非常事態宣言下の感染者数の減少は既に止まっている~コロナウィルスのデータサイエンス(42)

東京都のデータのクロスチェック

前回、行動分析のデータを比較して、使いやすいのは、Google Report、これに最新のデータを代替で使うのであれば、NTTドコモが使いやすいことを見ました。

48都道府県の感染数データは、WIKI,ジャッグジャパン(GIS)、TOYO KEIZAI ONLINE(TOYO)の3種類があります。東京都については、東京都のデータ(TOKYO)と筆者がNEWをうちこんだデータ(NEWS)もあります。データは表1と図1に比較しました。GISのデータは他と傾向が異なります。TOYOのデータは、概ね、外のデータに一致していますが、累計で辻褄を合わせているところがあります。なお、元データは累加で、ここでは差分をとって、日当たりに変換しています。たとえば、3月27日と28日。48都道府県データがある3種類では、WIKIがTOKYOに一番近く、使いやすいと判断しました。ただし、最新の部分がないので、この部分だけはTOYOのデータをつかうことにします。

なお、アプリを書く方からすれば、更新されるデータファイルに直接アクセスできるとよいのですが、こうしたサイト少ないです。

 

 

表1 東京都の感染者数データの比較

date NEWS TOKYO WIKI GIS TOYO
3月18日   9 9 7  
3月19日   7 7 12 7
3月20日   11 11 7 11
3月21日 7 7 7 9 7
3月22日 2 2 2 3 2
3月23日 16 16 16 17 14
3月24日 17 17 17 17 14
3月25日 41 41 41 43 41
3月26日 47 47 47 25 26
3月27日 40 40 40 44 0
3月28日 63 63 63 64 135
3月29日 68 68 68 70 68
3月30日 13 13 13 14 13
3月31日 78 78 78 81 78
4月1日 66 66 66 66 66
4月2日 97 97 97 100 97
4月3日 89 89 89 91 89
4月4日 116 116 117 117 118
4月5日 143 143 143 144 142
4月6日 83 83 83 85 83
4月7日 80 79 80 84 79
4月8日 144 144 144 145 143
4月9日 181 178 181 181 181
4月10日 189 187 189 190 186
4月11日 197 197 197 207 197
4月12日 166 166 166 168 166
4月13日 91 91 91 96 90
4月14日 161 161 161 161 161
4月15日 127 126 127 133 127
4月16日 149 148 149 149 149
4月17日 201 201 201 204 199
4月18日 181 181 181 181 181
4月19日 107 107 107 109 107
4月20日 102 102 102 103 102
4月21日 123 123 123 123 123
4月22日 132 132 132 135 132
4月23日 134 134 134 134 133
4月24日 161 161 161 161 161
4月25日 103 103 103 104 103
4月26日 72 72 72 72 72
4月27日 39 39   39 39
4月28日 112 112   112 112
4月29日 47 47   48 47
4月30日 46 46   46 46
5月1日 165 165   165 165
5月2日 160 160      

 

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図1 東京都の感染差者数のデータ比較



 

 

 

大阪府等の感染者数の推移と予想

図2に見るように、東京都のデータについては、次の処理をした結果、推移がわかりやすくなることがわかっています。

  • 感染者数の変動の曜日による変動を消すために7日の移動平均(ma7)をとる。図の青線。

  • 行動制限のデータとしては、Google Reportが使いやすいのでこれを使う。これも、感染者数と同様にma7をかける。図のオレンジ線。

  • 行動制限を感染者数の間には約2週間のタイムラグがあるので、Googleデータは、14日あとの日付にプロットする。

なお、現在公開されているデータは、感染者情報の公開日であって、陽性日や感染日ではありません。ここでも公開日データを使っているため2週間が適切でない可能性は大きいですが、代替案がないので、こうしています。感染日、陽性日のデータが付帯していることもありますが、一部データに限定されていて非常に使いにくいです。(5月10日追記)

図2でわかることは、4月29日ころから、行動制限率(右軸%)の減少が止まっており、それに対応して感染者数の減少が止まっています。このトレンドから予想できることは、非常事態制限をつづけても患者数がこれ以上減少する可能性は低いと読めます。

また、患者数が増加から減少に転じたのは、行動制限率がー30%を超えたあたりからです。

今回は、この2つの点に注意して、他の都道府県のデータを見ていきます。

 

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図2東京都の感染者数の推移

 

 

 

 

大阪府

図3は大阪府のデータです。

軸の書き方が東京都とは異なり、プラスの部分が感染者数、マイナスの部分が行動制限率になります。

最新のデータは5月2日をつかっていますが、7日移動平均では、4月29日が最新になります。

行動制限率がー30%を超えたあたりから、患者数が減少に転じています。

行動制限率は、4月29日頃から低下が止まっています。

おそらく、東京都同じように、今後、感染者数の減少にブレーキがかかると思われます。

 

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図3 大阪府の感染者数の推移


   

神奈川県

図4は神奈川県のデータです。

行動制限率がー30%を超えたあたりから、患者数が減少に転じています。

行動制限率は、4月29日頃から低下が止まっています。

おそらく、東京都同じように、今後、感染者数の減少にブレーキがかかると思われます。

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図4 神奈川県の感染者数の推移


  

福岡県

図5は福岡県のデータです。

行動制限率がー30%を超えたあたりから、患者数が減少に転じています。

行動制限率は、4月29日頃から低下が止まっています。

おそらく、東京都同じように、今後、感染者数の減少にブレーキがかかると思われます。

 

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図5 福岡県の感染者数の推移

 

   

北海道

図6は北海道のデータです。

行動制限率がー30%を超えたのは、4月26日あたりです。

感染差者数の増加は、4月26日頃から止まっています。

行動制限率が、継続的に下がっているので、感染者数は減少すると思われますが、それでも、-50%には達していないので、減少は極めて緩やかになると思われます。

 

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図6 北海道の感染者数の推移

 

#### 追記(5月10日)

ジャッグジャパン株式会社様より、ご指摘いただき、以下の訂正をしました。

ご指摘ありがとうございます。

ブログを始めて、8か月くらいで、まだ、コメントの処理がうまくできていません。

レスポンスが遅れてしました。

「なお、アプリを書く方からすれば、更新されるデータファイルに直接アクセスできるとよいのですが、こうしたサイトはありません。ー>少ないです。」に訂正し、以下のURLを紹介。

https://dl.dropboxusercontent.com/s/6mztoeb6xf78g5w/COVID-19.csv

以下の補足を追記

なお、現在公開されているデータは、感染者情報の公開日であって、陽性日や感染日ではありません。ここでも公開日データを使っているため2週間が適切でない可能性は大きいですが、代替案がないので、こうしています。感染日、陽性日のデータが付帯していることもありますが、一部データに限定されていて非常に使いにくいです。