(法度制度のミームを確認します)
児童手当の拡充などを柱とし、その財源として公的医療保険に上乗せして徴収する子ども子育て支援金を創設する少子化対策法案が、18日の衆院特別委員会で与党の賛成多数で可決されました。
(同法案は、19日、衆院本会議で自民・公明両党の賛成多数で可決されました。参院に送られて審議され、今国会で成立する公算が大きいです)
被保険者1人あたりの家族分も含めた平均負担額は、中小企業の「協会けんぽ」で700円、大企業の「健保組合」は850円、公務員らの「共済組合」は950円。いずれも所得によって増減し、年収600万円超で月1000円以上となると試算されました。政府は、歳出改革と賃上げにより、所得と比較した負担率は上昇しないとして実質的な追加負担は生じないと説明しています。
<< 引用文献
【速報】子育て支援金 衆院委員会で可決 児童手当拡充など少子化対策法案 2024/04/18 フジテレビ
https://www.fnn.jp/articles/-/687284
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「政府は、歳出改革と賃上げにより、所得と比較した負担率は上昇しないとして実質的な追加負担は生じないと説明しています」
この説明には、具体的な数字がありません。
「中小企業の協会けんぽで700円、大企業の健保組合は850円、公務員らの共済組合は950円」という具体的な数字が、解消されるという根拠がありません。
つまり、政府の説明は、説明としての要件を満たしていません。
太平洋戦争の時に、大本営には、敗戦という言葉はありませんでした。
敗戦した場合には、転進したと説明していました。
敗戦したときに、敗戦を認めて、敗戦の原因を分析すれば、同じ間違いを繰り返すことはありません。
もちろん、敗戦を認めれば、司令官が責任を問われます。
アメリカ軍では、真珠湾攻撃のような明らかな敗戦があった場合には、司令官の責任が問われています。
少子化は、人口問題の明らかな敗戦に相当します。
しかし、政府は敗戦を認めません。
政府の高官で、少子化対策の失敗の責任を問われて、左遷された人はいません。
問題の原因を分析して、対策を講じないので、問題が解決するはずがありません。
これが意味することは、政府の政策決定は、太平洋戦争の時とまったく、同じ法度制度に基づいているということです。
法度制度の頂点にいる総理大臣が、少子化対策法案を指示した場合、下々は反論できませんし、合理的な説明を受ける権利を持っていないと考えることは、法度制度のミームが動いていることを意味します。
マスコミが、法度制度のミームに感染していなければ、「政府は、歳出改革と賃上げにより、所得と比較した負担率は上昇しないとして実質的な追加負担は生じないと説明しています」と書くのではなく、「政府は、実質的な追加負担は生じない根拠となる数字を提示してない」と書くはずです。
政府の高官で、少子化対策の失敗の責任を問われて、左遷された人はいませんが、企業のトップでも、経営の失敗の責任を問われて、左遷された人もいません。
企業のトップが、謝罪する場合は、システム障害、点検不正、リコールの場合です。
つまり、年功型組織の企業も、法度制度のミームに感染しています。
法度制度のミームに感染していている人と組織には、科学的な説明は通用しません。
そこには、説得をする余地はありません。
国会審議も空回りになります。
党議拘束は、法度制度のミームです。アメリカには、法度制度のミームがないので、党議拘束は、ありません。
<< 引用文献
党議拘束の緩和こそ政治改革の決め手 2024/04/17 Newsweek 冷泉彰彦https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2024/04/post-1350.php
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結局、法度制度のミームが撤退しない限り、全ての問題の解決は見送りになります。
問題は、少子化に限定されず、全ての問題解決が凍結されています。