2020-03-22 作成
2020-03-25 改訂
トーンイコライザーの機能
darktable3.0の追加モジュールで、RGBワークフローを行う上で重要なモジュールは、フィルミックRGBとトーンイコライザーです。
画像編集を初めたばかりで、取り付けれる機能は、露光と彩度の変更です。カメラの撮ってだしに満足できなくなる要因はこの2つと思います。
従来のワークフロー
サンプル1は元の画像です。最初に従来のワークフローを試してみます。
サンプル2は、「コントラスト、明るさ、彩度」の中で、明るさと彩度を変更しました。
サンプル3では、「シャドウとハイライト」をつかって、暗所を持ちあげ、明所を抑えています。
このような暗所を持ちあげて、明所を抑える操作は、カメラメーカにもあります。100%、「暗所を持ちあげて、明所を抑える」訳ではありませんが、NikonのアクティブDライティング(ADL)やCannonの「オートライティングオプティマイザ」は多くの場合にはこうした操作になります。
なお、「コントラスト、明るさ、彩度」の明るさ(ガンマ補正)を優先して使うというアイデアは、「たくきよしみつ」氏によります。詳しくは、以下を見てください。
たくきよしみつ ガバサク談義
画像ソフトIrfanViewの使い方(3)
https://gabasaku.com/iview3.html
よいRAW現像ソフトの条件
新しいRAW現像ソフトが出てきたり、バージョンが上がると、WEBでは機能紹介がよくなされます。こうした記事では、まるで、機能の沢山あるRAW現像ソフトが優れているといった印象を与えます。実際にdarktableには、モジュールが77あるので、初心者がすべてを使いこなすことは難しいです。ですので、「たくきよしみつ」氏のように、機能を限定する、あまり、編集しすぎないという立場が出てくるわけです。
しかし、darktabkeの開発チームが考えているよいRAW現像ソフトの条件は次のものです。
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編集による画像劣化が少ない。
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モジュール間の操作が独立している。モジュールAを操作したあとで、モジュールBを操作するとき、モジュールBの操作によって、モジュールAの編集結果が影響を受けことはない。実際には、多くのモジュールはトーンマッピングをいじっているので、例えば、A,B,C3つのモジュールを操作する場合には、他のモジュールによるモジュールの操作の影響を修正するために、繰り返し操作が発生します。もしも、モジュール間が独立していれば、Aー>B->C->の操作で済むところを独立していないために、Aー>B->C->A->B->C->...と繰り返す必要が生じます。
コントラスト、明るさ、彩度」の明るさ(ガンマ補正)もは、画像劣化の問題があります。そして、「シャドウとハイライト」では、この問題がさらに大きくなります。
全ての画像編集の中で、画像劣化のリスクが最も小さい操作は、露光の変更です。これは、RGBの値に、係数をかけることを意味します。画像編集で、画像劣化を避けるために、第1に選択すべき操作は露光です。
RGBワークフローでのトーンイコライザーの使い方
ですので、サンプル1の画像に、まず、サンプル4のように露光を変更します。
次に、トーンイコライザを使うわけですが、トーンイコライザーがアンセルアダムスのゾーンシステムに強く影響されていのるで、まず、ゾーンの説明をします。
サンプル5は、サンプル4の画像をゾーンシステムモジュールで表示したものです。
ここでは、ゾーンシステムモジュールは、ゾーンシステムの説明のために表示しただけで、画像処理には使いません。RGBワークフローでは、ゾーンシステムモジュールは使ってはいけません。
ソーンシステムを使うと画像は明暗の異なるゾーンに分けられます。アンセルアダムスのゾーンシステムでは、このゾーンごとに、露光処理を分けて行います。
サンプル6はトーンイコライザーを起動して使用している例です。トーンイコライザーのシンプルモードは、1EV単位のゾーンに対応します。トーンイコライザーを使うと、ゾーンごとに露光を調整できます。使用法は、スライダーの上でマウスを左クリックすると対話モードになります。明画面にマウスを動かすと、マウスポインタの位置の露光の値が表示されます。変更したいゾーンにマウスポインタをおいて、ホイールを動かすと、露光が変更できます。
トーンイコライザーは、ゾーンごとにマスクを作って、そこで、露光を変更します。画像編集のアルゴリズムは露光なので、画質劣化が最小になります。「明るさ(ガンマ補正)」や「シャドウとハイライト」などと比べると、画像劣化が少ないだけでなく、対象とするゾーンを中心に画像処理を行うため、きめ細かな画像編集ができます。
トーンイコライザーの露光の変更レンジが、オーバーになる(右または、左一杯になる)場合には、露光に戻って露光を再度調整してください。普通の露光は、全てのゾーンに効くのに対して、トーンイコライザーは指定したゾーンを中心とした部分に効くのが大きな違いです。厳密に考えなければ、指定したゾーンにだけ効くと考えてもらってかまいません。
トーンイコライザーは、画像の露光を調べるツールとしても使えます。
フルサイズセンサーのレンズ交換式カメラを販売しているカメラメーカーのHPにはサンプル画像が掲載されていることがあります。RAWのサンプルが提供されていることは少なく、ほとんどがJpegですが、トーンイコライザーで、Jpegのダイナミックレンジを調べることができます。実際に調べてみると、狭いレンジしか使っていない画像が多いことがわかります。おそらく、最大の原因はベースカーブにあると思われます。
基本調整モジュール
今までdarktableには自動画像調整ルーツがありませんでしたが、3.0から、基本調整モジュールの中に、自動モードが出来ました。これは、簡単なので、初心者が使いたくなりますが、注意が必要です。見れば、分かりますが、基本調整モジュールは、露光モジュール、「コントラスト、明るさ、彩度」モジュールなどよく使うモジュールが組み合わさっています。基本調整モジュールで注意しなければならないことは次の点です。
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組み合わさったもとのモジュールをいじってはいけません。
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基本調整もジュールは、ベースカーブワークフローなので、RGBワークフローでは使ってはいけません。
色の問題
とはいえ、RGBワークフローは、色の問題については、未完成なので、万能ではありません。
筆者としては、新しいモジュールができるまで、3D-LUTでしのぐことをお勧めしますが、3D-LUTも万能ではありません。特に、Jpegファイルの色を、RGBワークフローで出すことは困難です。
そこで、もう一つの解決方法は、注意して使うべきモジュールであるカラーゾーンを使う方法です。
How to learn darktable 3.0 first time right?
https://discuss.pixls.us/t/how-to-learn-darktable-3-0-first-time-right/15467
ここでは次のワークフローが推奨されています。
カラーゾーンよりは、画像劣化の少ないカラーバランスを優先して使うのが原則ですが、カラーバランスは自由度が低く、調整が難しいです。なので、ここでは、カラーバランスがスキップされています。
カラーゾーンについては、別途検討してみます。
Darktable事始め(darktable3.0第1回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2019/10/10/000917
Version3.0.1のリリース(darktable3.0第1回追補)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/13/215303
RGBワークフローの非推奨モジュール(darktable3.0第2回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/13/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第3回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/15/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第4回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/16/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第5回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/17/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第6回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/18/000000
フイルミックRGBの基本操作(darktable3.0第7回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/20/000000
Jpeg編集ソフトとしてのdarktable(darktable3.0第8回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/21/000000
トーンイコライザーの使い方(darktable3.0第9回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/22/000000
フォーカスピーキングモードの使い方:フードフォト編(darktable3.0第10回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/23/000000
カラーゾーンの使い方(darktable3.0第11回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/24/000000
カラーゾーンの使い方:桜の事例(darktable3.0第12回)