ザイム真理教の終わり(5)

1)自由貿易の効果

 

日本では、経済学者を中心に、自由貿易が経済発展に望ましいという議論がくりかえされています。

 

この議論は、完全流体の経済学によります。

 

しかし、粘性(抵抗)のある世界でなりたつかは、検証が必要になります。

 

摩擦(せん断)が、物質の移動のズレを意味します。

 

経済成長(所得増加)が、階層によってずれる減少は、摩擦になります。

 

インフレで、賃上げをして、大企業の労働者の賃金は、インフレ率を上回っていますが、中小企業の労働者の賃金は、インフレ率を下回っています。

 

経済モデルは、1BOXモデルであり、階層間に生じる摩擦がモデル化されていません。

 

自由貿易は、関税を減らすことです。

 

労働市場についていえば、外国籍労働者を受け入れることになります。

トッド氏は、「西洋の敗北」で、自由貿易が、格差を拡大して、中流以下の労働者の雇用を不安定にし、民主主義が終わってしまったといいます。

 

トッド氏は、2008年に「デモクラシー以後」で、この問題を取り上げています。

「西洋の敗北」(p.160)は、デンモクラシーがおわったという主張をしている本を13冊とりあげ、このリストは網羅的とはいいがたいので、後で追加するといいます。

そして、「こうした見方(ポストデモクラシー)は、いたって平凡で、多くの知識人と政治家に受け入れられている」といいます。

2)日本の場合

 

それでは、日本では、「自由貿易が、格差を拡大して、民主主義はポストデモクラシーに移行した」という見方は、どこまで、共有されているのでしょうか。

 

Copilptに聞いてみました。

 

Q:日本の社会学者は、自由貿易と格差の関係をどのように考えていますか。

 

日本の社会学者や経済学者は、自由貿易と格差の関係について、以下のような多面的な評価を行っています:

 

自由貿易が格差に与える影響:主な視点

  1. 高スキル労働者への恩恵と格差拡大

貿易自由化によって輸出機会が拡大すると、高スキル労働者が恩恵を受けやすく、単純労働者との間で賃金格差が拡大する傾向があると指摘されています。

 

これは、伝統的なHeckscher-OhlinモデルやStolper-Samuelson定理に基づく理論的予測であり、先進国では格差が拡大しやすい。

 

  1. 日本の二重労働市場との関連

中央大学の田中鮎夢准教授は、日本の労働市場が正規・非正規の二重構造になっていることが、自由貿易による格差拡大を助長していると分析しています。

 

非正規労働者の増加が、所得の不平等や雇用の不安定性を高める要因となっている。

 

  1. 自由貿易の恩恵と限界

一部の研究では、自由貿易が企業の競争力や消費者の選択肢を広げるなどの利益をもたらすとされる一方で、国内産業の空洞化や地域格差の拡大といった副作用も指摘されています。

 

特に農業や地方産業においては、国際競争によって打撃を受けるケースが多く、保護貿易的な政策とのバランスが課題となっています。



図表1 学術的な論点整理



 

これを見ると、日本では、「自由貿易が、格差を拡大して、中流以下の労働者の雇用を不安定にし、民主主義が終わってしまった」という見解は共有されているとは言えません。

 

3)交絡因子

 

つまり、日本の社会学は、国際的には、特異な位置にあります。

 

考えられる交絡因子は、年功型雇用であると思われます。

 

日本でも、「自由貿易は、格差を拡大して、中流以下の労働者の雇用を不安定」にしています。しかし、その不安定性には、法度体制の身分が反映されています。

 

学歴フィルターは、法度体制コピーされます。日本の学歴フィルターは、実力主義ではないので、海外の大学の卒業証書には、効力がありません。

 

ただし、年功型雇用は、技術進歩を止めるので、年功型雇用は崩壊しつつあります。

 

トッド氏は、「西洋の敗北」で、日本のポストデモクラシーについては、多くを語りません。

 

とはいえ、参政党の躍進が示したように、日本にも、「エリート主義とポピュリズム」の構図があり、日本もポストデモクラシーの時代に入っていると言えます。

 

これは、旧タイプの政党は力を失い、少数派になることは不可避であると解釈できます。

 

日本の企業は、技術競争力を失い、ジョブ型雇用に移行しつつあります。

 

その濃淡は、様々で、一様ではありません。

 

日立製作所は、日本企業の中では、ジョブ型雇用が進んでいる一つです。

 

日立製作所は、経営資源を集中化するために、家電事業部門の売却を考えています。

 

これは、合理的な判断です。

 

しかし、多くのアメリカ企業がこのような合理的な判断をして、製造業から撤退しました。その結果、アメリカは、ミサイルや戦艦をつくることができなくなりました。

経営方針には、プラスとマイナスの効果があります。

 

与党は、農民票の獲得を目指して、米価を高く維持してきました。

 

しかし、農家人口が減少して、与党は、兼業農家を切りすてた規模拡大政策にシフトしました。

 

これは農民票かた、都市住民票への切り替えと解釈できます。

 

規模拡大に使える水田は、全体の半分程度と思われます。平な土地にあった水田では、転用が進んで、水田ではなくなっています。

 

結局、規模拡大は、耕作可能な水田面積を減少させる政策になります。

 

しかし、トッド氏も指摘しているように、政治家の関心事は、問題解決ではなく、選挙の得票にあります。その結果、エリート主義が消滅して、民主主義が終わってしまいます。

 

欧米では、トッド氏のような一部の社会科学者は、政治体制に組み込まれず、自由な発言をしています。

 

日本では、学者も、年功旗雇用(法度体制)の中に、組み込まれているように見えます。