ベクトルスコープ(5)~darktable 3.6の新機能(15)

「スキントーンライン」の補足をしておきます。

要約には、以下のように書かれています。

  • ベクトルスコープには「肌のトーンラインskin tone line」がありません。肌の色は色が違うので、そのような線は必然的に仕様を表しています。さらに(次のポイントを参照)、この領域には、特定の画像コンテンツを修正するための具体的な手順はありません。

この解説の補足をします。

写真1は、人物の写真です。ベクトルスコープは広い範囲に散らばっています。

写真2は、顔の部分にトリミングしています。ベクトルスコープの範囲が狭くなります。

写真3は、肌の部分にトリミングしています。ベクトルスコープの範囲がさらに狭くなります。

これは、画面の色が限定されるために起こります。写真3の赤い矢印は、肌の色が、この辺りに来ていることをしめしています。そして矢印の方向の線を「スキントーンライン」と呼ぶ人がいます。色が限定されれば、ベクトルスコープの範囲は狭くなります。しかし、正しい肌の色を表すラインはないということです。これは、人種問題にもつながりますので、正しい色、特定の画像(ここでは肌の色)に特化した画像編集はできないといっています。

写真4は、花の画像です。

写真5は、葉の部分にトリミングしています。こうすると色は緑だけになりますから、ベクトルスコープも、赤の矢印で示したように緑位置のラインに集中してきます。

写真6では、花をトリミングしていますが、この場合には、花の赤の背景に緑の葉がありますので、ベクトルスコープは、赤と緑に広がります。

写真7は、背景のパネルをトリミングしていますが、ここには、オレンジのレンガと黄色い漆喰がありますので、ベクトルスコープは線の上にはのってきません。

写真8は、人物の画像です。ベクトルスコープでは、赤い線を入れた辺りに、かなり強い線が見えます。

写真9は、人物の顔にトリミングしています。写真2に似た傾向はみられますが、同じ線の上にのる「スキントーンライン」ではありません。また、写真8の線は見えなくなりました。

写真10は、小豆色の背景にトリミングしています。写真8の線は、この部分に対応していたことがわかります。

写真1と写真8のベクトルスコープを比べると、写真8の方が、ベクトルスコープがコンパクトにまとまっています。これは、写真8の人物の背景が、写真1より暗いためです。

まとめると、ベクトルスコープは、画像の色に対応しますから、色が限定されれば、ベクトルスコープもまとまりますが、正しい色はありません。

 

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写真1

 

 

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写真2

 

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写真3

 

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写真4

 

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写真5

 

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写真6

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写真7

 

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写真8

 

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写真9

 

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写真10

 

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