こども庁よりも社会実験をするべき理由

保育所と幼稚園を一元化するという話はずっと前から出ていて、実際には、ほとんど進んでいません。こども庁を作るという話の中でも、一元化は難しいだろうと言われています。

経済学の原則では、独占または、寡占では、利益率を操作できるので、効率性が失われます。一元化には、無駄を省く効果はなく、過剰利潤を生みます。

政治家は、司令塔と言って、一元化することで、効率化できると言いますが、経済学では、一元化して効率化できたという過去のエビデンスは、ほとんどありません。

過去に、中華人民共和国では、国民は、皆、人民服を着ていました。確かに、洋服のデザインが一元化して効率的になったかもしれませんが、喜んだ人は少ないと思います。それは、洋服は、TPOに合わせて選択する自由があるべきと考えられるからです。

幼稚園が保育園を吸収する、あるいは、その逆の一元化に、合理性があるとは思えません。

求められているのは、幼稚園でも、保育園の機能を実装できること、あるいは、その逆です。

前者の場合には、幼稚園が、主体になって、保育園機能も拡充できることを意味します。

後者の場合には、保育園が、主体になって、幼稚園機能も拡充できることを意味します。

こども園の問題

こども園の問題は、なぜ、日本が変われないかの典型例です。

現在のこども園には、次の4種類があります。

  1. 幼保連携型認定こども園

    幼稚園的機能と保育所的機能を併せ持つ単一の施設として誕生したタイプ

  2. 幼稚園型認定こども園

    認可幼稚園が保育所的機能も果たす施設として移行したタイプ

  3. 保育所認定こども園

    認可保育所が幼稚園的機能も果たす施設として移行したタイプ

  4. 地方裁量型認定こども園

 幼稚園・保育所以外の教育・保育施設が認定こども園としての機能を果たすタイプ

1の幼保連携型認定こども園は、2015年に認可施設と発足しています。

2と、幼稚園、3と保育園の違いは、普通の人には理解できません。

図1には、2と3は、入っていません。

2006年に創設されて以来、数を増やしている認定こども園ですが、2015年に認可施設として発足され、利用する子どもの人数や施設数が明らかになっています。

つまり、認定こども園の2014年以前のデータはありません。

社会実験の必要性

少子化が進んでいるなかで、こども園問題は、10年以上、調整に手間取っています。しかも、認定こども園をつくった時点で、所管官庁が3つにふえています。こども庁は、内閣府の部分を引き取るのでしょうが、図2を見ると、この変化速度では、問題になりません。

こうした場合、有効な手法は、社会実験です。

48都道府県から希望をつのり、各々、5から10県で、保育園中心の再編と幼稚園中心の再編の社会実験をおこなって、メリット、デメリットを比較検討すれば、5年程度で、一元化できます。

認定こども園の2014年以前のデータはありません。2015年以降も、モニタリングデザインされたエビデンスとして使えるデータがあるとは思えません。

この状態で、議論するのは、馬鹿げています。モニタリングデザインをして、社会実験を行って、データをとるべきです。

 

 

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図1 所管官庁(出典:ジョブメドレー)

 

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図2 こども園の数(出典:保育タイムズ)

 

https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html

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https://www.hoikushisupport.com/column/report/%E5%A2%97%E3%81%88%E3%82%8B%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E5%9C%92%EF%BC%81%EF%BC%9F%E4%BF%9D%E8%82%B2%E6%96%BD%E8%A8%AD%E3%81%AE%E6%99%AE%E5%8F%8A%E7%8A%B6%E6%B3%81/