移民嫌い(1)

1)移民嫌いの理由

 

庶民は、移民が嫌いです。

 

これは、人種差別ではなく、生物の本能的な反応です。

 

ここには、「問い」があります。

 

これは、「移民が増えても、自分たちの所得は増えず、生活の利便性が減少するだけだろう。最悪の場合、所得が減少するか、生活費が増加して、住み続けることが困難になる」という「問い」です。

 

移民問題に答えるためには、この「問い」に答える必要があります。

 

2)オーバーツーリズム

 

この問題は、オーバーツーリズムに似ています。

 

京都では、観光業で、食べている人は人口の10%です。人口の90%の人は、所得が増えず、利便性が低下します。利便性の低下を機会費用に換算すれば、人口の90%の人の所得が減少しています。

 

つまり、人口の90%の人の減少した所得と、人口の10%の人の増加した所得を考えれば、この現象は、人口の90%の人から、人口の10%の人に所得移転が起きていることになります。これは、レントシーキング経済になります。

 

京都は、国内の移住者に対しても閉鎖的な社会です。京都に移住しても、3代住み続けなければ、住民と見なされないと言われます。京都の経済は、寺社の本山が多いように、レントシーキング経済に依存する部分が大きいので、このような文化になったと思われます。

 

京都は、寺社を中心とした、それまでのレントシーキング構造を温存しているのでオーバーツーリズムを、受け入れているのでしょうか。

 

CNNによれば、オーバーツーリズムは、実際に、機会費用の減少につながり、経済的なダメージを生じます。

 

スペイン東部バルセロナの旧市街に住むポンペウ・ファブラ大学のマイテ・ドミンゴ・アレグレ准教授は、この10~15年で街がすっかり変わり果てたと話す。もともと多かった観光客は今や季節を問わずに連日押し寄せ、住民の数をはるかに上回るようになった。道路が混雑するだけではなく、その波及効果はさらに深刻だといいます。中心街では食料品や衣料品の店、レストランに至るまで大半の店舗が観光客向けになり、値上がりした。Airbnbに事実上追い出された住民や、「ここは高くてもう住めない」と出て行った友人も多いといいます。

短期宿泊レンタルが家賃を押し上げた結果、地元の人々は、家賃が高騰して住宅市場から締め出されています。観光客用の店が増えて、スーパーなど日常生活用品を買う店舗が減少した上、店舗間の競争がなくなるので、価格も高止まりします。

 

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「あなたたちは来なくていい」、365日押し寄せる観光客に欧州の住民は辟易 2025/08/26 CNN

https://www.cnn.co.jp/travel/35237167-2.html

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CNNによれば、オーバーツーリズムには、発生のステップがあり、予測も、制御も可能であると主張する人もいます。

英旅行業協会(ABTA)と独立ツアーオペレーター協会(AITO)の会長も歴任したジョセファイズ氏は、2013年、クロアチア南部ドブロブニクで開催されたABTAの年次総会で「この先、格安航空の急拡大と短期宿泊レンタルの急増が重なり、新たな旅行者受け入れ能力が大量に開拓された結果、価格が下落して、大規模な格安旅行の時代が到来するという重大な問題が起きる」と予告しました。ジョセファイズ氏は、「オーバーツーリズムをめぐる地元住民の言い分はもっともだ」と話します。

ジョセファイズ氏はこの5年間、数々の魅力的な旅行先がやがて過密状態に陥る様子を目の当たりにしてきました。ほとんどの例が同じ経緯をたどるといいます。

ST1:まずサンビルのようなツアー業者が、人の行かない目的地に目をつけます。ほかの旅行者に取り囲まれたくないという顧客にはぴったりの場所です。そして手始めに週1回のチャーター便を手配し、顧客を送り込みます。こうして、最初の2~3年は比較的少数の観光客で地元の経済も潤い、穏やかな時期が続きます。

ST2:だが評判が広がると、格安航空会社がそこへ行く便の運航を開始し、翌年にはチャンスを逃すまいと競合各社が参入します。

ST3:いきなり多くの便が殺到するようになり、座席を埋めようと各社が競って運賃を下げます。結果的に、格安市場が一番の多数派になります。増加する旅行者の数に宿泊先が追いつかず、住民は短期宿泊レンタルへの投資に乗り出します。

ST4:「とっておき」の旅行先は、まもなく人ごみであふれかえるようになります。裕福だった一番乗りの旅行者たちとは違い、格安航空で訪れてAirbnbを利用し、現地にあまり金を落とさない多数派市場の人々です。一番乗り組は別の場所へ移り、そこでまた新たなサイクルが始まります。

 

ジョセファイズ氏は次にこのサイクルに入る旅行先のひとつとして、ギリシャのサモス島を挙げる。島には今年、英国から週に一度だけ直行便が運航しているが、今後さらに増える見通し。格安航空各社の動向が注目される。

 

ジョセファイズ氏はきっぱりと、「もう有象無象はいらない。ひどい言い方に聞こえるし、だれにでも旅行する権利はあるが、人数が増えるばかりで手に負えなくなっている。金のない客に来てほしいかどうかは、観光地次第だ」と言います。

 

ジョセファイズ氏によれば、欧州では今のところ、料金を上げて格安旅行の客を完全に締め出すというより、人数制限に重点を置く観光地が多いといいます。

 

最悪の事態を予言したジョセファイズ氏も、修復は可能と考えています。ジョセファイズ氏は一例として、ポルトガルの首都リスボン近郊の海岸リゾート、エストリルを挙げました。70年代にマスツーリズムの客が押し寄せたのに対して、当局が高級化を図った成功例です。

 

ジョセファイズ氏は「修復は可能だが、時間がかかる。観光地にとっては自ら成長を抑制するほうが、後になって修復するよりはるかに容易だ」と指摘しています。



CNNの記事では、Airbnbの報道担当者は、声明で次のように主張しています。

Airbnbは旅行者の分散化を進め、地域社会により多くの利益をもたらす、新たな旅のしかたを提示している。オーバーツーリズムが実際にはどこで悪化しているかというと、Airbnbが厳しく規制されている街だ。オランダの首都アムステルダムバルセロナでは、短期宿泊レンタルへの厳格な規制が導入されると同時に、ホテルののべ宿泊者数と宿泊料が急上昇した。有効なオーバーツーリズム対策を講じたい街は、家族や地域社会を応援する観光に注力するべきだ。

 

どちらが正しいかは、わかりませんが、ジョセファイズ氏のモデルでは、具体的に、オーバーツーリズム問題の解決方法を設計することができます。

 

Airbnbの主張では、具体的に、オーバーツーリズム問題の解決方法を設計することはできません。

 

ジョセファイズ氏とAirbnbは、ともに、旅行業者なので、利害関係者です。

 

利害関係者は、レントシーキング経済に組み込まれていますので、発言は、レントシーキング活動である可能性があります。

 

CNNはパラグラフの論理で考え、「問い」は「旅行する『権利』はだれにあるのか」であるといいます。

 

ジョセファイズ氏が指摘したように、対策は、料金を上げて格安旅行の客を完全に締め出すか、人数制限するかで、欧州では後者に重点を置く観光地が多いようです。

 

3)移民の受入れ問題

 

移民を受け入れた場合、学校の教師であれば、日本語以外の言語に対応する必要がでてきます。これも、機会費用で考えれば、所得減少になります。外国語のできる職員を追加で配置することもあります。こうした、追加費用は、税金で、払われます。低所得の庶民の所得税は低いです。とはいえ、消費税は、とられています。

 

つまり、移民の導入は、庶民の会計から企業への所得移転になります。

 

企業の経営者と御用学者は利害関係者なので、移民を受け入れても経済的にマイナスにはならないと主張します。それどころか、移民を受け入れないと、経済がマイナスになるといいます。しかし、この主張は、庶民の本能的な判断には合いません。

 

庶民は、移民の受け入れについて、相談をうけたことはありません。

 

選挙で、移民の受け入れの是非を問題にしたのは、参政党が最初でした。

 

政府は、公式には、移民を受け入れないと主張してきました。

 

しかし、身の回りを見れば、外国人が大勢います。

 

外国人はふえているのに、給与は減りづづけています。

 

最近、政府は、移民を受け入れないという公式見解を勝手に捨てて、移民ありが前提の主張をしています。

 

政府は、移民を受け入れないと経済がもたない、給与が下がると言います。

 

しかし、移民を受け入れているのに、給与は下がりつつけているので、庶民は、政府の話は信じられません。

 

政府の主張は、ジョセファイズ氏の主張より、Airbnbの主張に似ています。

 

この主張には、問題を解決するための提案が含まれていません。

 

ジョセファイズ氏のオーバーツーリズムとモデルと同様に考えれば、「移民がふえても、自分たちの所得は増えず、生活の利便性が退化するだけだろう。最悪の場合には、所得が減少するか、生活費が増加して、住み続けることが困難になる」という発展段階モデルを作ることができます。

 

次は、ジョセファイズ氏のオーバーツーリズムとモデルを参考に、Copilotに作ってもらった「移民拡大の発展段階モデル(Overmigration Development Model)」です。

 

オーバーツーリズムの発展段階モデルをベースに、移民拡大の発展段階モデルを構築すると、社会的・経済的・文化的な変化の波が見えてきます。以下に、類似の構造でST1〜ST4の段階を提案します。

 

移民拡大の発展段階モデル(Overmigration Development Model)

ST1:静かな導入期

まず、移民支援団体や人材紹介会社が、人口減少や労働力不足に悩む地方都市や産業地域に目をつける。 少数の移民が技能実習や留学などの形で受け入れられ、地域社会に新しい活気が生まれる。 地元住民も「助け合い」の感覚で受け入れ、文化交流や経済効果に期待が高まる。

キーワード:希望・共生・地域活性化

ST2:制度化と拡大期

評判が広がると、自治体や企業が制度的な受け入れ枠を拡大。 技能実習・特定技能・留学生・家族帯同など、複数のルートから移民が流入。 住宅・教育・医療などのインフラ整備が追いつかず、行政対応が後手に回ることも。 一方で、地元経済は人手不足の解消により活性化し、企業はさらなる受け入れを推進。

キーワード:制度拡張・経済効果・行政対応の遅れ

ST3:人口構成の変化と摩擦期

移民人口が急増し、地域の人口構成に変化が現れる。 学校・病院・公共施設で言語・文化の違いによる摩擦が顕在化。 一部住民は「生活の変化」に不安を感じ、受け入れに抵抗感を示すようになる。 同時に、移民コミュニティが形成され、独自の文化圏が生まれる。

キーワード:文化摩擦・多文化共生・地域分断

ST4:再編と選別の時代

初期に受け入れに積極的だった地域は、社会的負荷や制度疲弊に直面し、受け入れ制限や再編に動き出す。 裕福な移民や高度人材は都市部や条件の良い地域へ移動し、地方には低所得層が集中。 一部の地域では「移民依存型経済」が定着し、他方では排除や再構築の動きが始まる。 新たな地域が「次の受け入れ先」として注目され、サイクルが再び始まる。

キーワード:選別・再編・移民経済・新たな流入

補足:このモデルの応用可能性

  • 都市計画、教育政策、医療制度、地域経済の設計に活用可能
  • オーバーツーリズムと同様、「初期の期待」と「後期の摩擦」のギャップを可視化
  • 地域ごとの段階を診断することで、予防的な政策設計が可能になる

このモデルを図式化したり、具体的な地域事例(例:北海道の農業地域、九州の造船業地域など)に当てはめることもできます。ご希望なら、図解や地域別の診断モデルも作成できますよ。どこまで掘り下げてみましょうか?

 

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