極上の焼き芋の焼き方(131) 羊羹焼き芋のレシピ(2022/02/02 改訂版)

1.共通の注意

焼き芋を焼く場合の留意点は、次の3つです。

 

1. ペクチン軟化

2. 糖化

3. 水分の調整



1)ペクチン軟化

サツマイモを柔らかな食感にする過程です。

温度を90度以上にする必要があります。

2)糖化

糊化したデンプンを麦芽糖に転換する過程です。

3)水分の調整

水分を飛ばして、蒸し芋、ふかし芋のような水っぽさを除く過程です。

 

以上の調整は、サツマイモのサイズによって、必要となる時間が異なります。

レシピは、サイズがM(200g)のサツマイモを標準として、書いています。

 

サツマイモのサイズが、異なる場合には、温度設定は変えずに、加熱時間を変えて、調整してください。

 

2. 羊羹焼き芋のレシピ

 

羊羹焼き芋のレシピの基本の考え方は、以下です。

 

ステップ1:β-アミラーゼの失効を最小限にするために、最短時間で、90度に達して、ペクチン軟化を完了する

ステップ2:デンプンの麦芽糖化を進めるため、90度をできるだけ長時間維持する。

1)器具の準備

ここでは、基本的にオーブンレンジ(オーブン機能付き電子レンジ)を使います。

オーブントースターでも、調理は可能ですが、手元に、オーブントースターがないため、オーブントースターでは、試していません。

オーブントースターの調理法についても、わかっている範囲で、記載しておきます。

不明な点については、最後に、「オーブントースターの注」を付けておきます。

また、加熱時間を短縮するために、部分的に熱量の多い蒸し器を併用することも可能ですので、この方法も補足してあります。

 

調理器具:オーブンレンジ、または、オーブントースター

     アルミホイル、ミトン、竹串または金串、タワシまたは歯ブラシ(泥が気になる人)

保温器具:保温箱

 

予算に応じて、保温箱を準備します。

 

低予算コース:0円、スーパーなどで、トロ箱(魚などの生鮮食品の輸送用の発泡スチロールの箱)をもらってきます。発泡スチロールに熱い焼き芋が直接触れると、発泡スチロールが変形したり、発火するリスクがあります。これを避けるために、タオルも準備して、焼き芋をタオルにくるんだ上で、トロ箱に入れます。この方法では、4時間程度は暖かいです。

 

中予算コース:1200円。600円の真空タンブラー(ビールカップ)を2つ準備します。焼き芋は、タンブラーに入れたうえで、タオルに包んで、トロ箱に入れます。この方法では、8時間程度は暖かいです。

サツマイモの量が少なければ、タンブラーは1つでも対応可能です。

 

高予算コース:7000円から、市販の真空調理鍋があります。これを使えば、更に、高い保温効果が期待できます。

 

2)サツマイモの準備

 

以下は、サツマイモの種類は、紅はるかを想定しています。

 

良いサツマイモを入手します。

 

サツマイモのサイズはSまたはM(300g以下)を選びます。

 

一緒に複数本を焼く場合には、サイズによって、加熱の具合が異なるので、サイズが揃っていると調理が簡単になります。

 

このため、一袋に複数本のサツマイモが入っている場合には、サイズの揃っているものを選びます。

 

表面に蜜のようなもの(ヤラピン)が、見えるサツマイモがあれば、それを優先します。

 

12月より前に購入したサツマイモは、新聞紙に包んで、冷所(13度)において、12月まで保存して使います。

 

12月以降に、購入したサツマイモは、そのまま使って構いません。

 

サツマイモは、まれに、痛んでいることがあります。

指でさわって、ぶよぶよしているようであれば、痛んでいます。

切ってみると変色しています。

購入するときには、痛んでいるサツマイモは避けます。

 

購入後、ビニール袋に入れておくと、1日でも痛んでしまうことがあります。

サツマイモは、購入した日に調理しない場合は、ビニール袋から出して、新聞紙に包んで、保管した方がよいです。

ビニール袋にいれたままであれば、冷蔵庫の野菜室で保管します。

 

3)加熱前の準備

サツマイモをよく洗います。

泥が気になる場合は、たわしか歯ブラシで、泥落とします。

 

サツマイモが破裂しないように、竹串または金串で、小さな穴をあけます。

 

3-1)オーブンレンジの場合

    サツマイモをアルミホイルで包みます。

 

3-2)オーブントースターの場合

    アルミホイルで包む必要はありません。

 

4)ステップ1の加熱

 

ステップ1では、できるだけ短時間でサツマイモの温度をあげることが目標です。

このためには、加熱温度は高い方がよいことになりますが、あまり高い温度を出せない調理器具もあります。石焼き芋什器のデータから見ると、扱いやすい温度は、200度から230度です。以下で、もっとも扱いやすい200度で、レシピを書いています。

 

4-1)オーブンレンジの場合

200度で予熱します。

200度60分を目途に加熱します。

加熱は、アルミホイルでまかれたサツマイモを、ミトンで挟んで、柔らかくなっていれば、ペクチン軟化が完了していますので、加熱を中止します。

 

4-2)オーブントースターの場合

200度で予熱します。

200度60分を目途に加熱します。

加熱の段階で、糖蜜が出ることがあるので、網に、アルミホイルをしきます。

加熱は、アルミホイルでまかれたサツマイモを、竹串または、金串でさして、柔らかくなっていれば、ペクチン軟化が完了していますので、加熱を中止します。

 

4-3)蒸し器を併用する場合

ステップ1では、できるだけ短時間でサツマイモの温度をあげることが目標です。

ガスコンロで、蒸し器(鍋に網を入れる簡易蒸し器も十分)を使うと、更に短時間で、温度上昇が見込める場合があります。そこで、上記の加熱の最初の30分の部分を蒸し器で代用します。

なお、出力の小さな電気蒸し器、オーブンレンジに付属している蒸す機能は、出力が小さく、時短効果がありませんので、使えません。

 

5)ステップ1の保温

サツマイモを保温箱で保温します。

オーブンレンジ調理の場合には、サツマイモは既に、アルミホイルで覆われています。

オーブントースターの場合には、サツマイモは、アルミホイルでくるまれていませんが、糖蜜がでるので、保温すると糖蜜がでるので、保温前に、サツマイモをアルミホイルで包みます。

低予算コース:アルミホイルで包まれたサツマイモをタオルで包んで、トロ箱に入れます。

中予算コース:アルミホイルで包まれたサツマイモをタンブラーに入れ、タンブラーをタオルで包んで、トロ箱に入れます。

高予算コース:アルミホイルで包まれたサツマイモを真空調理鍋に入れます。

 

保温時間の制約は、次の2つです。

 

温度が下がると反応速度が落ちるので、糖化の速度が下がる。

ステップ2の加熱をする場合、温度が下がりきっていなければ、短時間で、温度上昇が見込まれる。

 

実際の調理では、ステップ2の加熱を開始する時間は、自由に取れた方が便利なので、2時間以上保温すれば、あとは、自由に扱っています。

 

ステップ1の保温が終わった時点で、市販の石焼き芋よりは甘くなってるはずなので、ここで、調理を終了する選択も可能です。



6)ステップ2の加熱

 

ステップ2の加熱は、再度サツマイモの温度を上げて、糖化を促進することです。

ステップ1でペクチン軟化が終了していますので、ステップ2では、短時間に温度を上げる必要はありません。そこで、オーブンレンジやオーブントースターのデフォルトである170度または180度(機種によって違う)を使います。

 

予熱は、基本的には、不要ですが、保温箱からサツマイモを取り出した時点で、サツマイモがあたたかいと、予熱していないオーブンレンジや、オーブントースターにサツマイモを入れると、いったんサツマイモを冷やしてしまうことになります。これでは、流石(さすが)に非効率ですから、オーブンレンジや、オーブントースターが、サツマイモが冷えない程度の温度になってから調理を始めます。

 

6-1)オーブンレンジの場合

予熱せずに170-180度60分を目途に加熱します。

60分が目標ですが、糖蜜が出て、それが焦げ付くと匂いがしますので、焦げてきたと思われたら、加熱を中止します。

 

6-2)オーブントースターの場合

予熱せずに170-180度60分を目途に加熱します。

60分が目標ですが、糖蜜が出て、それが焦げ付くと匂いがしますので、焦げてきたと思われたら、加熱を中止します。



7)ステップ2の保温

サツマイモを保温箱で保温します。

 

低予算コース:アルミホイルで包まれたサツマイモをタオルで包んで、トロ箱に入れます。

中予算コース:アルミホイルで包まれたサツマイモをタンブラーに入れ、タンブラーをタオルで包んで、トロ箱に入れます。

高予算コース:アルミホイルで包まれたサツマイモを真空調理鍋に入れます。

 

2時間以上経過すれば、次のステップに移行できます。

 

8)仕上げの水分飛ばし

 

段階7)で、焼き芋は完成していますが。焼き芋は糖蜜に包まれているはずです。

しかし、水っぽく感じられますので、お好みで、水分飛ばしを行います。

水分を飛ばし過ぎると、カチカチの飴の状態になりますので、その前に加熱を中止します。

サツマイモの耳の部分は、水分が飛びやすいので、サツマイモ全体の水分量が適切になった時点で、耳の部分は硬くて、食べられなくなります。

 

サツマイモをアルミホイルから取り出した後、水分を飛ばす前に、耳の部分を切り落としておくことをおすすめします。

 

8-1)オーブンレンジの場合

サツマイモは、アルミホイルから取り出して、天板にしいたクッキングシートの上に並べます。

予熱して170-180度10-20分を目途に加熱します。

5分程度経ったら、サツマイモの上下を反転させます。

 

8-2)オーブントースターの場合

サツマイモは、アルミホイルから取り出して、網の上に敷いたクッキングシートの上に並べます。

予熱して170-180度10-20分を目途に加熱します。

5分程度経ったら、サツマイモの上下を反転させます。



9)オーブントースターの注

オーブントースターは手元にありませんので、推測の記載です。

問題点は、以下です。

 

・オーブントースターによっては、温度調整ができず、ワットの出力切り替えだけの機種があります。基本は、最大出力で使うことになると思います。

・オーブンレンジの場合には、熱風を使って食材を温めますので、アルミホイルで覆わないと、乾燥しすぎて、サツマイモがすぐに焦げてしまいます。オーブントースターの場合には、風はふきませんので、ステップ1の加熱中に、アルミホイルは不要と考えています。しかし、乾燥しすぎるようであれば、アルミホイルでサツマイモを包んでください。オーブントースターで、アルミホイルで包んだサツマイモを加熱すると、包まない場合に比べ、放射熱の反射が多くなるので、温度上昇は、遅くなるはずです。それを考えると、ステップ1の加熱では、最初から、アルミホイルを使うのではなく、ある程度、サツマイモの温度が上がってから、アルミホイルを使う方法も考えられます。このあたりは、実験できる器材がないので、どれが、よいか判りません。