羊羹焼き芋の焼き方が、だいたい決まったので、羊羹焼き芋向けの品種の確認検討を始めます。
そのまえに、品種の概観と登録商標の関係を整理しておきます。
登録商標は、品種のうち、品質の優れたものを抽出しているとしています。
問題は、抽出の効果です。
筆者は、登録商標よりも、生産者を選んでいます。
どちらも、バラツキがありますが、生産者の方が、登録商標よりも、バラツキが小さいです。
ですので、以下では、品種を中心に整理しています。
品種と登録商標の対応は、表2に示します。
一般には、1つの品種に対して、複数の登録商標が対応します。
例外は、安納芋で、安納芋は品種名ではありませんが、一般には、この名前で流通しているので、ここでは、品種名の代わりに安納芋をつかいます。
品質の見分け方
また、芋を目視で選抜することも大切です。これは、道の駅にいって、生産者の違うサツマイモを比べてみれば、トレーニングできます。
サツマイモの見分け方を書いたWEBも多くありますが、判定基準には、エビデンスがなく、怪しいものばかりです。
筆者が使っている基準は以下です。
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プラス基準:表面に糖蜜がでている。
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マイナス基準:しなびている。芽が出そう。柔らかい。明らかな変色。水がついている。大きな傷が塞がれていない。
サツマイモの保存中に、腐ってしまうリスクは、傷から、腐敗が始まることです。腐敗始まると、サツマイモは、ぶよぶよになります。
サツマイモは、保存庫で、湿度と温度の管理をして保存します。
家庭で保存する必要生じた場合には、新聞紙にくるんで、適切な温度の場所に置きます。
サツマイモがスーパーの店頭に並ぶと、その時点から、保存管理ができなくなるので、劣化が始まります。
つまり、店頭に陳列されて、時間が大きく(恐らく1週間以上)経過したサツマイモは、品質が劣化しています。
品種の概観と生糖度仮説
表1に、品種の概観を示します。
データを収集して、わかったことは、生糖度のデータが、少ないことです。
これは、品種改良を進めている人が、生糖度ではなく、耐虫耐病特性に関心あることを示していると思われます。
品種登録時に、糖度データが公開されていないのは、驚くべきことです。
焼き芋の甘さは、デンプンが、麦芽糖に変化したものが主体なので、生糖度そのもので、決まるわけではありません。
しかし、筆者は、「生糖度が高い方が、焼き芋の糖度があがる」(生糖度仮説)と考えています。
この仮説に関する研究は、今まで、見たことがありません。
いままで、焼き芋で、失敗してきたのは、9の高系14号、6などの紫芋、5の紅あずまです。
この3種類は、基本的には、扱わないつもりです。
生糖度仮説をとる限り、紅はるか以外のサツマイモを選択する意味はありません。
安納芋の生糖度も高いですが、「紅はるか」の名称は、安納芋より、はるかに甘いということでつけられたと言われています。
紅はるかの品種登録は、2010年3月11日なので、既に、10年以上、生糖度のレコードは更新されていません。