2020-03-15 作成
2020-03-16 改訂
2020-03-25 改訂
トーンマッピングの使用目的には、色の調整がありまます。
トーンカーブを調整することで、色合いを調整する方法は、スタイルファイルとして、広く使われています。代表的なものに「dtstyle」がありますが、これは言わば、トーンカーブ集になっています。
dtstyle a darktable styles repository
しかし、トーンカーブをいじってしまうと、フィルミックRGBのカーブによる調整結果は崩れてしいます。
一方、将来は次のようなモジュールが予定されています。
「100%RGBカラーバランス(ブレンディングを含む)を書き直し、鮮やかさを追加」、「トーンイコライザーに似たカラーイコライザーで、ピクセルの輝度に応じて彩度、鮮やかさ、アブニー効果を調整し、フィルムのRGBカーブを引き立る」
現実には、darktable3.0ではRGBワークフローをする場合には、色関係のモジュールが不足しています。
現時点ではのお勧めはカラーバランスですが、このモジュールで、サンプル1のベースカーブの処理と同じような青を出すことは難しいです。特に、空に注目してください。

3D-LUT
そこで、ここでは、3DーLUTを使った例を示します。
カラーモジュールがバージョンアップするまで、まだ、10か月くらいかかりそうなので、新しく、darktableを始める人向けのアドバイスです。今更、ベースカーブワークフローを使うのも不毛なので、筆者としては、3DーLUTを使う方法を勧めます。
サンプル2は右が3DーLUTを使った場合で、左がカラーバランスだけを使った場合です。空の色は、カラーバランスだけだと薄くなりがちです。

サンプル3は逆光写真の例です。右が3DーLUTを使った場合、左がカラーバランスだけの場合です。
ここでも空と風車の青緑色の表現が3DーLUTを使うと容易になります。ノイズが目立ちますが、これは、強い逆光写真なので、やむを得ない部分があります。

3DーLUTの色合いはかなり強く出ることが多いです。対策は次の3つです。
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色合いのあまり極端でないパラメータファイルを使う。
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ブレンドマスクをつかって、混合する強さを弱める。
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カラーバランスで、彩度をあげすぎないようにする。
3D LUTへの各社の取り組み
以下のように、ここ2年ほどで、カメラメーカーは、ベースカーブを使わないLog撮影と3D LUTのテーブルを提供しています。ただし、これらは全て動画を対象にしており、静止画での利用には言及していません。
3D LUTはトーンカーブ(1D LUT)の一般化になっており、動画に特化したものではありません。動画に特化した間違った説明をしている場合も見かけられますが。試しに、以下のメーカーの3D LUTファイルをdarktableで読み込んだところ、問題なく利用することができました。
メーカーによっては、動画については、ベースカーブはダイナミックレンジを狭めるので問題があり、ベースカーブを使わないlog撮影ファイルを保存し、そのあとで、3DーLUTを使うことを推奨しています。
ということは、カメラメーカーは、darktableの作者と同じように、ベーズカーブの問題点を認識しながらも、静止画については、放置していることになります。これは、最終出力が7EV以下の紙出力であることを前提に、センサーのダイナミックレンジをつぶしているためと思われます。
これからみると、フィルミックRGBのワークフローは例外ではなく、これからの主流になると考えてよいと思います。また、写真集は紙媒体より電子書籍の方が、トーンがよくなります。かさばらない点も魅力です。
カメラメーカーと写真店が共同して、コンテストを行って、紙媒体の展示会を開くというのは、フィルム時代のノスタルジアにのりかかったアナクロニズムではないでしょうか。そのために、撮影時の露光やRAW現像のワークフローがゆがめられているとしたら本末転倒であると思います。
現時点では、標準化が進んでいるのは、24bitのRGBをつかったJpegですが、24bitよりダイナミックレンジの大きなビデオコントローラーも出てきており、おそらく、ディスプレイ上でJpegよりHP Photoなどのダイナミックレンジの大きな画像の標準フォーマットが普及するのも時間の問題と思われます。
F-Log用3D-LUTファイル 更新日:2020年2月26日 F-Log_LUT_J_Ver.1.15.zip [4.56MB]
あるいは
https://www.fujifilm.com/support/digital_cameras/software/lut/
F-Log動画に他社製のLUTを適用できるのか?
動画編集ソフトによりLUTを適用する手順は異なります。そのため編集ソフトの説明書等で使い方をご確認ください。
Blackmagic Design社製 DaVinci Resolve用 3D-LUT > ダウンロード
https://cs.olympus-imaging.jp/jp/support/cs/soft/3dlut/3dlutdl.html
Nikon N-Log用3DLUT
https://downloadcenter.nikonimglib.com/ja/download/sw/168.html
Software: Sony Look Profile (3D LUT)
https://pro.sony/en_PK/product-resources/software-firmware/1237494271390
Canon lookup table 201911版
https://cweb.canon.jp/drv-upd/dvc/canon-lut-201911.html
Cannon Log3
https://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log-3/index.html
Gamut / Gamma Transfer 3D LUT (3D Look-Up Table) 17 Grid, Version 1.0
https://hk.canon/en/support/0200422502/4
Darktable事始め(darktable3.0第1回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2019/10/10/000917
Version3.0.1のリリース(darktable3.0第1回追補)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/13/215303
RGBワークフローの非推奨モジュール(darktable3.0第2回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/13/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第3回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/15/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第4回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/16/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第5回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/17/000000
RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第6回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/18/000000
フイルミックRGBの基本操作(darktable3.0第7回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/20/000000
Jpeg編集ソフトとしてのdarktable(darktable3.0第8回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/21/000000
トーンイコライザーの使い方(darktable3.0第9回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/22/000000
フォーカスピーキングモードの使い方:フードフォト編(darktable3.0第10回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/23/000000
カラーゾーンの使い方(darktable3.0第11回)
https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/24/000000
カラーゾーンの使い方:桜の事例(darktable3.0第12回)