オリンピックと埋没費用

東京オリンピックは、コロナウイルスの拡大の有無にかかわらず、99%実施されるでしょう。

これは、経済学の「埋没費用」の理論が、導き出す結論です。

事業を継続するか、中断するかの判断が、客観的にできるための条件は、投入費用が、小さいうちに判断することが必須です。決断の時期が遅れれば、遅れるほど、埋没費用のバイアスが大きくなって、中止ができなくなります。

これを避けるためには、決断の時期を、ある程度、余裕を持った時期に設定することが必須です。

オリンピックの開催について、客観的な判断、科学的な判断ができる時期は、既に、過ぎていると思われます。

これは、経済学の入門ではありませんが、中級程度の基本知識になります。

この問題は、オリンピックの開催だけでなく、コロナ対策など、非常に多くの場面で見られます。

これから、鋭意検討しますという説明は、「埋没費用」の理論をとおしてみれば、「何も変更しません」と等価な発言になります。

問題は、「埋没費用」に、引きずられて、バイアスのある判断を行った場合には、その付けを払わされる点です。

筆者は、2004年のインド洋大津波のあとに、タイのプーケット島に被災調査にいったことがあります。

その時のガイドさんの発言が、印象的でした。プーケットは外国人観光局で、経済が回っている島です。

津波被災のあと、第1に、外国人のご遺体の回収をして、それが、済んでから、タイ人のご遺体の回収をしたそうです。そこまでして、プーケット島は、外国人の観光客に配慮しているというメッセージを出したのです。また、国内でも、その政策に対する合意が得られていたことになります。

東京オリンピックで、感染者数が急増した場合には、同様の判断を求められます。答えは、決まっているのでしょうか。

 

 

  • 埋没費用 wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%8B%E6%B2%A1%E8%B2%BB%E7%94%A8

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%89%E5%8A%B9%E6%9E%9C