つくばりんりんロード桜並木発祥の地~つくば市とその周辺の風景写真案内(540)

つくばりんりんロード桜並木発祥の地

筑波鉄道は、1987年に廃線になり、廃線跡地利用として、茨城県が土地を買い取り自転車道として整備されることとなります。1992年の認定から2016年に廃止されるまでの24年間は茨城県道501号桜川土浦自転車道線でした。2016年3月31日にこの道路は、廃止され、翌4月1日に茨城県道504号潮来土浦自転車道線と統合されて茨城県道505号桜川土浦潮来自転車道線となっています。

1993年、つくば市北条地内の自転車および歩行者用としての道路区域(延長計2,592 m)が決定し、4月8日に供用開始されます。

つまり、つくばりんりんロードで供用開始が一番早かった地区は、つくば市北条地内です。

1998(平成10)年から 地元の協力により, りんりんロードに桜並木を作るべく植樹が始まります。植樹の起点である 筑波駅跡近くに、つくばりんりんロード桜並木発祥の地の記念碑が建てられています。

ここまでが、一般に知られている経緯です。

以下は、あまり知れていない情報です。

2006年3月11日の常陽新聞によると、「『筑波リンリン道路さくらの会』は、つくば市沼田の道路沿いに桃と桜の苗350本を植樹」と書かれています。

2009年JyoyoIiving Newsには、「土浦市桜川市(旧岩瀬町)を結ぶ全長約40キロのつくばりんりんロードで秋の風物詩・ヒガンバナが見ごろを迎え、通学途中の学生や地域住民の目を楽しませている。地元つくば市のボランティア団体・筑波リンリン道路桜の会(大塚英明会長)が5年前(2004年)から育てているもので、メンバーは筑波山麓や桜川の河川敷からヒガンバナの種を集めてりんりんロードに移植。毎年この時期に1万球のヒガンバナが一斉に開花し、筑波山のふもと一帯を紅く染めている。場所は筑波小学校からりんりんロード方面に下った一帯。りんりんロードを神郡方面に少し歩くと3反歩のヒマワリ畑も広がり、赤と黄色の共演も楽しめる」と書かれています。

つまり、植えている木は、サクラだけではなく、桃や、ヒガンバナも含まれています。

なお、「つくば市立筑波小学校」は、 茨城県つくば市国松1400にありましたが、現在は、廃校になって、秀峰筑波義務教育学校に統合されています。

つくば市立秀峰筑波義務教育学校~つくば市とその周辺の風景写真案内(431) 2021/06/09

これは推測ですが、「筑波リンリン道路さくらの会」は、土浦駅から、旧筑波町の筑波鉄道沿線を対象に、活動しているように思われます。

桜川市(旧真壁町)には、ひなの里保育園手前の小さな公園に、”真壁町りんりんロード桜の会」の碑があって、次の様に書かれています。


昭和62(1987)年、筑波鉄道廃線により、茨城県が、サイクリングロードとして整備。 平成12(2000)年、桜の苗木オーナーを募集し、真壁町酒寄から小幡間(約10Km)に、 壱千本余の八重桜(紅華)を植樹する。


「真壁町りんりんロード桜の会」は、「筑波リンリン道路さくらの会」から、遅れること2年で発足しています。その後も、継続的な活動をしているかは、定かではありません。

これから、「筑波リンリン道路さくらの会」は、旧真壁町は、対象外にしていることがわかります。

「筑波リンリン道路さくらの会」の主な活動エリアが、つくば市(旧筑波町)であることは、間違いありません。そうすると、土浦市部分のサクラの植樹と管理が気になります。

「平成23年度 土浦市観光基本計画主要事業取り組み状況一覧」には、次のように、書かれています。


市の花「サクラ」や「蓮」など花を生かした観光の推進 市の花「サクラ」を生かした花のまちづくりのために次のような事業に取り組みます。 ・本市の桜の名所である桜川や新川の堤桜(堤防上の桜並木),県立中央青年の家へと続く竜ヶ峰の並木など,桜の木の延命措置 ・桜の苗の植樹や桜を守り育てる仕組みづくり(桜木のアダプト制度の創設) ・船上から桜を見る花見舟の運航や堤桜のライトアップの実施 ・県指定の天然記念物真鍋小学校の桜や土浦城址(亀城公園),桜川・ 新川の堤桜,乙戸沼公園,小野地区の山桜など桜の名所・鑑賞ポイントの紹介など また,蓮田を鑑賞できる場所の整備や蓮の花の写真撮影会などの新たなイベントの開催,桜川の河川敷を活用し「花の咲く川」とする活動の推進,霞ヶ浦総合公園のチューリップなど,花を活用した花のまちづくりに取り組みます。


「桜木のアダプト制度の創設」は、平成23年度の同じ資料にも書かれていたので、計画段階か、実現したのかは不明です。結局、土浦市区間のサクラは誰が植樹しているか、わかりませんでした。

公共施設を建設する場合には、大きなお金が動きます。つくばりんりんロードの建設にも、80億円がかかっています。一方、維持管理は、もうけが少ないので、放置されがちです。これも、更新のための再建設となれば、大きなお金が動くので、もうけがでます。しかし、地道な維持管理と更新は、もうからないので、放置されている例が多いです。

この構造は、自転車道路でも、あまり変わらないように思われます。

写真1は、記念碑の近くにあった「グリーンロードつくばの案内版」です。ボランティアが維持管理しているので、一見、よさそうに見えますが、もうからないところは、ボランティアに押し付けているとも見えます。例えば、自転車道路の建設には、がちがちの基準があって、基準を満足するには、建設費用の高い建設会社に発注しないとできません。事故が起こると問題になる橋梁の部分には、こうしたチェックも必要ですが、それ以外の部分はもっと自由に、ボランティアが建設に関与してもよいと思います。シュヴァルの理想宮のような奇抜な自転車道路があってもよいと感じます。しかし、80億円ありきだったのではないでしょうか。

写真2は、記念碑の文面です。文面は以下です。


筑波山は古来吉野と並ぶ桜の名所 謡曲で 名高い桜川が山を囲むよう麓を流れ霞ヶ浦 に注ぐ 大正期に地元有志は皮に沿い鉄道 をつくり地域産業又刊行に寄与したが車社 会となり廃線 風光明媚な田園を貫く自転 車道路となった 私共 リンリン道路さく らの会は多くの人々にやすらぎと美しさを 楽しんで戴けるよう 全線40余キロの壮 大な桜並木を計画し平成十年三月一日植栽 を始めた 桜並木発祥の当地に趣意と決意 を録し碑を建立する


この文面の出だしは、旧筑波町の人が好む表現で、好き嫌いが分かれます。

例えば、筑波山ロープウェイに乗ると、観光アナウンスで「東の富士、西の筑波と並び称される名山」といった表現が出てきます。富士山は3776mで、筑波山は876mです。スケールがまるで違いますから、何も背伸びして比べることはないと思うのです。ここでも、「筑波山は古来吉野と並ぶ桜の名所」という部分が、無理をしていると感じられます。

「リンリン道路さくらの会」のりんりんが何故カタカナなのか、理由は不明です。「つくばりんりんロード」が通称なので、タイトルは、平仮名にしました。

写真3は、記念碑の全体です。

WEBで、この記念碑の写真をみると、昔は、桜の木が小さかったので、記念碑に日があたっていたようですが、現在は、木が成長して、記念碑は影になっています。写真うつりは大変悪く、写真2と写真3は、大幅に補正しています。

「りんりんロード 桜並木発祥の地碑」と書かれています。これだけみると、土浦市区間も、桜川市区間も植樹する意気込みに見えますが、少なくとも、桜川市は、対象外のようです。

とはいえ、「つくばりんりんロード」は、2019年のNIKKEIプラス1では、「レンタサイクルで楽しめる桜名所10選」の全日本第1位に選ばれていますので、桜の名所計画が成就したことを喜びたいと思います。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8C%A8%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E9%81%93501%E5%8F%B7%E6%A1%9C%E5%B7%9D%E5%9C%9F%E6%B5%A6%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E9%81%93%E7%B7%9A

りんりんロードでヒガンバナ見ごろ 2009年09月17日 Joyoliving News

https://www.joyoliving.co.jp/topics/tpcdata/index.php?tpc_id=0909037

https://lib.city.tsukubamirai.lg.jp/shinbunkiji/shinbunkiji/TX/H18_01_03TX.htm

  • りんりんロード(筑波~岩瀬20Km)を歩く 2020/04/06 ウマさんの気ままな行動日記

https://blog.goo.ne.jp/umasan1828/e/2f74bfcb65dc233c3b2b0aeb8f68e14f

  • 春風と花満喫 レンタサイクルで楽しめる桜名所10選 2019/03/03 (NIKKEIプラス1 2019年3月2日付)

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO41816160X20C19A2W03000?channel=DF140920160941&n_cid=LMNST011

  • 平成23年度 土浦市観光基本計画主要事業取り組み状況一覧

https://www.city.tsuchiura.lg.jp/data/doc/1338183095_doc_26_6.pdf

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%90%86%E6%83%B3%E5%AE%AE

 

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写真1 グリーンロードつくばの案内版

 

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写真2 つくばりんりんロード桜並木発祥の地

 

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写真3 つくばりんりんロード桜並木発祥の地

 

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