあけて、そこに種を入れて蒔くというのです。この方法では、鍬入れをしないので、地面が固くなって、良く育つわけがないといっていました。つまり、農業技術のレベルが余りにも低すぎるというのです。

そのあとで、文芸春秋を読んでいたら、曽根綾子さんが、元米国大統領カーター財団のNPOの活動をしている記事がありました。曽根さんがいうには、アフリカの農業指導で、身の丈にあった技術として、地面に棒で穴をあけて種をまくことを啓蒙していて、効果があるというのです。ガーナのオクラ畑も、技術指導を受けた結果かもしれません。

しかし、日本の小学生に種を蒔かせたら、棒で地面に穴をあけることくらいはすると思うので、この話は眉唾な気もします。生きていくのに2次方程式は不要だといった曽根さんのことだから、勘違いしているようにも思われます。種を蒔くときに問題になるのが、覆土の厚さと、種を固定して、土壌水分が一定になるように、かけた土を締固めすることです。棒をつかうのは、地面に穴をあけるためではなく、覆土の厚さと締固めを管理する方法として、有効だからではないでしょうか。下手に耕して覆土厚さを間違えるよりは、適切なサイズの棒を使った方が良いとおもいます。また、オクラの根は深くまで達するので、不耕起のデメリットは、小さいと思われます。

さて、庭のオクラは、ちっとも成長しないので、実はならないものとすっかりあきらめて忘れていました。ところが、8月の下旬になって、実がついていました。忘れていたので、すっかり大きくなり、市販のオクラの倍くらいのサイズになっていました。流石に硬くなって食べられないかと思ったのですが、美味しくいただけました。タケノコもそうですが、成長の速い植物は、伸びた直後に刈り取って、すぐにたべれば、固くないのです。ただし、大きくなって、2、3日したら、食べられないとは思います。この辺りが、市販品を購入しているだけではわからない家庭菜園の面白さです。