1)米ロ会談前
8月15日の米ロ首脳会談を前に、ロシアが占領地を拡大したというニュースが入ってきました。
<<
ロシア軍、ウクライナ東部で突如攻勢 米ロ会談前に占領地域拡大か 2025/08/13 ロイター
https://news.yahoo.co.jp/articles/c24b97e29d8c906a5ef54343cfc697c70fd20f5d
>>
トッド氏の「西洋の敗北」は、西洋(アメリカ+イギリス+フランス)は、敗北しているという主張です。
トッド氏の推論は、以下です。
ST1:ウクライナ戦争の実態は、ウクライナ対ロシアではなく、アメリカ対ロシアである。
ST2:ウクライナがロシアに勝てないのではなく、アメリカがロシアに勝てないことが本質である。
ST3:アメリカがロシアに勝てない理由は、アメリカのミサイル、弾薬などの生産能力が、ロシアの生産能力より低いためである。
イギリスとフランスも、ミサイル、弾薬などの生産能力は低い。
ドイツは、工業(ミサイル、弾薬などの生産能力)があるが、第2次世界大戦のナチスのトラウマがあるので、主体的に動くことはない。
ST4:したがって、ウクライナがロシアに勝つことはない。
8月15日の米ロ首脳会談に、ウクライナは、出席しませんが、ウクライナが主体的に決められることは、1つもないので、そのことはウクライナ戦争の終わり方に影響を与えません。
「西洋の敗北」は、2023年7月から9月の間に執筆され、2024年1月に出版されています。
出版から、1年7か月が経っていますが、今のところ、変更が必要な内容は出ていません。
トッド氏の見立ては、今のところ、あたっています。
<
ハンガリーのオルバン首相は12日、15日に行われるトランプ米大統領とプーチン・ロシア大統領の会談を前に、ロシアはウクライナ戦争に勝利したと述べました。
オルバン氏はユーチューブのチャンネル「パトリオット」とのインタビューで「現状が終わりのない戦争状態であるかのような話になっているが、そうではない。ウクライナはこの戦争に敗北し、ロシアが勝利した」と述べました。
その上で「唯一の問題は、ウクライナの背後にいる西側諸国が、それが実現したことと、その全てからどのような結果がもたらされるかを、いつ、どのような状況下で認めるかだ」と述べました。
>
<<
ロシアはウクライナ戦争に勝利とハンガリー首相、米ロ会談控え 2025/08/13 ロイター
https://news.yahoo.co.jp/articles/2449465ed11d1f1fc97da42a49ba5cef98098b5f
>>
2)ファクトの問題
恐ろしいことに、日本のマスコミと知識人は、ウクライナ戦争の戦闘の経緯(ファクト)を伝えません。戦闘のイベントの場所、人的被害、勝敗などのファクトがありません。個々の戦闘で、ロシアとウクライナのどちらが勝利したかというファクトがありません。
太平洋戦争のときと同じことが繰り返されています。
英語版のウィキペディアには、戦闘の経緯(ファクト)がのっています。
<<
Russian invasion of Ukraine
https://en.wikipedia.org/wiki/Russian_invasion_of_Ukraine
>>
いつも通り、日本語のウィキペディアには、ファクトは載っていません。
英語版のウィキペディアをみると、次のことがわかります。
P1:2025年になって、ウクライナは、ロシアには、全く勝てていません。
P2:ロシアの目標は、ウクライナのロシア語圏とクリミア半島です。その先に進む意図は見られません。
P3:ロシアは、ウクライナのロシア語圏とクリミア半島を1年以上支配しています。
細かな部分では落ちがありますが、大勢においては、実効支配しています。
3)戦争の終わり方
アメリカには、自国の防衛を犠牲にしてまで、ウクライナのロシア語圏とクリミア半島を取り返すメリットはありません。
NATOとEUとイギリスは、アメリカ無しでも、ウクライナを支援するメリットはありません。
EUの首脳は、アメリカ無しでも、ウクライナを支援するといいますが、武器が作れず、軍事規模がアメリカより小さいので、現実的な発言ではありません。
アメリカは、ウクライナ戦争によって、ロシア産にかわって、アメリカ産の天然ガスをヨーロッパに売り込むことに成功しています。
逆に、ヨーロッパは、ウクライナ戦争によって、大きな経済的なダメージを受けています。
これは、貧困層と中間層は、ウクライナ戦争を支持しなくなることを意味しています。
アメリカにも、ヨーロッパ(EU+イギリス)にも、戦争を継続するメリットはないので、戦争の継続が困難になります。
したがって、「西洋の敗北」の予測モデルによれば、ハンガリーのオルバン首相の「唯一の問題は、ウクライナの背後にいる西側諸国が、それが実現したことと、その全てからどのような結果がもたらされるかを、いつ、どのような状況下で認めるかだ」という発言が、問題の所在を明らかにしていることになります。
ポイントの第1は、西洋が、ロシアに対抗できるだけのミサイル、弾薬などを生産できないことにあります。つまり、西洋の勝利はありません。
ポイントの第2は、西洋のマスコミは、経済封鎖の影響を受けて、ロシア経済が傾くと主張していますが、データをみるかぎり、ウクライナ戦争で、より大きな経済ダメージをうけているのは、ロシアではなく、西洋です。
8月15日に、戦争が終結するかは不明ですが、西洋の経済ダメージが拡大してきているので、どこかで、停戦になります。ミサイル、弾薬などが足りないので、その際に、ウクライナが領土を奪回できていると考える根拠はありません。