初めてのdarktable3.4(19)
ここのところ、モノクロの使用例として、説明した内容をゾーンシステムの面で整理しておきます。
それから、カメラ内現像に相当する簡単な表示参照ワークフローを紹介します。
ゾーンシステムのワークフロー
RAWファイルの現像(Jpegへの変換)の大きなポイントは、次の2つです。
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露光(画像の明暗)の調整
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ホワイトバランスを中心とした色の調整
図1では、1.に関係したモジュールを青色で、2.に関係するモジュールを黄色で示しています。
ゾーンシステムに対応する部分は、青色の部分です。
ゾーンシステムは、原風景のダイナミックレンジ(ラチチュード)のうち、表現した部分が落ちないようにRAWに撮影します。そして、RAWのダイナミックレンジで、Jpegに変換するときに、中間トーンを表現したい部分に大きなダイナミックレンジを割り当てる方法です。アンセル・アダムスの現像法は、フィルミックRGBで表現できます。しかし、トーンイコライザーでも、ほぼ同等の変換ができます。ただし、2つを使うと混乱のもとになりますので、主に、フィルミックRGBを使い、トーンイコライザーは補助でよいと思います。darktable3.2までは、フィルミックRGBの変換のレンジが狭かったため、トーンイコライザーを併用しないと、ゾーンの割り当てが一部、うまくいかない場合がありましたが、darktable3.4では、この問題はほぼ解消しています。
覆い焼きと焼き込みは、露光モジュールまたは、トーンイコライザーモジュールでインスタンスを追加することで、簡単にできます。細かな調整をするのであれば、トーンイコライザーが使いやすいです。
簡単な表示参照ワークフロー
カメラ内現像レベルの一番簡単な、表示参照ワークフローを紹介します。
写真1が、元の画像です。
写真2は、ベースカーブモジュールをつかって、カメラメーカーのプリセットのベースカーブを呼び出しています。これは、プリファレンスで、シーン参照ワークフローを設定してあった場合で、その時には、履歴でフィルミックRGBの前に戻って、ベースカーブモジュールを使います。プリファレンスで、表示参照ワークフローがセットされている場合には、自動的に、ベースカーブモジュールとカメラメーカーのプリセットカーブが呼び出されますので、写真2の処理は不要です。これは、履歴をチェックして、画像を読み込んだ時に、自動的にベースカーブが適用されているかをチェックすれば確認できます。ベースカーブモジュールが使われていれば、写真2の手順は、スキップしてください。
写真3は、基本調整モジュールです。カメラ内現像に相当する編集は、このモジュール1つで行うことができます。スライダーを調整して、好みの画像に修正してください。注意することは、基本調整モジュールは、他のモジュールのスライダーをかき集めてきたものであるということです。例えば、露光(exposure)は露光モジュールのスライダーのコピーです。しかし、基本調整モジュールの露光のスライダーを動かしても、露光モジュールのスライダーの位置は変化しません。ですから、基本調整モジュールの露光スライダーを動かし、更に、露光モジュールの露光スライダーを動かすと、収拾がつかなくなるので、この操作は、行ってはいけません。
基本調整モジュールは、各モジュールから、使用頻度の高いスライダーのコピーを集めて、ひとまとまりにしたものなので、コピーされていない、より使用頻度の少ないスライダーを使うためには、コピー元のモジュールに戻らなければなりません。したがって、慣れてきたら、個別のモジュールの方が使いやすくなるはずです。つまり、あくまでも入門用のモジュールと割り切るべきです。
写真4は、暗所だけを持ちあげています。そのために、ここでは、シャドウとハイライトモジュールを使っています。基本調整モジュール内のスライダーでは、こうした操作はできません。シャドウとハイライトモジュールは、ほぼ100%のRAW現像ソフトについている機能なので、ここで、紹介しています。しかし、このモジュールを使うと画像劣化が起こります。トーンイコライザーは、darktable以外では見かけないと思われますが、ほぼ同じことができ、画像劣化は非常に少ないです。これも、試して見てください。