7月第4週の東京都の感染者数のまとめ~コロナウイルスのデータサイエンス(220)

7月第4週の東京都の感染者数のまとめ

7月の第4週も終わるので、今週の7月24日までの感染者データをまとめておきます。

Google Transitデータも更新しました。

Googleの予測データも、7月21日版に更新して、これも7日移動平均をEstimatedでプロットしてあります。

東京都の検査データは7月23日に更新されています。

2021年7月23日 の(7日間移動平均値をもとに算出した)検査の陽性率は、13.1%(8.1%,6.4%,5.5%,4.8,4.1,4.0,4.9,5.3,5.8, 6.8, 8.6, 6.9, 5.9, 5.2, 4.8, 4.2, 3.7, 3.7, 3.5, 3.3) %で、検査人数は6604.1人(8164.4人,8877.4人,7214人,6810.4人,6785.7人,4688.4人,7058.6人,7810.1, 7877.4, 9419.4, 6331.4, 7903.6, 8450.0, 7633.4, 7086.7, 6588.0, 6688.9, 6035.3, 6760.7, 6417.9) 人です。()は、7月15日、7月8日、7月1日、6月24日、6月17日、6月11日、6月3日、5月27日、5月21日、5月13日 、5月6日、4月29日、4月22日、4月15日、4月8日、4月1日、3月23日、3月19日、3月16日と3月9日の速報値です。検査データが、更新されると、データは日付をさかのぼって修正されますが、以上の値は速報値の暫定値です。

なお、暫定値を訂正した陽性率は、図2にのせています。

図1が、7月21日版のGoogleの予測値と、東京都の感染者数、経路不明感染者数です。

行動制限率は、7日移動平均では、-27%まで緩んでいます。今年に入って、もっとも緩いレベルです。

今週も、感染者数は増加しています。7日移動平均で1000人を超えました。

 

6月8日のGoogle予測は、感染者数は50人まで下がるというものでした。

6月16日のGoogle予測は、感染者数は112人まで下がるというものでした。

6月23日のGoogle予測は、感染者数は200人まで下がるというものでした。

6月29日のGoogle予測は、感染者数は600人で高止まりです。

7月7日のGoogle予測は、感染者数は1000人になります。

7月14日のGoogle予測は、感染者数はピークで1200人になり、その後減少します。

図1の7月21日のGoogle予測は、感染者数は今後600人まで減少します。

図2に、11月1日からの東京都の経路不明率と陽性率を示します。経路不明率は60%くらいの高止まりです。一方、陽性率は、20%近いです。

図3に、感染者数の1週間前の同じ曜日との差を示しています。東京都が前週との比を使うようになったので、前週との減少比率(1week_ratio)もプロットしてあります。感染者数は増加しています。この行動制限率は移動平均ではなく、生の値で、日付は12日ずらしています。値はほぼ一定です。

なお、先週の1週間前との差のグラフはミスがあり、今回は、ずれていたものを修正しています。

オリンピックの開会式から感染者数が突然へっていますが、陽性率が高く、検査数が少ないので、現在の感染者数のデータは、異常です。

表2に、東京都の最近の検査データ(暫定値)を示します。移動平均しない陽性率は、23日は19%ありますが、検査数は、2685まで減っています。

 

まとめると、今週は、感染者数と陽性率は、増加し続けています。

17日の感染者数1410人中に占める60歳以上は78人で、割合5.6%です。

つまりワクチンの効果があって、そのうえで、感染者数が増加しています。

60歳未満は、死亡率が低くなります。つまり、高齢者に比べれば、行動制限によるメリットは相対的には小さくなります。

図1に見るように、緊急事態宣言の行動抑制効果はもはやみられません。とはいえ、Go Toの頃に比べれば、まだ、おとなしいレベルではあります。

 

表1を見ると、6月28日から7月4日までの変異株の検査割合は57.2% で、L452R(インド株)の割合は、21.5%です。前の週が14.7%、その前が8.4%なので、線形補間すれば、1週間に7%増加しています。

図4に、表1と同じデータをより長期間グラフにしてあります。

図5は、7月に入ってからの、7日移動平均の陽性率と検査数です。

図6は、1週間前の同じ曜日の感染者数の比率を示します。ここでは、経路不明分の比率もプロットしてあります。

23日に、経路不明分の比率が1を割り、24日には、感染者数と経路不明分の比率が、共に1を切っています。つまり、感染者数が減少しています。

図7に、変異株の感染比率を示します。このデータでは、最近になって、感染比率が急増して50%に近付いています。

まとめると、開会式の23日から感染者数減少が見られていますが、陽性率、変異株比率共に急増していますので、感染者数の減少は、検査数の減少が原因であると思われます。

この検査数に、オリンピック関連の来日者が含まれているのかわかりませんが、

1)含まれているとすれば、検査数が増えて当然とおもわれますので、きわめて、不自然です。

2)含まれていないとすれば、「オリンピック関連の来日者」の検査が優先して結果、本来行うべき検査が十分に行われていない可能性があります。

2)は簡単にいえば、「コロナウィルスのオリンピック対応が優先した結果、国内のコロナ対策は既に、かなり手薄になって、陽性率と変異株率が急増している。しかし、検査数が減少した結果、その問題点が、感染者数に表れていない」ということになります。もし、この解釈が正しければ、感染拡大の実態は、オリンピックが終わって、検査数が平常になった時点で、爆発的に増大するはずです。ともかく、ここまで、検査数が減少すると、トレンドを見ることはできないと考えます。

 

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表1 都内の変異株スクリーニング検査の実施状況 (東京都による)

 

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表2 最近の検査データ

 

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図1 東京都の感染者数の推移(左軸:人、感染者数、経路不明感染者数、右軸:%、Google Transitデータ、7月23日版Google予測データ)

 

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図2 東京都の経路不明率と陽性率(右軸:経路不明率%、左軸:陽性率%)

 

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図3 東京都の感染者数の前週の同じ曜日との比較とGoogle Transit(左軸:感染者数の差、人、右軸:行動制限率%、右軸:感染者数の比x(ー1))

 

 

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図4 検査数(左軸)と陽性率(右軸:%)

 

 

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図5 7日移動平均の検査数(左軸)と陽性率(右軸:%)

 

 

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図6 1週間前との感染者数の比率

 

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図7 変異株の感染比率

 

  • 報道発表 令和3年 7月(都内の変異株スクリーニング検査の実施状況)

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/07/index.html

  • 都内の変異株スクリーニング検査の実施状況 7月15日

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/henikabu/screening.html

 

  • COVID-19 感染予測 (日本版)7月21日版

https://datastudio.google.com/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/4KwoB?s=nXbF2P6La2M

  • NHK特設サイト

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/

  • 都内の最新感染動向

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

https://www.google.com/covid19/mobility/ Accessed: <2021.7.24>2021-7-22version.

 

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