良いレンズを考える(1)

WEBの記事を見ると、執筆者は利害関係者で、たいていは。高価なレンズの性能がよいと書いてあります。

 

しかし、その内容は、ファクトに基づかず、眉唾です。

 

高価なレンズはサイズが大きく、重いので、解像度、歪みなどの物理特性がよくなります。

 

なので、高価な(大きな)レンズの性能が良いと書いておけば、間違いになるというリスクは少ないとも言えます。

 

しかし、フィルム時代の写真をみれば、解像度は低いですし、鳥などの動体のピントは甘いです。だからといって、作品になる写真が撮れなかったわけではありません。

 

フィルム時代に、歯がたたなかった飛んでいる鳥や、超望遠で、スポーツを撮影するのであれば、最新の機材を投入すべきです。しかし、それには、予算が必要になります。

 

スコット・ケルビーの写真撮影の本には、望遠のスポーツ写真については、膨大な資金が必要になるので、アマチュアの場合には、最初に、資金を検討しなさいと書かれています。

さて、望遠の動体写真を放棄すれば、写真撮影には、大きなコストは、かかりません。古い機材でも、問題はありません。

 

大きなレンズは、重いので、解像度が高いレンズが性能が良いとは言えません。

 

フイルム時代の末期に、デジタルに反旗をかざして、MTF曲線を拒否して、フイルムでの出来上がりを評価基準にしたレンズが作られました。

 

それが、PENTAXのLimtedレンズです。

 

smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited(1997年10⽉発売)
smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited(1999年1⽉発売)
smc PENTAX-FA 31mmF1.8 AL Limited(2001年6⽉発売)

 

このレンズのセールスポイントが、ボケの美しさだけで、あとは、ダメレンズです。

 

解像度については、SMC PENTAX-FA 31mm F1.8 Limitedは、安価な SMC PENTAX 28mm F3.5という人もいます。

 

光学的には、解像度とボケは両立しません。

 

解像度の高い焦点距離の異なったマルチショットの画像があれば、画像処理によって、解像度とボケを両立させることは容易です。

 

シングルショットで、解像度とボケを両立させることは理論的にはできません。

 

単焦点レンズの場合、中央と周囲の解像度を変えることができるので、中央は、高い解像度にして、周囲はボケるようにできます。この場合には、MTF曲線は、右下がりになります。

 

同心円状のNDフィルターを使えば、中央部と周囲で、露光(絞り)を変えることができるので、中央と周囲のボケ量を変えることができます。

 

この方法を使えば、MTF曲線の右下がりをなだらかにすることができます。

 

ライヴNDには、この機能はありません。

 

ズームレンズでは、このような細工は不可能です。

 

なので、理想のズームレンズとは、できるだけ画面の周囲まで、解像度の高いレンズになります。

 

筆者は、単焦点レンズをつかって、わざわざ周囲の画質を劣化させるのは不合理と思いますが、シングルショットで、中央が浮き上がった写真が喜ばれるので、現在は、そのようになっています。

 

もちろん、マルチショットが標準であれば、こうした不合理はなくなります。

 

マルチショットの場合には、複数の画像を1つのファイルにおさめると、取り扱いが容易になります。

 

画像処理ソフトのImageJでは、そのようコンテナが使えますが、デジカメでは、複数画像を入れたコンテナは普及していません。

 

動画をRAWで保存できば、動画はコンテナになりますが、コンテナの形式としては、汎用性に欠けています。

 

さて、良いレンズを価格などの先入観を取り除いて考えるには、PENTAXのLimtedレンズのように写真で比較するしか、方法がありません。

 

これは手間がかかるので、ネット上には、そうした情報は少ないです。

 

写真で比較する場合には、基準が必要になります。

 

カメラメーカーは、50mmのダブルガウスレンズを、いわゆる撒き餌レンズとして販売していますので、50mmの単焦点レンズを基準に考えるのがよいと思われます。

 

50mmのダブルガウスレンズで、過去の販売本数が最も多い、もっとも使われてきたレンズは、CanonのEF-50mmF1.8です。

 

今となっては、50mmのダブルガウスレンズは、推薦できない面もありますが、レンズとは何か、何が必要かを考える基準にはなると思います。

 

写真1が、EF-50mmF1.8で、撮影した写真です。写真2の水色の丸でかこった部分のボケが騒がしいです。

 

写真は、ダブルガウスのTTArtisan35mmF1.4です。ボケは綺麗に思われます。

 

TTArtisan35mmF1.4は、1万円以下の中華レンズです。

 

ネットには、販売店からサンプルの提供をうけた人がレビューを書いています。

 

レビューはいくつかありますが、多くは価格の割には良く写るといったものです。

 

ボケを重視したレビューはありません。

 

筆者は、写真3のボケが気に入っています。

 

写真4は、EF-50mmF1.8で撮影したレンギョウです。ボケが騒がしいという意味がわかると思います。

 

写真5は、Lumix G 42.5mmF1.7で撮影しています。ボケは全く異なります。

 

なお、筆者は、換算ボケ量を使いません。

 

 50mmF1.8と42.5㎜f1.7のレンズの設計条件は似ています。

 

光学の設計では、焦点距離F値が同じなら、同じ設計条件になります。

 

フルサイズでも、MFTでも、焦点距離が同じであれば、レンズの長さはほぼ同じになります。

 

焦点距離が同じであれば、MFTの望遠レンズが、フルサイズ望遠レンズより、短くなることはありません。クロップしているので、レンズに使っているガラスの直径は小さくできますので、望遠レズを細くすることはできますが、長さを変えることはできません。

 

また、MFTは、画質が悪いという主張もありますが、物理特性は同じであれば、同じ画質になります。

 

MFTの2000万画素は、フルサイズでは、8000万画素になりますので、暗所に弱いのは当然です。フルサイズの2000万画素と同じ土俵にするためには、MFTは500万画素になります。これは、ベイヤーセンサーの2x2ピクセルを1ピクセルに変換することになります。カメラ内で、500万画素のRAW画像をつくれれば、完全なモノクロ撮影が可能になります。4:3の500万画素は次になります。

1950x2600=5070000

これは、WEBやディスプレイで見るには、十分な解像度です。

 

500万画素の完全なモノクロ撮影が可能になRAWモードがあると考えるとワクワクしますが、カメラに実装される可能性は低いでしょう。

 

写真の99%は、ディスプレイで見られています。

 

紙の写真は、ディスプレイの写真より、ダイナミックレンジが狭いです。

 

なおかつ、印刷で、ディザーをつかうので、不当に高い解像度が要求されています。

 

色の調整も容易ではありません。

 

なので、筆者は、紙の写真は無視しています。

 

以下の写真は、MFTとAPS-Cで撮影しているので、クロップ画像になります。

 

面倒なので、クロップの条件は省略しています。

 

 

写真1 EF-50mmF1.8

 

写真2 EF-50mmF1.8

 

写真3 TTArtisan35mmF1.4

 

写真4 EF-50mmF1.8

 

写真5 LumixG 42.5mmF1.7