ウェーブレット分解
ウェーブレット分解は、元の画像を詳細の異なる複数のレベル(詳細スケール)の画像に分割します。
ウェーブレットを使ったレタッチでは、元の画像を数の詳細スケールの画像にいったん分割し、分割した画像を個別に処理し、そのあとで、画像を再度結合して、元の画像を復元します。
レタッチモジュールのメニューにはウェーブレット分解があります。ここには、スケールごとに1つの長方形が表示されます(左側がきめの細かい、右側がきめの粗い)。左側の暗い長方形は完全な画像に対応し、右側の白い長方形は残差画像に対応します。デフォルトは、最終画像を表示しますが、「ウェーブレットスケールの表示」“display wavelet scales " ボタンをクリックすると、詳細スケールと残差画像を視覚化できます。
現在選択されている詳細スケールの画像は赤い長方形で表示されます。下の三角形のスライダーを動かして、使用する詳細スケール数を変更します。
詳細スケールを表示すると、コントラストが弱すぎるか強すぎる可能性があるため、モジュールはレベル調整を提案します(画面上のプレビューに適用されますが、最終画像には影響しません)。
各アルゴリズム(ヒール(修復)、クローン、塗りつぶし、ぼかし)は、いずれの詳細スケールでも使用できます。 詳細スケールの画像を元の画像から取得し、レタッチ後に元の画像を取得するために詳細スケールを再結合します。 詳細スケールの画像が、「塗りつぶし」 および「ぼかし」 ツールが使われる場所です。「塗りつぶし」 が、詳細スケールで使われる場合、詳細を除去するための塗りつぶしの色がデフォルトの黒の消去モードに設定されます。 また、色を選択してこの色で塗りつぶすこともできます(残差画像のスケールで最も有用です)。 通常、画像に直接「ぼかし」を使用すると、後処理がはっきりと見えるようになりますが、詳細スケールの画像に選択的に使用すると、非常に微妙な効果が得られます。
使用例
ここでは、前回に引き続き、ダンサーの顔を例に取り上げます。上の例にあるようにウェーブレット分解のスケールの数は、9に設定しました。
次に、「ウェーブレットスケールの表示」ボタンをクリックして、詳細スケール単位の画像が表示できるようにします。
次に赤い視角を、3番目の長方形をクリックして設定し、3番目の詳細スケールを表示します。
シェイプに円をえらび、アルゴリズムにぼかしを選びます。
表示された3番目の詳細スケールの画像の額とほおの付近に、ぼかしをかけます。
4番目の詳細スケールの画像についても、3番目の詳細スケールの画像と同じように処理をします。
更に、5番目の詳細の画像について、3番目の詳細スケールの画像と同じように処理をします。
このとき、赤い四角が左から5番目にあることに注意してください。
5番目の詳細スケール画像にも同じようにぼかしをかけます。
最後に、残差画像を確認するために、赤い四角を一番右に設定します。
残差画像が表示されます。
「ウェーブレットスケールの表示」ボタンをクリックして、修復後の元の画像が表示できるようにします。
次が、元の画像です。
次が、修復後の画像です。ニキビが消えています。
なお、目尻の黒子(ほくろ)は、ウェーブレット分解では、修正されていません。