コメの価格を下げる方法(2)

マスコミの報道を眺めてみます。

 

田崎氏は「備蓄米の放出も、農水省が自主的にやったのではなく、官邸がやらせたんです。官邸の中には、農水省がJA農協と結託してコメの値段が下がらないようにしているのではないかと。コメの値段が高い方が農協にとっても、農水省にとってもいいんですよ。コメの値段を下げろと言ってもやらないもんだから、党にやらせようとしているわけです。(農水族の)石破さんは、農水省の問題だってずっと分かっているんですよ」と話しました。

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田崎史郎氏 コメ価格、17週連続上昇に「明らかに農林水産省の失敗」「高い方が農協、農水省にとって…」2025/05/08 スポニチ

https://news.yahoo.co.jp/articles/69eda8142302afd7f36b56fbc97534d8c4994a50

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田崎氏は、内部情報を暴露しています。真偽はわかりませんが、いかにもありそうな話ではあります。

 

杉村氏は「僕からすると、なんでコメの価格が1年で2倍にもなっているのかと。これは突き詰めて、高くても売れるということが業者が分かってしまったというところも大きいと思う」と述べた。

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杉村太蔵 コメ価格、17週連続上昇に「収穫量は変化ない。高くても売れるということが業者が分かって…」2025/05/08 スポニチ

https://news.yahoo.co.jp/articles/9842c5904fd0d3e1de20e786af5ffe0f5db2419e

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杉村氏は、寡占市場(カルテル)の問題を指摘しています。カルテルのある場合には、供給量は足りていても、価格があがります。経済学でみれば、輸入米が入ると、寡占市場は崩壊します。

 

半世紀にわたる減反政策で農家の自主性を奪い、供給力を破壊し、国際競争力を失わせた。その結果、わずかな天候不順や需給変動で価格が乱高下する脆弱な構造を作り上げた。その失政のツケが回ってきたのが、現在の「コメ・クライシス」である。

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コメ価格高騰の江藤農水大臣、過去にとんでもないデタラメ行為…今「胃に穴が空く思い」は本当なのか 2025/05/09 Minkabu 小倉健一

https://news.yahoo.co.jp/articles/55e384697e17e7d7193190ba72e6dad0f281287d?page=1

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小倉健一氏は、減反政策が、高いコメ価格の原因であると指摘しています。

 

2025年の秋の新米は、5kg4000円を超える可能性があります。

 

JA全農にいがたでは、買い取り価格(概算金)は、60kgあたり、2024年産は、2024年8月時点で、1万7000円でしたが、2025年産は、5月2日時点でプラス6000円で2万3000円です。2025年産の買い取り価格が正式決定するのは、8月ごろなので、今後、変化する可能性があります。

 

JA全農あきたでは、買い取り価格(概算金)は60kgあたり、2024年産は、1万8800円でしたが、2025年産は、5月2日時点でプラス5200円で2万4000円です。こちらも、買い取り価格が正式決定するのは、8月ごろです。

 

コメだけでなく、農水産物全般の統計調査に係る人の数は、以下です。

  • 2010年は、約2400人、
  • 2020年は、約1260人、
  • 2022年は、約1040人と、減少しています。

 

推計生産量のサンプル数は、以下です。

  • 1992年、約1万2500筆。
  • 1993年から1996年、約1万2000筆。
  • 1997年から2023年、約1万筆。
  • 2024年、約8000筆。

 

農林水産省は、サンプル数が減ったことについて、「水稲の作付面積が減少していることを踏まえ、それに対応した精度を確保するための必要な見直しを行った結果であり、政策上必要な統計精度を確保した調査設計でやっていて、正確性は確保されている」

と話しています。

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なぜ?秋の新米価格も高止まりの可能性 夏は高温予報 暑さに強いコメ転換への課題 2025/05/08 テレ朝

https://news.yahoo.co.jp/articles/ace99b6669eb3db37b803094f7c5e9f612005ab8

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前回指摘したように、概算金には、高い米価を固定化させる機能があります。

 

分散の相対精度はサンプル数に依存します。したがって、「正確性は確保されている」

は、間違いです。

 

さて、収量予測の方法では、サンプリング・ルールが問題になります。

 

農林水産省の資料に次のように書かれています。

 

耕地面積調査及び水稲作付面積調査については、平成25年(2013年)から従来の筆別土地台帳による母集団情報に替えて、GIS(地理情報システム)と空中写真(衛星画像等)を活用し、電子化された母集団情報に基づく対地標本実測調査に移行した。

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面積調査の概要

https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/menseki/gaiyou/index.html#10

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作況予測 人工衛星データ等を利用した作柄予測手法による作柄文字情報(西南暖地の早期栽培等※)

 

予想収穫量

①全国の全ての土地を200m四方(北海道は、400m四方)に区切って編成した単位区のうち、水田が含まれる単位区を母集団とします。②この母集団の中から全国で約8,000単位区を標本単位区として無作為に抽出します。③抽出された標本単位区ごとに水稲が作付けされている水田の中から無作為に抽出された1枚の水田を作況標本筆(調査対象ほ場)として抽出(注)します。④抽出された作況標本筆について、ほ場の対角線上から無作為に選択した3か所を調査箇所とします。

 

〇 主⾷⽤の収穫量は、その年の10a当たり収量に主⾷⽤の作付⾯積をかけたもの。

〇 算出に⽤いる10a当たり収量については、標本調査として全体の縮図となるように⽔稲作付ほ場から無作為に調査筆を選定(全国で約8,000筆)し、実測調査により平均値を把握。

〇 主⾷⽤として供給される可能性のある⽞⽶の総量を把握するため、収量基準を農産物規格規程三等以上かつ1.70mm以上のふるい⽬幅としている。

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作柄調査(水陸稲、麦類、大豆、そば、かんしょ、飼料作物、工芸農作物)

https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/index.html

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データサイエンティストの視点でみれば、この調査は、ありえない調査になっています。

 

GISと衛星データを使えば、全水田のビッグデータが得られます。

 

これには、面積と作柄状況のデータがあります。

 

作柄データと収穫量データを使えば、「収穫量=f(作柄)」の関数をつくることができます。

 

この関数を使えば、各メッシュの水田について、作柄を反映した予想収穫量を得ることができます。

 

これを集計すれば、全国の水稲の予想収穫量を得ることができます。

 

この方法を使えば、水田毎の単収の違いを反映した予想収穫量を得ることができます。

 

ところが、農林水産省は、平均単収を求めて面積をかけています、

 

この方法では、平均化に伴い情報量が減少してしまいます。

 

データ処理は、処理の途中で、もとの情報量をできるだけ保存する形で行い、平均化処理は、最終段階で行う必要があります。分布が正規分布でない場合には、平均値は代表値ではないので、ヒストグラムのままで、計算すべきです。平均値を使うことは間違いです。

 

この問題は、農水省だけではありません。政府情報の公開は、エクセルのような表形式に平均化されたものだけです。

 

このデータでは、複数のテーブルの間のリンクがとれなません。

 

UNでも、欧米でも、クロス集計が可能なデータが公開されています。

 

コメの収量の予測方法は、合法ですが、統計学的には、間違いです。

 

コメの収量予測については、モデルの検証プロセスがありません。

 

つまり、これは、科学ではありません。



「米穀安定供給確保支援機構」は全国180の生産者や卸売業者などを対象に、毎月、コメの価格の見通しなどを調査しています。

 

向こう3か月のコメの価格の見通しについて100に近づくほど価格が「高くなる」という見方が強いことを示す指数で、4月は前月より4ポイント上昇しました。

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向こう3か月のコメ価格「今より高くなる」業者間で見方強まる 2025/05/09 テレ朝

https://news.yahoo.co.jp/articles/a21cc724e9236546d9c1fce4d1eb816382008d4b

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生産者と卸売業者には、コメの価格は高い方がよいという認知バイアスがあります。

この調査は、あまり、使えないと思います。

 

東京商工リサーチの調査によりますと、2024年のコメ農家の倒産と休廃業・解散の件数が、統計開始以来最多の89件に達しました。

 

本来は在庫が増えると米価が下がるはずですが、政府が備蓄米を放出しても、その効果が見られない状況です。

 

東京商工リサーチは、今は在庫を一定水準に保ち、米価を安定させる手法が効かなくなっていて、不作や在庫の供給不足が価格上昇を招く悪循環を招いていると分析しています。

 

東京商工リサーチは、このままの状況が改善されなければ、2025年はさらに多くのコメ農家が事業継続を断念する可能性があると懸念しています。

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コメ農家「生き残りの岐路」 過去最多89件の倒産・休廃業…2025年はさらなる危機〜コメ作り「あきらめ」さらに増加のおそれも〜 東京商工リサーチが警鐘 2025/05/08 チューリップテレビ

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a39dbcb6070a51c7d867b62d2056bfa4bc79b51

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政府は、規模拡大のために、水田農家の離農(休廃業)を進めてきました。従って、休廃業が多いことは、計画通りになります。

 

1995年のコメ不足の時に、輸入されたタイ米は売れ残りました。

 

しかし、現在では、食生活は多様化しています。1995年の常識では、パクチーが流行することは考えられませんでした。

 

コメの消費量は毎年減少しています。これは、食の多様化を示しています。

 

コメの価格のバブルも時間の問題ではじけます。

 

しかし、誰も、コメの値段がさがった場合の議論をする人はいません。

 

これは、株式市場に見るように、バブルの時の特徴です。

 

玉川徹氏と山里亮太氏のコメントを引用します。

 

番組では食料品店でのコメ平均価格が15週連続値上がりしていること、政府による備蓄米(3月17~30日分)で、小売店へ流通したのは初回放出分の0・3%であること、農水省の報告によると備蓄米は政府→集荷業者→卸売業者→小売店を経て消費者の手に届くことも紹介した。

 

テレビ朝日社員でコメンテーターの玉川徹氏は、政府に対して「間に特別な業者が入る必要は全然ない。審査だって結局は卸売業者に行くんだから、それこそJAからデータを出させてやればいいじゃないですか。だからやる気がないだけだと思いますよ。やろうと思えばできることをやっていないだけ。もうずっとそういう態度ですけど政府は。どうせゆっくり出ていっても(値段は)下がるでしょ、というそんな感じでしょ。どうも見ていると。庶民は緊急に下げてほしいわけじゃないですか。緊急に出す方法はいくらでも考えられると思うけど、頭使っていないだけだと思います」と断じていた。

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玉川徹氏、米価格高騰で政府の対応をバッサリ「やる気がないだけ」「頭使っていないだけだと思います」…「モーニングショー」2025/04/22 スポーツ報知

https://hochi.news/articles/20250422-OHT1T51016.html?page=1

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テレビ朝日社員の玉川徹氏は1日、同局系「羽鳥慎一モーニングショー」(月から金曜午前8時)に出演し、コメの価格高騰を受けて政府が放出した備蓄米が一向に消費者の手元に届いていない現状をめぐり、政府が「やる気がないだけなんですよ」と指摘した。その上で、緊急時の備蓄米放出に関する法整備など、早急な対応を取る必要性を政府に求めた。

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玉川徹氏「政府はやる気がないだけ」備蓄米の流通停滞に「法律を変えればいい」 2025/05/01 日刊スポーツ

https://news.yahoo.co.jp/articles/b5167f58679198e664af24e41fb0b1fb4942b977

 

MCの山里亮太氏は「備蓄米だけで解決できないのだったら、他にどんな対策が動いているのかって。もともと政策としての間違いもあったでしょうし、そういうところの見直しとかも必要」とコメント。さらに「今も『考えています』『やっています』って言うけど具体案を特に聞くこともないので、本当に大丈夫なのかなと、みんなが安心する話を国から発信してほしいなと思います」と語った。

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「政策としての間違いもあったでしょう」山里亮太、高騰続くコメ価格への国の対策に苦言「具体案を特に聞くこともない」…「DayDay.」2025/05/08 スポーツ報知

https://news.yahoo.co.jp/articles/b066c4188d2e7437b6efbd58ab18800205068309

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今までは、マスコミは、大本営報道を繰り返してきました。

 

少数のコメンテーターではありますが、次のようなコメントは今まで、ありませんでした。

 

玉川徹氏

「政府は、やろうと思えばできることをやっていないだけ。もうずっとそういう態度です。政府は、頭使っていないだけ」、「やる気がないだけ」

 

山里亮太

「今も『考えています』『やっています』って言うけど具体案を特に聞くこともないので、本当に大丈夫なのか」

 

今までは、官僚答弁の(『考えています』『やっています』)が通用したのですが、これに対する拒絶反応が出ています。

 

こうなった原因は、スタグフレーションにあります。

 

「構造的な賃上げ」は、「経済好循環」ではなく、スタグフレーションを引き起こします。

 

政府、日銀、経団連は、経済学を無視してきました。

 

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構造的な賃上げによる経済好循環の実現に向けて 2024/01 経団連

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/008.html

 

賃金と物価の好循環と今後の金融政策運営 2024/05 日本銀行

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240508a1.pdf

 

[社説]賃金と消費の好循環へ長期の戦略を急げ 2024/11/15 日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK156S00V11C24A1000000/

 

賃金と物価の好循環に向けた懇談 2024/05/31 首相官邸

https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202405/31kondan.html

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経済学の基本では、「賃上げ継続には労働生産性の持続的な上昇が必要」です。

 

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【市川レポート】賃金と物価の好循環が実現するための重要な要素とは 2024/04/09 三井住友DSアセットマネジメント 市川 雅浩

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2024/04/irepo240409/

 

「物価と賃金の好循環」は大ウソ、今の賃上げは日本を不幸にする納得の理由 2025/04/27 Diamond 野口悠紀雄

https://diamond.jp/articles/-/362686

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コメの正常な生産と価格は、減反政策によって、破壊されました。

 

生産性の向上を伴わないにも関わらず、農業収入を維持しました。

 

減反政策は、「構造的な賃上げによる経済好循環」を先き取りしていました。

 

「構造的な賃上げによる経済好循環」で何が起こるかは、減反政策をみればわかります。



田崎氏は、「4月10日過ぎに全国の情勢調査を自民党独自でやった結果は、非改選議席を含めれば自民党は、参議院過半数を取れるというまあまあの結果でした。だから、石破茂首相ら自民党執行部は消費税減税の考えがない」と説明しています。

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田崎史郎氏 石破政権が消費税減税しないワケ、参院選独自調査で「非改選議席を含めれば過半数を取れると」2025/05/08 スポニチ

https://news.yahoo.co.jp/articles/5a5fbfa224dad9ad589c16d1be83fa020d10cfa5

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つまり、玉川徹氏と山里亮太氏は、「政府は、やろうと思えばできることをやっていない。『考えています』『やっています』って言うけど具体案はない」と批判していますが、田崎氏は、「与党が参院選過半数を取れるので、政府は、やろうと思えばできることをやらないだろう」といいます。

 

経済政策が、生産性向上に向わないと、スタグフレーションからぬけられなくなります。

 

参議院過半数を取れるという予測は、4月10日のデータに基づいています。

 

7月までには、情勢が変わる可能性があります。

 

「政府が、やろうと思えばできることをやらない」、つまり、「スタグフレーションを放置」すれば、悲惨な未来がまっています。

 

コメの価格は、その予兆であるとみることができます。