オーブンレンジのグリル機能の評価
現在、市販されている電子レンジは、オーブンレンジです。
これは、電子レンジに、オーブン機能がついています。
オーブンとは、熱風(対流)で、食材を温める仕組みです。
この場合、熱風の風の強さには、規格がないので、同じ設定温度でも、オーブンレンジの機種によって、温まり方に差が出ます。
コンベックスオーブンと名前がついている場合は、風量、風速は大きいようです。
一方、放射熱で、温める仕組みがグリルです。
オーブントースターのように、風がおこらない調理器は、グリルです。
石焼き芋什器は、焼き石の放射熱で調理するのでグリルです。
石焼き芋をオーブンレンジで焼くのあれば、オーブン機能ではなく、グリル機能を使うべきです。
以下は、4メーカーのオーブンレンジの上位機種のグリル機能を調べた結果です。一部の機種の情報なので、あくまで、サンプルです。
1)パナソニック
現在、筆者が使っているメーカーです。
グリル機能をセールスポイントにしているメーカーです。
グリル機能は、上部にあるヒーターと下部にある電子レンジの発振器を使います。
グリル皿は、下部にある電子レンジの発振器で、発熱します。
このため、
天板を上段にいれた場合には、ヒーターのみ
天板を中段にいれた場合には、ヒーター+グリル皿の発熱(電子レンジ)
天板を下段にいれた場合には、グリル皿の発熱(電子レンジ)のみ
という複雑な加熱方法になります。
グリルの加熱時間の最大は30分ですが、追加加熱も30分まで、できます。
温度調節はできません。
加湿のためのスチームがでることがあります。
2)東芝
グリル機能がついている機種は、「石窯ドームグリルはER-PD7000/PD5000/PD3000/PD200/PD100のみ」と一部です。
グリルは、天板を上段に入れて使います。
加熱は、上からだけになります。
一般に、天板を上段に、入れた場合、食材の大きさは制限されますので、上段では、Sサイズのサツマイモでは問題はありませんが、Mサイズでは、均等に加熱されないリスクがあります。
Lサイズは、天板に、入りません。
3)シャープ
グリルの説明に「高温の熱風で、食品の表面に焦げ目を付けてしっかり加熱します」と書かれています。
対流で調理するのはオーブンであって、グリルではありません。
グリルは難しそうです。
4)日立
日立のHPには、「グリル:上下平面ヒーターから発する熱を直接食品にあてて加熱する方式。高火力で短時間に焼き上げます」と書いてあります。
下ヒーターがあると、焼き芋什器と同じ構造になりますので、期待できます。
ところが、マニュアルでは「グリル:食品を上ヒーターで加熱し」と、下ヒーターが消えています。
マニュアルの天板の設定をみると、上段が原則で、食材の下側には、焦げ目がつかないと書いてあります。
グリルは、魚を焼くことを想定しています。最大加熱時価は、40分です。
5)まとめ
東芝と日立は、上段であれば、グリル機能が使えるようです。加熱の途中で反転させた方がよさそうです。
パナソニックは、レンジで、グリル皿を発熱させる方法で、中段でもグリルが使えます。ただし、長時間化加熱をすると、グリル皿に接している下側が焦げると書いてありますので、加熱の途中で反転させた方がよさそうです。
シャープには、グリル機能はないようです。
なお、レシピ集に焼き芋が載っているのは、パナソニックだけですが、これは、高熱のオーブンを使う方法で、加熱方法が石焼き芋とは異なり、よい石焼き芋はできません。
オーブンレンジの仕様説明書、レシピ集は、このように疑問意識を持ってよむと、かなり悲惨な状態で、日本の家電メーカーのソフトウェアのレベルが低いことを反映しています。
2年くらい前から、オーブンレンジは、スマホ対応になっていますが、筆者が使っているようなそれ以前の機種(3年前に購入)は、スマホ対応にはなりません。
これは、ファームウェアのバージョンアップで対応可能ですから、家電メーカーは、レベルが低いか、買い替えを促進するために、消費者を軽視しているかのいずれかです。
また、レシピ集がダウンロードできるのであれば、高級機種程、レシピの数が多いという差別化は出来なくなるはずです。
本来であれば、LabViewのように、調理の制御コードを書いて、公開して交換するようにできるはずなので、筆者は、インターフェースの公開と統一化を心待ちしています。
オーブンレンジの石焼き芋のグリルテスト
手持ちのパンソニックのオーブンレンジで、石焼き芋什器の方法で、加熱してみました。
温度調整はできませんので、予熱後、50分加熱してみました。
サツマイモのサイズは、Mなので、200度50分加熱のつもりですが、温度はわかりません。
実は、恐ろしいことにグリルには、予熱モードがありません。
今回は、200度設定のオーブンで調理した直後に、グリルを使っていますので、予熱完了と考えています。
オーブン調理では、庫内は、200度になっています。使用したオーブン皿は、グリル皿に取り替えます。
グリル皿は、予熱されていませんが、電子レンジの電波で加熱するので、かなり急速に温度が上昇し、タイムラグの影響は小さいと考えました。
グリルの1回の最大加熱時間は、30分なので、追加加熱を20分して、合計、50分にしています。
加熱の途中で、2回、反転させています。
写真1は、焼き芋です。
写真2が、焼き芋の断面です。
結論は、ペクチン軟化が不十分で、甘くなっていませんでした。
原因は、グリルの温度が低すぎたためと思われます。
オーブンレンジのグリル機能は、焼き芋には、温度と熱量が低すぎると思われます。
確認のために、追加加熱しても、軟化しませんでしたので、低温で長時間加熱して、ペクチン効果を起こしていたことがわかります
グリルはペクチン軟化した後でなければ、使えません。
オーブンでは、対流によって、サツマイモの表面が、乾燥しすぎてしますます。
これを防ぐには、アルミホイルで、サツマイモを包むしかありません。
アルミホイルで包むと、対流は、いったん、アルミホイルの温度上昇に使われ、次に、アルミホイルから、熱放射が起こって、サツマイモが温まります。
また、水蒸気からの熱伝達もあります。
さらに、アルミホイルとサツマイモは、接触していますので、伝導による熱伝達も考えられます。
しかし、接触面積が減るようにアルミホイルで、袋をつくっても、大きな差は見られないので、接触のよる熱伝達の影響は小さいと考えます。
サツマイモをアルミホイルで包んでしまうと、蒸し芋になるので、それを嫌うのであれば、アルミホイルに、蒸気穴をつける必要があります。
蒸気穴をつけると、石焼き芋に近い条件になりますが、水蒸気が減るので、均一に加熱する、100度を越えないという条件は、成立しにくくなります。
このあたりは、まだ、実験していません。