キエフバレイのくるみ割り人形と1人あたりGDP

12月21日に、水戸で、キエフバレイ(ウクライナ国立バレイ団)のくるみ割り人形をみました。

千波湖岸にあるザ・ヒロサワ・シティ会館(茨城県⽴県⺠⽂化センター)で、ステージは奥行きが狭くて、ちょっと申し訳ない感じでした。また、音楽は、スピーカーを使っていましたが、音が少しキンキンして、これも申し訳ない感じでした。

ニーズウィークにも書かれていましたが、くるみ割り人形は世界のバレー団のドル箱で、クリスマスシーズンになること、バレー団はくるみ割り人形を演じて、収入の安定化を図るのです。収入の40%位をくるみ割り人形で稼いでいるバレー団もあるようです。また、この演目は、オムニバス的な構成が多いので、複数の役を交代で演じてるダンサーが多く、交代要員を補充しやすく、過密なスケージュルや、ケガの交代などに対応しやすい特徴があるようです。

このバレー団のプリマのノヴィコの演目は、白鳥の湖なので、今回の水戸のくるみ割り人形は、アンナ・ムロムツェワの持ち場となりますが、十分に優れた演技で、素晴らしかったです。

ただし、世界の名だたるバレー団は、クリスマス時期には、ホームの劇場で、クリスマス公演をして、収益をあげているのが普通です。これは、パリでも、ニューヨークでも、サント・ペテルスブルグでもそうです。

クリスマス時期にホームの劇場で、くるみ割り人形を踊れないということは、普通はありえません。

キエフバレイ団は、22日には、東京国際フォーラムで、23日には東京エレクトロンホール宮城 ⼤ホールで、24日には、秋⽥市⽂化会館で、26日は東京⽂化会館で、28日にはウェスタ川越でくるみ割り人形を演じます。

つまり、クリスマスシーズンには、日本に出稼ぎにきていることになります。

水戸のチケット販売は7割程度で、3割くらい空席がありました。また、チェットの単価も上野の半額以下なので、ビジネスとしては厳しいと思います。また、スケジュールは相当過密です。

これには、ウクライナの一人あたりGDPが関係していると思います。ロシア、中国、ウクライナの2018年の一人あたりGDP(ドル換算)と順位は以下です。

最近では、中国がロシアを上回っているという推定もあるようですが、ウクライナは、ロシアと中国の3分の1程度になります。これが、ロシアのバレー団がクリスマスを自国で講演できるのに対して、ウクライナが日本に出稼ぎに来ている理由と思われます。

ロシア 11,289.44 63位

中国 9,580.24 70位

ウクライナ 3,112.88 130位

ちなみに、一人当たりGDPウクライナと同じレベルの国と順位は以下です。

フィリピン 131位

ブータン 129位

ロッコ 126位

インドネシア 118位

また、ヨーロッパでウクライナより一人当たりGDPの順位が低い国には次がありますが、乾燥地帯でもともと遊牧が多かったところですから、ウクライナのような農業国とは条件が違います。

キルギス 161位

ウズベキスタン 152位

タジキスタン 171位

最近のハラリの本を読むと、21世紀には、領土侵略は原則起こっていない。例外は、ロシアとウクライナの関係であるといっています。これも、ウクライナの国力を見てのことと思われます。

翻って、日本を見ますと、ITエンジニアは、外資系に勤めるか、米国で働いていると思われますので、日本も業界によっては、既に、出稼ぎモードにあると言えましょう。