極上の焼き芋の焼き方(68)

1月の焼き芋

2021年になっても、焼き芋は、それなりに続けてみたのですが、ブログをお休みしたのには訳があります。

それは、年明けになって、明らかに、サツマイモの状態が変化したからです。

サツマイモは秋に収穫して、その後、保存して、出荷します。この保存するときに、傷がついていると傷みやすいので、傷口をふさぐ目的で、キーリング処理をします。つまり、サツマイモはキーリング処理をしてから、保存するのが一般的な手順です。サツマイモに傷がついていなければ、キーリング処理は、必須ではありませんが、キーリング処理をしないと収穫時に、傷んだサツマイモは、保存中にくさりやすいのです。

このブログのサツマイモは、10月頃までは、地元のAさん生産した紅はるかを使っていたのですが、その後、11月にはいって、Aさんの出荷するサツマイモが、紅あずまになってしまいました。しっとり系の焼き芋を作るには、紅あずまでは難しいので、11月に入って、別の生産者の紅はるかを探すことになりました。比較実験をするには、品質がそろっていることが望ましいので、ポテトかいつかの紅はるか(商標紅天使)とJA行方の紅はるか(商標紅優香)を使っていました。この2社では、昨年は、甘い焼き芋ができる点では、紅天使の方が、成績がよかったのですが、紅天使の傷が多いのです。その結果、年明けには、紅天使の方が、成績が悪くなり、紅優香の方が、よい焼き芋ができるようになりました。その差は、恐らくキーリング処理の違いと思われます。

つぎに、同じ生産組合のサツマイモでも、秋に収穫してから、保存していますので、サツマイモが変質します。一般には、保存に伴って、糖度があがるといわれています。しかし、変化はそれだけではありません。写真1と写真2は1月の焼き芋で、キャセロールを使っています。キャセロールを使う理由は、加熱が緩やかに行われること、加熱に伴う水分の損失がないことです。

しかし、写真1の断面にひびが入っている焼き芋は、明らかに水分が減少しています。これは、保存によって、水分が失われたことを示します。サツマイモの体積の表面積の比は、サツマイモのサイズが小さくなると大きくなります。簡単に言えば、サイズの小さなサツマイモ程、保存による乾燥の影響を受けやすいことになります。ですから、1月の焼き芋では、Sサイズは避けて、M以上のサイズを使うべきです。 それから、写真1と写真2をみると以前のように、透明感のある断面の焼き芋が1つもありません。しいて言えば、写真2の中央の2つの焼き芋が、若干透明に見えますが、以前ほどではありません。これが、2番目の違いです。この違いがあるため、以前のように、断面の色で、焼き芋の出来栄えを判断することができなくなりました。

以上のように、サツマイモの品質が変化して、以前と同じ土俵で議論できなくなったことが、焼き芋シリーズを中断していた理由です。焼き芋は、シーズンによって、焼き方を変える必要があるわけです。

 

 

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写真1 1月の焼き芋

 

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写真2 1月の焼き芋

 

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