ウクライナ戦争のクラスター爆弾

アメリカは、ウクライナへのクラスター弾の供与を発表しました。

 

1)クラスター爆弾の基礎知識

 

英語版のウィキペディアのcluster bombによります。

 

以下は、Google翻訳なので、日本語がおかしなところがありますが、意味は通じると思います。

 

 

クラスター弾は、より小さな子弾を放出または射出する、空中投下または地上発射の爆発兵器の一種です。一般的に、これは人員を殺害し、車両を破壊するように設計された爆発性子弾を射出するクラスター爆弾です。他のクラスター弾は、滑走路や送電線を破壊したり、化学兵器生物兵器を散布したり、地雷を散布したりするように設計されています。一部の子弾ベースの兵器は、ビラなどの非弾薬を散布する可能性があります。

 

クラスター爆弾は広範囲に多数の小さな子爆弾を放出するため、攻撃中および攻撃後の両方で民間人に危険をもたらします。不発弾は、紛争が終わった後も長い間、民間人や意図しない標的を殺害したり負傷させたりする可能性があり、発見と撤去には多額の費用がかかります。いわゆる故障率は 2 パーセントから 40 パーセント以上の範囲にあります。

 

クラスター弾は、2008 年 5 月にアイルランドのダブリンで採択されたクラスター爆弾に関する条約を批准した国では禁止されています。この条約は、30 日の批准から 6 か月後の 2010 年 8 月 1 日に批准国を発効し、拘束力のある国際法となりました。 2022 年 2 月 10 日の時点で、110 か国が締約国、13 か国が署名国として、合計 123 か国がこの条約に参加しています。

 

日本

 

もともと日本では、航空自衛隊クラスター爆弾・CBU-87/Bを、陸上自衛隊が砲弾・03式155mmりゅう弾砲用多目的弾、対戦車ヘリコプターから発射するハイドラ70ロケット弾(M261弾頭)、多連装ロケットシステム用のクラスター弾頭型ロケット弾・M26を保有しており、いずれも不活化機能や自爆機能は有していなかった。2007年2月にオスロで開かれたクラスター爆弾禁止会議のオスロ宣言には署名しなかったが、2007年6月19日にジュネーヴで開催された特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)政府専門家会合では、条約交渉の開始に賛成を表明した。

 

2008年5月28日のダブリンでの国際会議では一部を除いて禁止するとの条約案に同意し、2008年11月28日の安全保障会議自衛隊保有するすべてのクラスター弾の廃棄を決定、12月3日にオスロで開催された禁止条約署名式には中曽根弘文外相が出席して署名した。日本の外務省は「クラスター弾に関する条約」を仮和訳したものをウェブサイト上で公開している。2009年に国会でクラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律が成立している。

 

防衛省では、航空爆弾にはレーザー誘導対応型JDAM爆弾を、多連装ロケットシステムにはM31単弾頭型GPS誘導ロケット弾を導入すると発表し、この二種の精密誘導兵器取得を代替措置とした。

 

防衛省自衛隊保有していたクラスター弾の廃棄完了を2015年2月9日に確認し、翌10日付で発表した。

 

2017年5月23日、クラスター爆弾を製造する企業[注釈 5]に対して、投融資を行っている世界各国の金融機関166社をオランダのNGO団体「PAX」が発表し、そのなかで日本は4社(三菱UFJフィナンシャル・グループ三井住友フィナンシャルグループオリックス第一生命保険)あり、クラスター爆弾規制条約の締約国では一番多いことが分かった。同年12月、4社は製造企業に対してその使途を問わず投融資を禁止した。 

 

 

2)米国のクラスター爆弾の提供

 

2023年7月7日テレ朝は、「米 ウクライナへのクラスター弾の供与を発表」として次の内容を報道しています。 

 

 

アメリカ政府はウクライナ軍の反転攻勢を支援するため、殺傷力の高いクラスター弾を供与すると発表しました。

 

国防総省はロシアがウクライナで使ったクラスター弾の不発率は3割から4割なのに対し、アメリカが供与するのは不発率が2.35%以下のタイプに限定するとしています。

 

 

しかし、英語版のウィキペディアのcluster bombで、はるかに正確な情報が入手可能です。

 

 

ロシアのウクライナ侵攻、2022年

関連項目: 2022 年のロシアのウクライナ侵攻における戦争犯罪および2022 年のロシアのウクライナ侵攻における民間人への攻撃

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、 2022年のウクライナ侵攻中にロシア軍によるクラスター爆弾の使用を報告した。HRMMUは、ロシア軍が人口密集地でクラスター弾を使用し、民間人の死傷者やその他の被害をもたらしたという16件の信頼できる疑惑を報告した。

 

2022年2月24日、50発の9N24破砕子弾を含む9N123クラスター弾弾頭を搭載したロシアの9M79シリーズトーチカ弾道ミサイルが、ウクライナドネツク州ヴーレダルにある病院の外に着弾した。この攻撃により民間人4人が死亡、10人が負傷した。ウラガン9M27K クラスター ロケットやBM-30 スメルチ9M55K クラスター ロケットなどのクラスター弾のさらなる使用については、ベリングキャットがTwitterでの証拠を求める一般公募を通じて調査している。HRWアムネスティ・インターナショナルによると、ロシア軍は首都圏への攻撃中にクラスター爆弾を使用した。2022年2月25日朝、オクティルカ。 220mmウラガンロケット弾が町の幼稚園にクラスター弾を投下した。その結果、子供を含む人々が死亡した。同日、クラスター弾を搭載した非精密誘導ミサイルがハリコフに対して配備され、少なくとも民間人9名が死亡、37名が負傷した。

 

国連人権高等弁務官事務所は2022年3月30日、2月24日の紛争開始以来、ロシア軍がウクライナの人口密集地でクラスター弾を少なくとも24回使用したことを示す信頼できる報告書があると発表した。

 

伝えられるところによると、ウクライナ軍はクラスター爆弾ロケット弾を発射したこともあったという。自称ドネツク民共和国とロシア連邦の代表者らによると、ウクライナ軍は2022年3月14日午前11時頃、クラスター子弾を装備したトーチカUミサイルを発射した。ドネツク中心部上空で迎撃され、クラスター子弾のいくつかにより民間人20人が死亡、33人から37人が負傷したと発表した。HRMMUはこの事件で少なくとも民間人15人の死亡と36人の負傷を確認しており、報告書時点では他の死傷者疑惑と、それらがクラスター子弾によって引き起こされたかどうかを裏付ける作業を行っている。

 

2022年12月7日、HIMARS型および155mm砲システム用の弾薬が不足しているため、ウクライナが米国のクラスター弾備蓄へのアクセスを求めていることが明らかになった。米国はクラスター弾を備蓄しており、ウクライナの要請を検討していた。ウクライナは、これによりロシアの砲兵に対して優位に立つことができ、また、他の米国や西側の備蓄の枯渇も防ぐことができると主張した。

 

2023年7月6日、ジョー・バイデン米国大統領は、失敗率が1パーセントを超えるクラスター弾の譲渡を禁止する米国の法律を回避して、ウクライナへのクラスター弾の供与を承認した。[84]国防総省によれば、ロシアのクラスター爆弾は失敗率が40パーセント以上であるのに対し、ウクライナは失敗率が約2パーセントの「改良型」クラスター爆弾を受け取ることになるという。

 

民間人に対する脅威

 

すべての兵器は危険ですが、クラスター爆弾は 2 つの理由から民間人に特に脅威を与えます。1 つは効果範囲が広いこと、そして常に大量の不発弾を残すことです。不発弾は紛争終了後も数十年間にわたって危険な状態が続く可能性があります。たとえば、米国によるラオスへのクラスター爆撃は 1973 年に停止されましたが、2009 年の時点でクラスター爆弾やその他の不発弾によりラオス民間人に年間 100 人以上の死傷者が発生し続けています。

 

クラスター弾は、多数の民間人が犠牲になっているため、多くの個人や、赤十字クラスター爆弾連合、国連などの何百もの団体が反対している。2005 年 2 月以来、ハンディキャップ インターナショナルはクラスター爆弾の禁止を求め、その要求を支持する数十万の署名を集めました。ハンディキャップ・インターナショナルに登録されているクラスター弾による犠牲者13,306人のうち98%が民間人で、27%が子供である。

 

米国の政策

 

米国国務省によると、米国は 2003 年にクラスター爆弾の運用使用を停止した。

 

クラスター弾の使用を支持する米国の主張は、クラスター弾の使用により軍事作戦を支援するために必要な航空機と砲兵システムの数が減少し、クラスター弾が廃止されれば、新たな武器、弾薬、兵站資源に大幅に多くの資金を費やす必要がある、というものだ。また、軍は同じ範囲を確保するために大砲やロケット弾の集中砲火の使用を増やす必要があり、そうすればより多くの主要なインフラが破壊または損傷することになる。

 

米国は当初、CCW(Convention on Certain Conventional Weapons)制限交渉に反対していたが、2007年6月に反対を取り下げた。クラスター弾は国の国家安全保障上の利益を確保するために必要に応じて使用されると決定されてきたが、その使用に対する人道的懸念に対処するための措置が講じられ、また、その使用の追求も行われた。当初の提案では、紛争終結後に兵器を使用不可能にするための技術的修正を追求することを全面的に禁止する代替案が提案されていた。

 

2008年5月、当時の政治・軍事担当国務次官補代理 スティーブン・マルは、米軍は戦争戦略の重要な部分としてクラスター爆弾に依存していると述べた。マルは、「米軍は、少なくともクラスター弾使用の可能性を持たずに、設計や教義に従って戦うことはできない」と強調した。

 

米陸軍は、子弾の不発率が5パーセントにも達したため、2008年12月にGMLRSクラスターロケットの調達を中止した。国防総省の方針は、2018年以降に使用されるすべてのクラスター弾の子弾不発弾率を1パーセント未満にすることだった。これを達成するために、米軍のクラスター兵器の約80パーセントが陸軍砲兵備蓄にあるため、陸軍は代替弾頭プログラム(AWP)を実施し、クラスター弾の失敗を軽減または排除する技術を評価し推奨した。2012年7月、米国は36発の誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)単体弾頭ロケットを標的地域に向けて発射した。分析の結果、クラスター弾には戦闘指揮官の承認が必要であるため、能力のギャップが存在し、これにより即応性のある精密射撃の利点が減少することが示されました。クラスター弾と同じ標的セットを攻撃するためにAWPが開発中の代替弾頭(AW)GMLRSロケット4基でも同様の効果が得られた可能性がある。AW へのアクセスがなければ、作戦には 9 倍のロケットが必要となり、費用は 9 倍 (40 万ドルに対して 360 万ドル)、実行時間は 40 倍 (30 秒未満に対して 20 分以上) かかります。

 

総合歳出法を皮切りに、2009 年(PL 111-8) 年次統合歳出法により、それ以来、クラスター兵器に対する輸出一時停止の文言が定められてきました。2011年5月19日、国防安全保障協力局は、 CBU-97B CBU-105 センサー信管式兵器以外のすべての兵器の販売を禁止する覚書を発行した。他の兵器は不発弾発生率が1%を超えていることが実証されているからである。

 

2017年11月30日、国防総省は、失敗率1%以下の子弾を製造できなかったため、2018年以降のクラスター爆弾の使用禁止計画を無期限延期した。この基準を達成するまでにどれくらいの時間がかかるかは不明であるため、数カ月にわたる政策検討の結果、期限を延期すべきであるとの結論に達した。既存のクラスター兵器の配備は、より安全なバージョンが「十分な量」開発され実戦配備されるまで、必要とみなされる場合にその使用を許可するかどうかは指揮官の裁量に任されている。

 

 

3)まとめ

 

戦争時に国際法がどこまで守られるかはグレーゾーンです。ロシアも、ウクライナも、アメリカも、「ダブリンで採択されたクラスター爆弾に関する条約」に署名していませんので、国際法違反ではありません。

 

戦況のデータも入手困難になっています。

 

アメリカは、航空機とクラスター爆弾を供与していますから、戦況は、きつくなっています。残されたステージは、核兵器だけだと思います。

 

ウクライナに、アメリカが兵器を供与し続けるかぎり、経済的には、ロシアには、戦争に勝てる可能性はありません。

 

つまり、冷静に考えれば、ロシアは戦争にはかてませんので、ロシアには、開戦のメリットはありませんでした。

 

しかし、プーチン政権にとっては、ウクライナの占領地から撤退すれば、政権維持はできなくなります。

 

2014年のマイダン革命では、当時のバラク・オバマ米大統領が明言しているようにクーデターに背後でアメリカが関与していました。

 

同様に考えれば、ウクライナ戦争は、アメリカが仕掛けた、プーチーン政権に対するクーデタの仕掛けと見ることも可能です。

 

もちろん、プーチン政権とベラルーシのルカシェンコ大統領は連動しています。

 

仮に、プーチン政権が倒れても、ロシアに安定政権が成立するとは思えません。

 

プーチン政権自体は、ソ連崩壊後の経済混乱をバックに成立しています。

 

独裁政権社会主義政権が、崩壊しても、その後に民主主義政権が成立する可能性は、低いです。

 

ロシアでは、民間軍事会社「ワグネル」の活動が盛んでした。

 

表にはでませんが、アメリカの非政府組織も動いています。

 

アフガニスタン撤退までの20年間のテロ対策費用は、1100兆円という試算もあります。年平均で、55兆円です。

 

アメリカのウクライナ支援予算は、2022年が4兆円、2023年が6兆円です。

スウェーデンストックホルム国際平和研究所はロシアの今年の軍事予算が約6兆6000億ルーブル、日本円で約10兆8000億円に上り、ロシアのGDP国内総生産)の4.4%に相当すると分析しています。

 

ウクライナ侵攻前の2021年のGDPの3.6%から0.8%増加したとしています。

 

ウクライナ戦争へのアメリカの支援予算比率は、50%なので、アメリカ以外をあわせると、2年で20兆円支援になります。

 

この金額は、ロシアの軍事予算とほぼ同額になっています。アメリカと協力国が初年度に20兆円支出していれば、戦争はより早く集結していたようにも見えます。

少なくとも、年平均55兆円という軍事費からみればこれは、不可能な数字ではありません。

 

不発率が2.35%のクラスター爆弾の提供も、不発率が1%以下のクラスター爆弾ができれば、廃棄予定なので、在庫一掃の可能性もあります。




引用文献

 

米 ウクライナへのクラスター弾の供与を発表 2023/07/07 テレ朝

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a32d1b96806863dba38d98d3abb0f3dae888b87

 

20年間で戦費1100兆円、米兵7000人犠牲…「信じられないほどお粗末」専門家が酷評 米軍のアフガン撤退1年 2022/08/20 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/198795

 

ロシアの軍事予算増加か ストックホルム研究所が分析 2023/06/30 テレ朝

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000305495.html