外国人の高額医療費請求は妥当か

 

国民民主党玉木雄一郎代表は、現行制度では外国人でも3カ月程度の滞在で数千万円相当の高額療養費を受けることができると主張し、Xで「現役世代が苦労して支払う社会保険料は、原則、日本人の病気やけがのために使われるべきだ。不適切利用を防ぐためにも制度を見直すべきだ」と訴えています。

 

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「外国人は90日の滞在で数千万円相当の制度受給」国民・玉木雄一郎氏が高額療養費に疑問 2025/02/16 産経新聞

https://www.sankei.com/article/20250216-4PXTHOEF6RC2VL42QCVZPF7M3I/

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朝日新聞は、次のように、厚生労働省の実謬主義にたっています。

 

厚生労働省によると、2022年3月~23年2月の高額療養費制度の支給総額(9606億円)のうち、受給資格をもつ中長期在留者ら外国人への支給額の割合は1.15%(111億円)で、国保に加入している外国人の割合の3.6%よりもさらに低い。

 

 保険制度に詳しい一橋大の高久玲音教授(医療経済学)は「医療費全体から見れば、外国人が占める割合は極めて小さい。外国人向けの給付を削減すれば現役世代の負担の軽減ができるということは全くない」と指摘。「医療には、社会保険料だけでなく多額の税金も投入され、外国人も消費税を含め税負担はしている。このため、特別な事例をもとに、『日本人が払った保険料だから保険医療は日本人だけに』と考えるのは論理の飛躍だ」と語った。

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高額療養費制度、外国人の利用割合限定的 支給額全体の約1% 2025/03/17 朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/20610db4c47bd23ba78e22b38c705a4658bd3f5d

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玉木氏は、「現役世代の負担の軽減ができる」とは、言っていません。納税者に対する税の使い道の透明性(公平性、効率性)に問題があるといっているだけです。

 

1.15%(111億円)と、外国人の割合の3.6%は、税の使い道の透明性(公平性、効率性)には、関係がないので、問題のすり替えになっています。

 

産経新聞は、次のように報道しています。

立憲民主党長妻昭代表代行は2月17日の記者会見で「保険は負担と給付とのバランスだ」と述べ、外国人による制度の利用実態を調査する意向を示した。自民党河野太郎前デジタル担当相も2月16日に自身のブログに「病気と分かった上で来日し、中長期滞在しながら国民保険に加入して治療を受けることを防ぐことが必要だ」と記した。

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1年111億円、短期滞在の外国人の高額療養費制度利用に疑問の声「厳格適用すべき」 2025/03/15 産経新聞 大島 悠亮

https://www.sankei.com/article/20250315-55XYDEGTVVJ7XNJKQ64SZOGH34/

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2024年5月24日に、NHKは、次のように報道しています。

厚生労働省は、日本で暮らしている外国人が、年金や医療などの保険料をどの程度納付し給付を受けているか把握するため初めての調査を行うことになりました。

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在留外国人の保険料納付状況など初調査へ 厚労省 2024/05/24 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240524/k10014460081000.html

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長妻氏とNHKは事実を誤認しています。

 

外国人による制度の利用実態結果は、2019年に公開されています。

 

最新ではありませんが、おおよその動向が分かります。

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第118回社会保障審議会医療保険部会 資料 厚生労働省 2019/06/19

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05179.html

 

参考資料1在留外国人の国保適用・給付に関する実態調査等について

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000517334.pdf

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比率を検討する場合には、人数か、金額が、母集団は何かを考える必要があります。

 

図1は、国保医療保険における高額医療費の負担割合を示しています。

 

年々増加していますが、4.5%弱です。

 

なお、高額医療費問題では、高額であることは問題ではありません。病気になる確率が問題になります。保険制度は、確率の低い現象について、リスクを分散するシステムです。高齢者の3人に1人はがんになります。つまり、がん治療のような発生確率の高い病気については、リスク分散効果が働きません。高額医療費問題を検討するためには、治療費のグレード、生存確率の上昇効果、病気の発生確率のデータがないと検討ができません。こうしたデータが公開されていないことが問題です。



図1 高額医療費の負担割合

 

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令和4年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況について 厚生労働省 2024/08/08

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001283515.pdf

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図2は、外国人の高額医療費支払データです。

 

総医療費961億円に対して。高額医療費は、79億円です。

 

これは、8.2%になります。

 

図1の平成29年度の高額医療費割合は、3.9%でした。

 

つまり、外国人の場合の高額医療費の割合は、国民医療給付の2.1倍になっています。

 

これは、データのバラツキで説明できる範囲を超えています。



図2 外国人の高額医療費支払い






平成29年度の年齢階層別の医療費支出の割合は、以下です。



表1 平成29年度の年齢階層別の医療費支出の割合

 

0~14歳   5.9%

15~44歳 12.2%  

45~64歳  21.6%  

65歳以上  60.3%

 

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平成 29 年度 国民医療費の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/17/dl/H29data.pdf

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これは、65歳以上の高齢者は、病気にかかりやすく、治療費がかかることを示しています。

 

日本人の場合、65歳以上の被保険者数が、43.5%で、医療費支出の割合は、60.3%です。

 

日本人の場合、65歳未満の被保険者数が、56.5%で、医療費支出の割合は、39.7%です。

 

被保険者数1%あたりの、医療費支出の割合は、65歳以上で、1.39%、65歳未満で、0.70%です。

 

つまり、一人当たり、65歳以上は、65歳未満の1.99倍医療費がかかることになります。



図3 年齢階層別被保険者数





図3は、年齢階層別被保険者数です。

 

外国人の場合、65歳以上の割合は、5.4%です。

 

つまり、病気になりやすい人、病気になって医療費かかる可能性の高い人の割合は小さいです。

 

以下では、不明の1.3%は、65歳未満に組み込まれています。

 

年齢階層別の高額医療費のデータは公開されていません。

 

ここで、年齢階層別の高額医療費の発生確率は、一人当たり医療費の発生確率に比例すると仮定します。

 

表2が、試算例です。

 

上記の仮定に基づけば、D列の65歳未満の高額医療費は、全体の1.55%、D列の65歳以上の高額医療費は、全体の2.35%になり、合計が、3.9%になります。

 

これを人口1%当たりに換算した各年齢階層の高額医療費の比率が、F列になります。


表2 年齢階層別の高額医療費の割合の試算

次に、表3で、F列の値を使って、表2のD列に相当する値をI列に計算しています。

 

その結果、外国人の行動が日本人と同じであった場合、高額医療費の予測値は、2.91%になります。

 

外国人の高額医療費の発生確率は日本人の(8.2/2.91=)2.82倍になります。

 

考えられる原因は、2つです。

 

第1は、人数割合の5.4%の65歳以上の外国人に、高額医療費の治療を必要とする人が、異常に高い割合で含まれている。

 

第2は、本来は、病気になったり、高額医療費が必要になる確率が低い65歳未満の外国人に、高額医療費の治療を必要とする人が、異常に高い割合で含まれている。

おそらく、この2つが、同時に起こっているのではないでしょうか。

表3 外国人の高額医療費の試算

 



「年齢階層別の高額医療費の発生確率は、一人当たり医療費の発生確率に比例する」という仮定は、かなり、緩い仮定です。

 

65歳以上の方が、自然治癒する力が弱いので、病気が重症化すると治りにくく、高額医療になる確率が高くなります。

 

以上のように、「参考資料1在留外国人の国保適用・給付に関する実態調査等について

」のデータからみれば、玉木氏の心配が正しく、朝日新聞の記事は、間違いになります。