コメの価格をさげる方法(7)

1)水稲生産の変動量

 

科学的に需給の安定化を図るためには、統計モデルを作ることが必要になります。

 

消費の変動には、季節性があります。

コメの収穫は、8月から11月に分散しています。

 

つまり、最低限でも、月単位の分解能のあるデータが必要です。

 

2月は日数が少ないので、毎月を30日に基準化した経済月のデータが好ましいかもしれません。

 

最初に断っておきますが、以下の分析には、問題点が多くあります。

 

筆者は、専門家ではなく、アクセスできるデータも限られています。

 

パワーのあるコンピュータも使えません

 

以下の検討は、統計学のメガネ(言語)で、コメの需給バランスの問いを記述するプロセスを示すことにあります。

 

まず、月単位の分解能のあるデータは非公開です。

 

水稲の収穫量に関するデータは、まともに使える状態では公開されていません。

 

日本の総人口のデータであれば、時系列データを簡単に入手できます。

 

水稲の収穫量の時系列データは、簡単に入手できません。

 

ここには、筆者の見落としがあるかも知れません。

 

以下では、Copilotに聞いたデータをつかっています。

 

仮に、公開データがあるにしても、Copilotが見つけることのできないデータであれば、事実上の非公開と言えます。

 

一番使いやすいデータは、Kubotaが編集したMAFFのデータです。

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水稲の収穫量に関するデータ Kubota

https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/data/yield.html

>>

このデータと次のMAFFのデータを比べます。

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農業生産に関する統計(2)

https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/06.html

>>

 

Year Kubota MAFF diff

2017 782.2 782.4 -0.2

2018 778 778.2 -0.2

2019 776.2 776.4 -0.2

2020 776.3 776.5 -0.2

2021 756.3 756.4 -0.1

2022 726.9 727 -0.1

2023 716.6

2024 734.6



Kubotaのデータは、1961年から2022年までです。

 

MAFFのデータは、2017年から2024年までです。

 

2017年から、2022年までは2種類のデータがあるので、差をdiffに示しました。

 

Kubotaのデータの出典は、MAFFデータなので、本来であれば、この2つのデータは、一致するはずですが、若干の差があります。

 

データには、コード番号(ID番号)がついていないので、照合することはできません。

 

以下では、1961年から、2022年までは、Kubotaのデータを使い、2023年と2024年は、MAFFのデータを使っています。

 

YRは、年です。

YDは、生産量(万トン)です。

課題は、生産量の変動リスクの評価です。

VAは、前年の生産量との偏差です。

例えば、1962年のVAは次式になります。

VA(1962)=YD(1961)-YD(1962)

作付け制限によって、生産量は変動しています。

そこで、ここでは、生産量1万トンあたりのVAを計算します。

VR(1962)=VA(1962)/YD(1962)

 

以上の計算結果が次です。

 

> rice_prd

     YR     YD     VA           VR

1  1961 1213.8     NA           NA

2  1962 1276.2  -62.4 -0.048895157

3  1963 1252.9   23.3  0.018596855

4  1964 1236.2   16.7  0.013509141

5  1965 1218.1   18.1  0.014859207

6  1966 1252.6  -34.5 -0.027542711

7  1967 1425.7 -173.1 -0.121414042

8  1968 1422.3    3.4  0.002390494

9  1969 1379.7   42.6  0.030876277

10 1970 1252.8  126.9  0.101293103

11 1971 1078.2  174.6  0.161936561

12 1972 1176.6  -98.4 -0.083630801

13 1973 1206.8  -30.2 -0.025024859

14 1974 1218.2  -11.4 -0.009358069

15 1975 1308.5  -90.3 -0.069010317

16 1976 1169.9  138.6  0.118471664

17 1977 1302.2 -132.3 -0.101597297

18 1978 1254.6   47.6  0.037940379

19 1979 1189.8   64.8  0.054462935

20 1980  969.2  220.6  0.227610400

21 1981 1020.4  -51.2 -0.050176401

22 1982 1021.2   -0.8 -0.000783392

23 1983 1030.8   -9.6 -0.009313155

24 1984 1183.2 -152.4 -0.128803245

25 1985 1161.3   21.9  0.018858176

26 1986 1159.2    2.1  0.001811594

27 1987 1057.1  102.1  0.096584997

28 1988  988.8   68.3  0.069073625

29 1989 1029.7  -40.9 -0.039720307

30 1990 1046.3  -16.6 -0.015865431

31 1991  956.5   89.8  0.093883952

32 1992 1054.6  -98.1 -0.093021051

33 1993  781.1  273.5  0.350147228

34 1994 1196.1 -415.0 -0.346960956

35 1995 1072.4  123.7  0.115348750

36 1996 1032.8   39.6  0.038342370

37 1997 1000.4   32.4  0.032387045

38 1998  893.9  106.5  0.119140843

39 1999  915.9  -22.0 -0.024020090

40 2000  947.2  -31.3 -0.033044764

41 2001  904.8   42.4  0.046861185

42 2002  887.6   17.2  0.019378098

43 2003  777.9  109.7  0.141020697

44 2004  872.1  -94.2 -0.108015136

45 2005  906.2  -34.1 -0.037629662

46 2006  854.6   51.6  0.060379125

47 2007  870.5  -15.9 -0.018265365

48 2008  881.5  -11.0 -0.012478729

49 2009  846.6   34.9  0.041223718

50 2010  847.8   -1.2 -0.001415428

51 2011  839.7    8.1  0.009646302

52 2012  851.9  -12.2 -0.014320930

53 2013  860.3   -8.4 -0.009764036

54 2014  843.5   16.8  0.019917012

55 2015  798.6   44.9  0.056223391

56 2016  804.2   -5.6 -0.006963442

57 2017  782.2   22.0  0.028125799

58 2018  778.0    4.2  0.005398458

59 2019  776.2    1.8  0.002318990

60 2020  776.3   -0.1 -0.000128816

61 2021  756.3   20.0  0.026444533

62 2022  726.9   29.4  0.040445728

63 2023  716.6   10.3  0.014373430

64 2024  734.6  -18.0 -0.024503131



図1 生産量(YD)の時系列



 

図1は生産量の時系列です。

 

図2 変動量(VA)の時系列



 

図2は、変動量の時系列です。生産量時系列が減少していますので、変動量時系列も減少しています。

 

図3 生産量で基準化された変動量(VD)の時系列



 

図は、生産量で基準化された変動量(VD)の時系列です。図2のと異なり、大きな減少傾向は確認できません。

 

図4 生産量で基準化された変動量(VD)とスームズ曲線



 

念のために、図4では、図3を散布図になおして、スムーズ曲線を追加しています。

 

最近のVDは、弱い減少傾向にあります。

 

温暖化に伴いコメの収量の変動が大きくなっているという主張もありますが、このデータを見る限り、農業技術の進歩が、温暖化の影響よりまさっています。

 

なお、地域後の生産量の経年データも公開されていません。温暖化の影響は、地域で異なるので、全国平均では、変動が相殺されている可能性があります。変動の検討をするためには、時間的・空間的に解像度の高いデータが必須になりますが、公開されているデータは、平均後ばかりなので、詳細な検討は不可能です。

 

図5 生産量で基準化された変動量(VD)のヒストグラム



 

図5は、生産量で基準化された変動量(VD)のヒストグラムです。外れ値は、1993年の冷害の影響です。

 

これを除けば、20%、つまり、700万万トンであれば、140万トンの調整ができればよさそうです。

 

現在の備蓄米の水準では、不足するので、輸入米なしで、需給を調整することは困難にみえます。

 

1993年の大凶作をうけて、1995年(平成7年)に食糧管理法を廃止し「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」が施行され、米の備蓄制度が発足しています。

 

米の備蓄制度の備蓄水準は、作況指数を元に計算しています。

 

図5は、生産量のデータを元に計算しています。

 

生産データは、作付面積に、単収(作況指数x平均単収/100)をかけて計算しています。

 

これは、市場で流通する観測できる生産量のデータではありません。

次回は、米の備蓄制度を考察します。