24)カリキュラム作成の目的
日本の科学技術立国とは、例えば、AIの科学技術の最先端をいく、アメリカと中国の科学技術に追いつくことでしょうか。
中国は、「中国製造2025」で、スプートニク危機の「ソ連」を、「アメリカ」に入れ替えました。
日本は、「日本製造2025+10」を作って、スプートニク危機の「ソ連」を、「アメリカと中国」に入れ替えるべきでしょうか。
筆者には、その答えはわかりません。
日本には、既に、第5期科学技術基本計画があります。
第5期科学技術基本計画があれば、「日本製造2025+10」は不要なのでしょうか。
筆者には、その答えはわかりません。
カリキュラムの作成には、目的(意図)があります。
その目的に、「アメリカと中国の科学技術に追いつくこと」が、入っていなければ、Society 5.0は、実現しません。
「望みは、常にかなう」訳ではありませんが、「望んでいないことがかなう」と考える理由はありません。
こう考えると、カリキュラムの作成の目的とカリキュラム作成のプロセスを見れば、Society 5.0の実現性がわかるはずです。
以下では、「小・中・高等学校を通じた統計的な内容等の改善に係る議論ついて」というカリキュラム作成のプロセスの資料を参考にします。
<< 引用文献
小・中・高等学校を通じた統計的な内容等の改善に係る議論ついて H28
>>
背景は、以下です。これを読むと、目的は、統計学を読む能力であって、統計学を使って、プログラムを作る能力ではないことがわかります。
また、「アメリカと中国の科学技術に追いつく」視点はありません。
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背景
印象や偏見に惑わされることなく、正しい情報を見極め、客観的かつ中立的な観点から判断していくことは社会において重要なことであり、基礎的な統計の知識や技能,及びその活用能力はこれからの社会を生きる全ての児童生徒が獲得すべきものであると言える。
>
検討されている統計学の内容の高等学校の部分は、以下です。
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小・中・高等学校の算数・数学の現行の学習指導要領における統計に関する内容
(中略)
数学Ⅰ
データの分析
(ア) データの散らばり
(イ) データの相関
数学A
場合の数と確率
(ア) 場合の数
(イ) 確率
数学B
確率分布と統計的な推測
(ア) 確率分布
(イ) 正規分布
(ウ) 統計的な推測
数学活用 社会生活における数理的な考察
(ウ) データの分析
>
これは、古典的な頻度統計であり、30年前のカリキュラムです。
2025年現在、内容の半分は不適切になっています。
この内容では、統計学を使ったプログラミングはできません。
「具体的な審議内容」は、以下です。
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3.算数・数学ワーキンググループにおける具体的な審議内容について
・具体的な検討内容は以下の5項目とする。更に必要な事項等があれば、それを提示する。
(1) 統計教育によって育まれる資質・能力について
(2) 中学校卒業段階で習得しておくべきこと
(3) 高等学校卒業段階で文理共通に習得しておくべきこと
(4) 社会との関係を踏まえた統計教育を実践するための方策について
・各学校種・学年における個別具体的な内容の組替え等の詳細については、算数・数学ワーキンググループで提案された方向性に基づいて別途検討する。
>
ここには、「アメリカと中国の科学技術に追いつく」視点はありません。
スプートニク危機の時代の海外情報を参考にすることが常識から、法度体制を優先した鎖国に、検討がシフトしています。
「具体的な審議内容」は、Society 5.0とは関係がありません。
審議会で出た意見の一部が載っているので、更に、その一部を紹介します。
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学習指導要領の改訂における統計的な内容に係るこれまでの意見等
【算数・数学ワーキンググループ主な意見(第 1 回~第 3 回)】抜粋
第1回
・ 高校の進学校の文系では、数学とは全然関わりがなくなるか、暗記科目のような意識でひたすら暗記の勉強をするというような形だった。ところが、社会に出てから初めて、現実の問題を解くのに数字がいかに大事か、データがいかに大事かというようなことが分かり、七転八倒して数学統計を勉強したというような経験をした。したがって、小学校からだと理想的だが、中学校、高校のときから数字と社会の問題がどういう関連があるのかということに意識を持って勉強できたらもっと楽だろうと感じる。
・ 現行の学習指導要領で「データの分析」が新たに入って、社会のどんな分野に行っても必要とされる、統計の充実が図られたというのはとても良いことだと感じている。
>
「算数・数学ワーキンググループ」には、ベイズ統計が理解できている人がいるのでしょうか。
「経験」を基準に議論している人がいますが、「経験」は、サンプリングバイアスの塊なので、統計学が理解できていれば、「経験」をもとに、議論することはありません。
議論は、「社会のどんな分野に行っても必要とされる統計」であり、技術開発ができる人材を考えていません。
補足:
ニュージーランドのカリキュラムは以下にあります。
令和ロマンくるま氏は、受験科目数が大きく異なる国立大学と私立大学の学力レベルの差は、「プロ野球とメジャーリーグくらい違う」と言ってました。
ニュージーランドのカリキュラムと学習指導要領の間にも、「プロ野球とメジャーリーグくらい」のレベルの差があると思います。
レベル 1 英語のリーディングの内容の一部を引用します。
国際標準ISO 2145 は、「文書内の区分および細分化の番号付け」に関する印刷規則を定義します。これは、原稿、書籍、雑誌記事、標準など、あらゆる種類の文書に適用されます。
ニュージーランドのカリキュラムには、「番号付け」がなされていませんが、カリキュラムは、ISO 2145に、準じた構造体で書かれています。ここでは、そのことを確認するために、筆者が、番号を振っています。
2つ以上の対比する文がある場合には、箇条書き環境を使っています。
リテラシーのライティングの目標の1つは、ISO 2145で文章がかけるようになることです。
<
1.レベル 1 英語
1.1.聞く、読む、見る
1.1.1.プロセスと戦略
生徒は以下を行います:
- アイデアを識別、形成、表現するための情報源、プロセス、戦略を習得し、使用し始めます。
指標:
– 楽しみと個人的な達成感のためにテキストを選択して読みます。
– (中略)
聞く、読む、または見るときにこれらのプロセスと戦略を使用することで、生徒は次のことができるようになります:
1.1.1.1.目的と対象者
- テキストはさまざまな目的と対象者向けに作られていることを認識する。
指標:
–簡単なテキストの目的を特定する。
–簡単なテキストの有用性を評価する。
1.1.1.2.アイデア
- テキスト内およびテキスト間でアイデアを認識し、特定します。
指標:
–個人的な経験がテキストから得られる意味に影響を与える可能性があることを理解します。
–一部のテキストのアイデアを特定することでテキストの意味を理解します。
1.1.1.3.言語機能
- テキスト内およびテキスト間で言語機能がどのように効果的に使用されているかを認識し、理解し始めます。
指標:
–口頭、書き言葉、視覚言語機能が効果的に使用できることを認識し始めます。
–高頻度語とトピック固有の単語の大規模なバンクを認識します。
–大文字、句読点、語順、音量と明瞭さ、簡単な記号など、テキストの慣習に関する知識を示します。
1.1.1.4.構造
- テキスト構造を認識し、理解し始めます。
指標:
–単語、文、画像の順序と構成がテキストの意味に寄与することを理解する。
–いくつかのテキスト形式とそれらの違いを認識する。
>
<< 引用文献
Years and Curriculum Levels
https://nzcurriculum.tki.org.nz/content/download/1110/11995/file/charts1.pdf
The New Zealand Curriculum
https://nzcurriculum.tki.org.nz/content/download/1108/11989/file/the-new-zealand-curriculum.pdf
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