1)学歴フィルター
びーやま氏は、「学歴フィルター」のおおよその序列を次のように書いています。
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2部リーグ:筑波大、お茶の水、千葉大、神戸大、横浜国大、MARCH
3部リーグ:地方国立大、日東駒専
新卒採用という点に限って言えば、この表の序列通りに就活の有利不利が決まっていくというのが実態です。
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びーやま氏は、「表にはありませんが、東京理科大学や上智大学なども学生によっては1部リーグに入ってくる。理系は研究室推薦や大学院進学などが多く、少し特殊なため、あえてこの枠に入れていません。私立の東京理科大学や芝浦工業大学などは就職実績だけで見たら早慶クラスに匹敵する(1部リーグに準ずる)」といいます。
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「学歴の一軍は早慶まで」。学歴フィルターから考える大学序列の実態とは【就職序列一覧付き】2025/05/06 Diamond
https://news.yahoo.co.jp/articles/05637dabb28d29c357ed3cc17f8d0af4859932f4
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びーやま氏の話をまとめると、「文系には、学歴フィルターがある。理系は、学歴フィルターがあてはまりにくい」ということになります。
2025年の私立大学の志願者数で、千葉工大が初1位になりました。
理系については、 学歴フィルターがあてはまらなくなっています。
過去のデータを元に、帰納法でまとめれば、びーやま氏が言うように、文系を中心とした学歴フィルターがあるといえます。
しかし、そのことは、将来も、学歴フィルターが存続することを意味しません。
大前研一氏は、「給料に不満があるならキーエンスに転職すればいい」といいます。
これは、自己責任論です。
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「給料に不満があるならキーエンスに転職すればいい」日本企業は収奪的と批判して賃上げを要求するのは筋違い、「自力で高い給料を掴み取る努力をせよ」と大前研一氏が提言 2025/05/05 週刊ポスト
https://www.moneypost.jp/1266882
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自己責任論は、小泉構造改革の竹中氏と同じ視点です。
労働市場があれば、これは正論です。
しかし、労働市場が成立するためには、労働者の価値(能力)を評価できることが前提にあります。
労働者の価値(能力)を評価できれば、学歴フィルターはありません。
アメリカの企業のように、インド系の経営者が経営する大企業が多くあるはずです。
そうならない理由を、森永康平氏は、次のように説明しています。
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大企業には立派な人事部があり、人事担当者も複数人いるが、良くも悪くも彼らはサラリーマンだ。サラリーマンは決められたことを決められた通りにこなす必要がある。大企業の人事だから、人材の目利き力を持っているかというと、必ずしもそうではないし、仮に持っていたとしても、組織のルールが優先だからそうそう発揮できない。
「実際に有能な人材」より、「自分たちの責任が問われない人材」を採用する会社の人事部も多い。
ある大きな会社の創業者の方が、結局、高学歴人材を採用するほうが「当たりの可能性が高い」とおっしゃっていた。
中卒や高卒、偏差値が高くない大卒の中にも、素晴らしい人材はいる。だが、それを選抜するのは難しい。とくに会社の規模が大きくなると、応募者全員を社長が面接するわけにはいかない。採用基準をルール化して組織的に進める必要がある。そういう時により成功確率が高い「採用ルール」として、学歴という客観的なスペックは有効だという。
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企業が重視するのは結局「学歴」…森永卓郎さんの息子・康平さんが「能力の低い人ほど学歴を重視せよ」と語るワケ 2025/05/05 現代ビジネス 森永 康平
https://gendai.media/articles/-/151485
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要するに、年功型雇用では、ジョブが決まっていないので、ジョブに合わせた人材の能力評価ができないわけです。これが、学歴フィルターの原因です。
しかし、ジョブに合わせて、人材をとらければ、労働生産性があがりませんので、給与は増えませんし、企業は、つぶれてしまいます。
今までは、年功型雇用(法度体制)を維持するために、学歴フィルターを使ってきました。
しかし、この方法では、生産性があがらないので、経営は補助金頼みになります。
税金を増やし続けることはできないので、この方法は何時か破綻します。
2)AIの活用
President氏は、AIの活用事例を紹介しています。
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米ワシントンポスト紙が3月14日に報じたところによると、コンピュータープログラマーの雇用数は(生成AI登場後の)過去2年間で27.5%も減少したという。アメリカ労働統計局の調査では、420以上の職種中、最も大きな打撃を受けた10職種に入っている。
米フォーチュン誌は、「今のプログラマー数は、インターネットが存在する前の水準まで戻った」と述べています。「1980年には30万人を超えていたプログラマー数は、2000年代初頭には70万人以上まで増えた。今では、その半分に減っている」
グーグルのスンダー・ピチャイCEOは2024年第3四半期の決算説明会で、「現在、グーグルで新たに導入されるコードの4分の1以上をAIが生み出し、エンジニアがそれを確認して実装している」と明らかにしました。
OpenAIのサム・アルトマンCEOも、多くの企業でAIがすでにコーディング作業の半分を担っていると発言しています。
ワシントンポスト紙によれば、2023年の統計では、プログラマーの年収中央値が9万9700ドル(約1495万円)なのに対し、開発者は13万2270ドル(約1983万円)と高い水準にあります。プログラマーの仕事が27.5%も減少したにもかかわらず、開発者の仕事は業界全体と同様にわずか0.3%の減少で済んでいます。AI時代の到来に伴い、単純なコード作成よりも、ビジネス要件の理解や設計力といった高度な能力がより重視されるようになっています。
生成AIのClaudeを提供するAIスタートアップのAnthropicは、Claudeの実際の使用データをもとに、AIの使用割合が高い分野を発表しました。「コンピュータと数学」分野での使用割合が37.2%と突出して高く、うちタスク別では、ソフトウェアの開発・保守関連が16.8%と最も高くなっています。
分野別ではコンピュータと数学に続き、「アートとメディア」(映画・TVなどのプロデュースや上演タスクなど)が10.3%、「教育と資料」(教育カリキュラムと資料の作成など)が9.3%で続いています。
米サンフランシスコエリアで開発企業ReplitのCEOを務めるアムジャド・マサド氏は3月27日、「もはやコーディングを学ぶべきだとは思わない」と述べ、AIが将来的にコーダーの仕事を奪うことから、「今からコーディングを学ぶのは時間の無駄だ」と主張しました。
マサド氏は、コーディングの代わりに、「考え方を学び、問題を整理する方法を学び、人間だけでなく機械とも明確にコミュニケーションする(AIに適切な指示を出す)方法を学ぶべきだ」と提言しています。
インドのNDTVの報道によれば、マサド氏は生成AIのClaudeを提供するAnthropicのダリオ・アモデイCEOの予測に同調する形で、「近い将来、すべてのコードはAIによって生成されるだろう」とも述べています。
アモデイCEOは6カ月以内にAIが全コードの最大90%を生成できるようになると予測しています。
これには、反論もあります。
フィナンシャル・エクスプレス紙によれば、Linuxの創始者であるリーナス・トーバルズ氏はAIがプログラマーを完全に置き換えるという主張を否定し、「AIは90%がマーケティング(誇大表現)で、現実はせいぜい10%だろう」と述べています。
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プログラミングを学んでもムダに…最新データでわかった「AIに奪われた仕事」「最大の犠牲者」とは 2025/05/06 President
https://news.yahoo.co.jp/articles/e5b7a97dec4fde3fbcc24922f280dad6cca2d83d?page=1
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Businesss Insiderは、ビル・ゲイツ氏の主張を紹介しています。
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ビル・ゲイツ氏は、AIが教育と医療という2つの職業における人手不足を解決できるかもしれないといいます。
コンサルティング企業のマッキンゼー(McKinsey)は、生成AIが医療や製薬業界の生産性を、最大で3700億ドル(約52兆6239億円)向上させる可能性があると見積もっています。
2024年、イギリスではロンドンの中心部にある学校で、学生の試験対策をサポートするために、ChatGPTなどのAIツールが、教師の一部の代替を始めました。この実験的なプログラムはデイビッド・ゲーム・カレッジ(David Game College)で行われており、20人の学生が英語、数学、生物学、コンピュータサイエンスなどの主要科目で、1年間AIツールを使用することになっています。
ゲイツ氏は、教師や医師だけでなく、「AIは工場労働者、建設作業員、ホテルの清掃員など体を使った技術が必要で、時間がかかる仕事をしているすべての人々にも影響を与える」とも話しています。
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ビル・ゲイツによると、代替は無理と考えられていた2つの仕事もAIが奪っていく(海外) 2025/05/05 Businesss Insider
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea796bc41a4b6f00243cdd0f27439b601da729f9
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3)これから起こること
AIは、DXのツールのひとつです。
過去2年間で、プログラマーが27.5%も減少したということは、生産性が、27.5%もあがったことになります。もちろん、レイオフによって、人件費は、27.5%減少し、その代りに、AIの利用料金が生じています。とはいえ、AIの利用料金は、極めて小さいです。
2年で、27.5%ですから、年率10%を超えています。
これから、ジョブ型雇用を採用する企業がAIを活用すれば、年率10%以上の生産性の向上を見込める分野があるといえます。
ゲイツ氏は、教師や医師が、大きな影響を受けるといいます。
AIの進展は反事実になりますので、帰納法の推論をする企業は、こうした予測ができません。
パールは、「因果推論の科学」(p.27)で、「問うことのできない問いに答えることはできない。そのための言葉がなければといを立てることすらできない」といいます。
パールのいう言語とは数学的言語です。
ニュートン力学の問いを立てるためには、微分と積分が必要でした。
同様に、因果推論の問いを立てるためには、数学的言語が必要になります。
同様に、AIに何ができるかという問いを立てるためには、数学的言語が必要になります。
AIは、嘘をつくかという問いを立てるには、数学的言語が必要になります。
帰納法は、全く、間違った推論で使えません。
パールは、過去30年間に状況が大きく変化したと言います。(p.20)
パールは、<1960年代から70年代にかけては、「頻度論派」と「ベイズ派」の間で激しい論争があった>(p.143)といいます。
日本では、ベイス推論の普及は、1997年開発のWinBUGS以降であると思います。
アメリカに比べ、30年は遅れています。
1994年のインターネットの普及以前では、アメリカの技術をフォローすることが困難でしたので、止むをえない部分もあります。
年功型雇用を維持し、レイオフしないことは、年率で10%以上の生産性の向上を放棄することになります。
学歴フィルターを使って、年功型雇用(経団連の21世紀型雇用)を続ける企業は、10年とは、持たないことがわかります。
これは、与党と政府の政策ですが、既に、クラッシュは始まっています。