1)パラグラフの3要素
パラグラフには、トピックセンテンス(主題)、主題の説明、データの3点セットが必要になります。
テレ朝は、福岡厚生労働大臣の答弁を、次のように伝えています。
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高額療養費制度の上限引き上げをめぐり、政府は患者の自己負担増加に伴う受診控えによりおよそ1950億円の医療費削減が見込まれると発表しました。
福岡厚生労働大臣
「あくまでも過去のデータに基づいて機械的に試算した修正案における長瀬効果の見込み額といたしましては段階的な見直しが終了した時点で約1950億円と見込んでございます」
「長瀬効果」とは、患者の自己負担が増加すると受診控えが起きて医療費が削減される効果のことです。
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<< 引用文献
高額療養費見直しで1950億の医療費削減 受診控え見込む 政府 2025/02/25 テレ朝
https://news.yahoo.co.jp/articles/e813f7978b529b6cc11bc516c6e3ee0e81a14869
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UCLA准教授、医療政策学者、医師の津川友介氏は、生死に関わる高額療養費では、患者の自己負担増加に伴う受診控えは起きないといいます。自己負担増加に伴う受診控えを期待するのであれば、軽症の治療、投薬効果のないウイルス性の風邪などを対象にすべきであるといいます。
<< 引用文献
「健康保険料高すぎ!」「もう限界」国民の負担を増やす前に厚労省がやるべき、2~7兆円もの医療費を削減できる3つの医療改革とは 2025/02/20 集英社オンライン
https://shueisha.online/articles/-/253142
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津川友介氏は、エビデンスに基づく試算を示しています。
ここで注意すべき点があります。
津川友介氏は、パラグラフの形式で問題を提起しています。
福岡厚生労働大臣は、法度体制の段落の形式で発言しています。
「あくまでも過去のデータに基づいて機械的に試算」とは、エビデンスに基づくまともな検討はしていないし、するつもりもないという主張です。
法度体制の論理では、お上(政府)が一番偉くて、お上のいうことに間違いはない、あるいは、間違ってはいけないことになります。
従って、間違っているか否かがわかるようなエビデンスを提示することはありません。
「あくまでも過去のデータに基づいて機械的に試算」とは、最初から、間違っていてもかまわないだろうと言っているわけです。
民主主義は、議論と合意で進めます。発言者が、パラグラフの形式を守らないと議論と合意が成り立ちません。なので、民主主義では、パラグラフの形式を守らないと発言は拒否されます。形式を整えて、出なおさないと議論はしませんと突き放します。
「あくまでも過去のデータに基づいて機械的に試算」とは、最初から、間違っているかもしれないといっています。
したがって、「間違っている可能性の高い数字では、議論できないので、エビデンスに基づいて、計算しなおしてください」といって、議論は、中断します。
EBPM(エビデンスに基づく政策決定)では、この議論の前提を受け入れる必要があります。
医療費の評価関数は、費用対効果になります。
赤字をゼロにするのであれば、健康保険をゼロにすることが最適解になります。
医療費の削減額は、効果とのバランスを考えなければ、ゼロにすればよいと言えます。
したがって、これでは、議論できませんと断ることが正解です。
段落の発言を、津川友介氏のように、間に受けてはいけません。
福岡厚生労働大臣のメンタルモデルは、法度体制にあります。
津川友介氏のメンタルモデルは、医療経済学(科学)にあります。
メンタルモデルが異なるので、ここには、バカの壁があります。
科学のメンタルモデルでなければ、議論ができないと、議論を拒否することが正解になります。
メンタルモデルが異なれば、議論になりません。
そのまま、時間切れになれば、結局、法度体制が、科学に優先してしまいます。