筆者は、麦芽糖の生成量が最大の羊羹焼き芋を理想の焼き芋としています。
しかし、羊羹焼き芋は、伝統的な焼き芋のコンセプトとは、大きく異なります。
羊羹焼き芋には、次のような特徴があります。
1)ペクチン軟化が極限まで進んで、羊羹や練り餡のような状態になる。
2)麦芽糖が多量に発生して、糖蜜付けの焼き芋になり、手でつかんで、食べることはできない。
石焼き芋什器の説明書には、サツマイモをアルミホイルで包むと、蒸し芋になって、焼き芋にはならないので、アルミホイルは使うなと書いてあるものもあります。
蒸し器で、サツマイモを蒸す場合には、サツマイモに、加熱した水蒸気を当てますので、アルミホイルで、サツマイモをくるんだ場合は、蒸し芋ではありません。
とはいえ、アルミホイルの調理は、内部に水分を追加すれば、蒸し器に近くなりますし、内部の水分が少なくなれば、グリルに近づきます。このあたりは、調整で、微妙な調理が可能なことを示しています。
さて、羊羹焼き芋ではなく、素手で食べられる石焼き芋を理想の焼き芋とする人も多いと思います。
そこで、オーブンレンジで、グリルして、石焼き芋をつくることに、挑戦してみます。
オーブンレンジのグリル機能で、石焼き芋を作る試みは、加熱不足で失敗でした。
オーブンレンジの場合、オーブンであれば、温度設定もできますし、熱量も大きいですが、グリル機能は、恐ろしく、貧弱で、90度以上で進む、ペクチン軟化がおこりません。
そこで、今回は、次の作戦を立てました。
1)第1段階は、加熱によるペクチン軟化です。この段階では、熱量の大きいオーブン機能を使います。
1-1)サツマイモをアルミホイルで包む。
1-2)オーブンを200度に予熱する。
1-3)サツマイモを200度60分加熱する。
2)第2段階は、グリル機能を使って、石焼き芋什器を再現します。
2-1)グリルで、30分加熱する。
この方法では、石焼き芋什器に比べると、水分の飛び方が、若干少なめになるはずです。
その場合の調整は、1-1)のアルミホイルの包み方で調整可能ですが、最初の実験としては、1-1)では、アルミホイルでサツマイモを、完全に密閉しています。
テストしたサツマイモのサイズはLだったので、難易度は高くなります。
写真1が、グリルした焼き芋です。
写真2が、グリルした焼き芋の断面です。
紅はるかで、グリルが30分ですと、市販の石焼き芋に比べて、まだ、水分が多いと思われました。
しかし、甘さ、食感については、十分に、及第点になったと思います。