RGBワークフローの非推奨モジュール(darktable3.0第2回)

はじめに

ここでは、darktable3.0の新しいワークフローを紹介しています。

darktable3.を実際に使ってみて、ライトテーブルの操作や、パラメータのセットの仕方など、和文の解説が少ない部分について、和文の解説はあった方がようですが、これらは、「あったほうが良い」レベルであって、なくとも、試行錯誤で、ソフトをいじっていれば使えるようになります。これらは、2.6については、古い記事で書きましたが、バージョンアップによって、一部では、3.0にあっていない部分があります。

一方、RGBワークフローの使いこなすことは難題です。

darktableのダークルームを開くと、77のモジュールがあるわけですが、このうち20のモジュールは使うべきでない、2.6以前のワークフローは破棄して、新しいワークフローを習得すべきであるといわれます。

一方、現在の3.0のマニュアルには、使うべきでないモジュールの記載はほとんどありません。

ですので、このブログの過去の記事でも、細かな間違い(使うべきでないモジュールを使ってしまった)事例は沢山あります。

そこで、ここでは、一番の難題である「RGBワークフロー」の紹介を試みます。

なお、混乱をさけるため、問題のある古い記事は、削除したいと思います。

画像のフォーマットとワークフロー

「ベーズカーブワークフロー」の問題点は、前回書きましたが、復習もかねて要約すれば次の点が問題です。

RAW現像は、RAWのRGBの信号の値をJpegのRGBの信号に変換する操作です。この変換のうち最も大きな影響を与えるのは、RAWの値を人間に視覚に近いといわれる明るい信号に対数重みをつけたベーズカーブによる変換です。通常、この後で、トーンカーブや、ここのモジュールによる微調整を行います。ベーズカーブ変換は、明るい部分以外の信号の持っているトーンを損ないます。

トーンカーブや微調整を行うモジュールは、メニューは独立しているように見えますが、内部では、トーンカーズを変更している場合が多く、実際には、独立ではありません。つまり、後のモジュール操作によって、前のモジュールの編集効果の一部が失われることが多発します。その結果、モジュール間で、微調整を繰り返す無限地獄に陥りがちです。

画像編集を行う場合に、濃淡のトーンと色は独立して編集した方が、使いやすいので、RGB色空間のデータはいったんLab色空間に変換されます。ここで、Lがトーンのチャンネル、a、bが色のチャンネルです。ところが、Lab色空間のチャンネルの独立性は、ダイナミックレンジが6.5EVを超えると破綻してしまい、機能しなくなります。ダイナミックレンジの広いRAW画像は。Lab空間では、処理できないのですが、レガシーとして、古いモジュールが使われています。

以下の記述は次に基づいています。


Darktable 3:RGB or Lab? Which Modules? Help!

Original post in French by Aurélien PIERRE, edited by the pixls community.

https://pixls.us/articles/darktable-3-rgb-or-lab-which-modules-help/


さて、次図は、darktableでRAW画像を読み込んだ時の履歴を示しています。

ここでは、「画像の向き」の後に「ベースカーブ」が示されています。実際のモジュールのパイプラインでの順番は履歴とは異なりますが、取り合えず、履歴で選択されている「ベースカーブ」を「画像の向き」に変更すれば、ベーズカーブの処理が外れた状態になります。

 

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ベーズカーブ


 

次図は、右パネルのモジュールグループで、一番右のアクティブモジュールを表示したものです。このモジュールの順番が、実際のパイプラインの順番になります。これらのモジュールは、通常はRAWをJpegに変換するときに必要となる最低限の操作で、RAW画像を読み込むと、モジュールを指定することなく、自動的に処理が行われます。

 

 

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パイプライン

 

 

さて、「ベースカーブモジュール」には、問題があるので、「RGBワークフロー」では、「ベーズカーブ」モジュールの代わりに「フォルミックRGB」モジュールを使います。

Jpegの場合には、カメラ内現像で、既に、「ベースカーブ」が適用されていますので、RAWのように、「べースカーブ」モジュールをキャンセルして、代わりに「フォルミックRGB」モジュールを使うことができません。ですので、「ベースカーブ」ワークフローを使うことになります。ただし、ダイナミックレンジが6.5EVを超える場合には、問題が生じます。

画像のフォーマットと適したワークフローの関係は次図のようになります。

 

 

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画像フォーマットとワークフロー

 

非推奨モジュール

非推奨モジュールは以下です。このうち、15.曲線はcurvesですが、この名称のモジュールはありません。バーズカーブとトーンカーブの2つのモジュールを指すものと思われます。

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非推奨モジュール

次が注意して使うべきモジュールです。

 

 

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注意して使うべきモジュール

 

基本のワークフローで推奨されるモジュールは以下です。

これは、トーンと色モジュールですので、これ以外に、トリミング等の形状に関するモジュールは使ってかまいません。

 

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推奨モジュール

 

 

目次

Darktable事始め(darktable3.0第1回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2019/10/10/000917

Version3.0.1のリリース(darktable3.0第1回追補)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/13/215303

RGBワークフローの非推奨モジュール(darktable3.0第2回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/13/000000

RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第3回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/15/000000

RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第4回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/16/000000

RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第5回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/17/000000

RGBワークフローの基本操作(darktable3.0第6回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/18/000000

フイルミックRGBの基本操作(darktable3.0第7回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/20/000000

Jpeg編集ソフトとしてのdarktable(darktable3.0第8回) https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/21/000000

トーンイコライザーの使い方(darktable3.0第9回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/22/000000

フォーカスピーキングモードの使い方:フードフォト編(darktable3.0第10回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/23/000000

カラーゾーンの使い方(darktable3.0第11回)

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/03/24/000000

カラーゾーンの使い方:桜の事例(darktable3.0第12回)

予定