つくば花室トンネル(1)(幻の新交通システム)~つくば市とその周辺の風景写真案内(632)

つくば花室トンネル(1)(幻の新交通システム)

つくば市」のwikiによれば、新交通システムの変遷は以下です。


国際科学技術博覧会の計画策定以前の1972年(昭和47年)頃から、筑波研究学園都市常磐線を結ぶ新交通システムが検討されていた日本モノレール協会誌「モノレール」1979年(昭和54年)6月号「筑波研究学園都市の交通計画 」には、「荒川沖駅〜高エネルギー」と「土浦駅〜バスセンター」の2系統が掲載されている)。1978年(昭和53年)度予算要求において、交通需要の比較的多いと思われる筑波大学の北側から花室地区を通り土浦駅に至る14.6キロメートルのL字型部分について予算要求を行い、筑波大学附属病院から花室バスセンターに至る1.5キロメートルの区間が事業採択された(建設省の予算がついた)。しかしながら、その後検討を進めるなかで採算性に問題があることが判明し、事業中止された。

なお、土浦ニューウェイ及びつくば花室トンネルは、新交通システムとしての事業中止後に道路として建設されたものであるが、将来的に交通量が増加した際に新交通システム(神戸のポートライナー、横浜の金沢シーサイドライン計画を参考に4両編成を想定)に転用しうるよう設計されている。


1985年のつくば科学万博に合わせて、土浦ニューウェイが開通しています。「土浦ニューウェイ」のWikiは、次のように、書いています。


土浦ニューウェイ(つちうらニューウェイ)、土浦高架道(つちうらこうかどう)とは、茨城県土浦市港町一丁目(土浦駅東口)から田中三丁目(学園大橋)までを結ぶ無料の高架道路である。全長約3 km。


つくば花室トンネルは、土浦学園線と学園中央通りを結び、地下で学園東大通りと立体交差するバイパストンネルで、1998年10月21日に、開通しています。

実は、筆者は、つくば市に住んでいて、つくば花室トンネルを使ったことは一度もありません。

wikiの「つくば花室トンネル」では、以下のように、このトンネルは、新交通システムへの準備であったと説明しています。


新交通システムとの関連

科学万博終了後、筑波研究学園都市は概成し熟成の秋を迎え、1991年度に研究学園都市における新住宅市街地開発事業などを終了することになった。これを契機として、1991年に筑波研究学園地区において立体街路が計画・整備され、1995年に供用された。この立体街路は土浦高架街路の対として位置づけられ、当面は従来型のバスが通行するが、将来は土浦と研究学園都市を結ぶ新交通システムの学園地区におけるインフラ部として転用しうるよう設計された。

立体街路は、都市計画道路土浦学園線の竹園高校付近から同学園中央通り線の交通ターミナル付近までの延長約1キロメートル (km) 区間に堀割・地下トンネル形式の2車線街路(幅7.5m)を整備するもので、途中にバス停を1箇所設置している。また、この立体街路を受け入れるため、都市計画街路学園中央通り線を約1kmにわたって40mに拡幅する事業が行われた。事業主体は茨城県であった。この立体街路の完成により、将来両都市を結ぶ新交通システムの受け入れ体制が両中心市街地においてできあがったこととなった。


つまり、花室トンネルと土浦高架橋と土浦学園線を使ってつくばセンター土浦駅を結ぶ構想があったことになります。


一方、「土浦ニューウェイ」のwikiは、若干矛盾しています。


「土浦ニューウェイは、科学万博にあわせて計画された新交通システム(案内軌条式鉄道等)が頓挫し、その遺構を道路として使用している」といった誤った解釈がしばしば行われているが、前述の通り始めから道路用高架として計画されており、そもそも新交通システムの建設自体が完成間近の資料でも導入は困難とされている。


一方、つくばエクスプレスは、次のスケジュールです。

1991年3月 第三セクターの首都圏新都市鉄道株式会社が設立。

1994年 秋葉原で起工式。

1996年12月 2000年の開業予定が2005年に変更。

2005年8月24日 開業。

これからすると、1991年の立体街路の計画・整備は、遅れていると思われます。

つくばエクスプレスが開通した結果、土浦を結ぶ交通のメリットはなくなっています。

一方、つくば市内の新交通システム(BRT:Bus Rapid TransiやLRT:Light Rail Transit)の導入について、つくば市は、概ね平成30年までに事業化するかどうかを見極めることを目標に、検討を行っています。

こうした検討には、コペンハーゲンアムステルダムのように、自転車中心の街づくりの検討もあってもよいと思われますが、なされていません。

土浦市は、自転車道路整備に力を入れているという記事もありますが、これは、観光用の自転車道路であって、一般交通が対象ではありません。

写真1が、つくば花室トンネルの土浦学園線側入り口です。

写真2が、つくば花室トンネルの換気口です。

写真3が、つくば花室トンネルの学園中央通り入り口です。

現状では、市の中心部にある壮大な無駄に見えてしまいます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%B0%E5%B8%82#%E6%96%B0%E4%BA%A4%E9%80%9A%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

  • つくば花室トンネル wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%B0%E8%8A%B1%E5%AE%A4%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB

  • 土浦ニューウェイ wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E6%B5%A6%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4

  • 土浦「驚きの駅ビル改革」でつくばを越せるか テーマは「自転車」だが走行環境はつくばが上 2018/04/13 東洋経済 鳴海 侑

https://toyokeizai.net/articles/-/216358

  • 新たな交通システムの導入可能性調査 つくば市

https://www.city.tsukuba.lg.jp/shisei/torikumi/kankyo/1001896.html

  • TUTCライブラリー

https://www.tutc.or.jp/research/library

http://mw-web.my.coocan.jp/LRT/TSUKUBA/PDFS/tsukuba_nanboku_0.pdf

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写真1 つくば花室トンネル(土浦学園線側入り口)

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写真2 つくば花室トンネル(換気口)

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写真3 つくば花室トンネル(学園中央通り入り口)