東京都の感染者数と変異株率の感度分析～コロナウイルスのデータサイエンス（２１９）

2021/07/21の朝日新聞は、尾身茂会長の発言を伝えています。

　政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は20日、日本テレビの報道番組で、東京都の1日の新規感染者数について、8月第1週には過去最多の3千人近くまで増加するとの見通しを示した。

これは、前回のシナリオ１とほぼ、同じです。つまり、感染者数を7月20日の値に固定した計算です。

7月5日以降は、増加率が増加していますので、シナリオ２または、シナリオ3も、検討する必要があります。8月の第1週には、その差は小さいですが、8月の第2週になると非線形効果の影響が大きくなります。

この問題のポイントは感度分析でです。

a=1週間の感染者数の増加率（増加率；7月20日ベース）

b=1週間の感染者数の増加率の増加率（微分係数）

の２つのパラメータを変えた時の感度分析をしてみました。

前回は、a=1.65で大きめでした。

今回は、次を計算しています。

a=(1.35, 1.5, 1.65)

微分係数（1週間の増加率の変化）は、前回は、ｂ＝（０.0, 0.9, 0.20)でした。今回は

b=(0.0, 0.05, 0.09, 0.20)

としています。表の数字は％です。

結果は、表１です。数字は、一日の新規感染者数で人です。

増加率１を、1.35まで下げても、8月第1週に2000人を超えます。

1月7日の520人を超えることは間違いないでしょう。

追記：

東京都のモニタリング会議の記事が出たので追加しておきます。

新規陽性者の7日間平均は、20日時点でおよそ1170人で、この1週間で1.5倍になり、専門家は、「感染拡大の速度が上がり続けている」と説明しました。

そして、今の増加比が継続した場合、7日間平均は、▼今月27日にはおよそ1743人、▼来月3日にはおよそ2598人となり、第3波でのピークでこれまでで最も多い1月のおよそ1816人を大きく上回るとしています。

ここでは、a=1.5を使っているようです。「▼今月27日にはおよそ1743人、▼来月3日にはおよそ2598人」は、表1とは若干異なりますが、b=0で、大筋ではあっています。

つまり、変異株の拡大による増加率の加速度が見込んでいないと思われます。

表１　感度分析の結果