自動運転の現状

イーロン・マスク氏が、年初めに、今年中に、自動運転は、レベル5までいけると言ったので、期待があがったようですが、3月に、現状は、テスラは、レベル2らしいです。(2021/05/07 ロイター)ただし、レベル5の期待は、その後も生き残って、スタートアップ企業は、自動運転車に、必ず人をのせている(2021/08/29 ロイター)と評判になっています。

2021/09/02のニューズウィークは、テスラの「オートパイロット」の調査が、始まったといっています。


米高速道路輸送安全局(NHTSA)が、米電気自動車大手テスラの取り締まりに向けて動きだした。過去30件の衝突事故に絡んでいるとみられるテスラの運転支援システム「オートパイロット」の調査開始を、8月16日に発表したのだ。

オートパイロットは、走行中の車線変更や速度調整などを管理するシステム。あくまで運転を「支援」するものだが、多くのドライバーがこれを過信し、完全自律型運転システムのように誤用してきた。(中略)

調査は、オートパイロット搭載のテスラ車が少なくとも11回、停車中の緊急車両に衝突した原因に焦点を絞って行われる。


この調査では、緊急車両の救急隊員などの対人の事故にウェイトが置かれるようです。

画像認識で考えれば、何が写っているかは、よくわかります。しかし、風景には、複数の物が写っているので、優先順位が必要で、しかも、動く先を予測する必要があります。これは、高速道路のような場合を除けば、難しくなります。

そう考えると、当面は、レベル2で、人が乗って、学習データを集めている段階と思われます。

「オートパイロット」の調査は、事故時の責任の所在になると思われます。人が乗っていれば、原則、責任は人にありますが、「オートパイロット」が、危険な無人運転が、できるようになっていれば、その仕様に対する製造責任が生じる可能性があります。システムは、フール・プルーフであるべきだからです。

それから、自動車対自動車であれば、発信機をつけてもよいので、画像認識が、自動車以外の判断が不得意であるとしたら、自動運転のメリットがよくわかりません。ドローンの集団利用では、発信機は使われているはずです。

さて、日本の現状をみると、かなり、遅れていると思われます。

2021年3月5日に、ホンダが、世界初の自動運転レベル3の車両「LEGEND(レジェンド)」を発売開始したそうですが、高速道路上で渋滞により時速30kmを下回った際に機能し、渋滞が解消されて時速50km以上になれば自動運転は解除され。価格は1100万円で販売台数は100台限定だそうです。(2021/04/14 ニューズウィーク、2020/11/11 ロイター)

テスラの自動車は、300万円台、トヨタのミライが700万円台なので、価格競争力はありません。

2021/03/25の ロイター(KYODO)は次の様に伝えています。


 福井県永平寺町の公道で25日、遠隔監視型の無人自動運転車両の出発式が開かれた。2列シートと3列シートの車両が土日祝日に営業運行、観光客らを乗せて走る。運転手や安全確保のための保安員は乗車せず、一定条件下でシステムに運転を任せる「レベル3」の営業運行は国内初という。

 約2キロの自転車・歩行者専用の公道を、3台の電動車両が最高速度12キロで往復。人や自転車が飛び出した場合は車両のセンサーが感知して自動停止する。監視者は常にモニターを注視する必要がなくなり負担が軽くなる。センサーが働きにくい悪天候や濃霧などの時は監視者が運転操作したり運行を休止したりする。


高速道路で、50㎞以下、一般道路で、12㎞で走っても、だれも、「レベル3」とは言わないと思います。

テスラは、停車中の緊急車両に衝突していますから、一般道路を、かなりの速度で走っています。

インテル傘下で自動運転技術を開発するイスラエルのモービルアイは20日、米ニューヨーク市で自動運転車の実証実験を始めています。試験車は、運転席に人が乗っているがハンドルには触れていない状態でパークアベニューなどを走行しています。(2021/07/21 ロイター)

日本の運転は、ラベルだけの「レベル3」ですから、実力は、全く勝負になっていないようです。

 

  • 焦点:自動運転も「人が頼り」、スタートアップ各社が妥協路線 2021/08/29 ロイター

https://jp.reuters.com/article/autonomous-startups-humans-idJPKBN2FR0KQ

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2021/09/post-97030.php

  • モービルアイ、NY市で自動運転の実証実験開始 2021/07/21 ロイター

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2OX028

  • トヨタ、ウーブンが道路情報解析の米社買収 自動運転技術を強化 2021/07/15 ロイター

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2OQ20K

  • テスラ、完全自動運転の年内実現は困難=加州当局 2021/05/07 ロイター

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2MU1AR

  • 「自動運転があらゆる移動課題を解決する」という期待への違和感 2021/04/14 ニューズウィーク 楠田悦子

https://www.newsweekjapan.jp/kusuda/2021/04/post-6.php

  • レベル3の自動運転車両が営業 2021/03/25 ロイター KYODO

https://jp.reuters.com/article/idJP2021032501002333

  • ホンダ、自動運転「レベル3」搭載車が世界で初めて実用化 2020/11/11 ロイター

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2HX1GQ

  • グーグルの自動運転が「完全自動運転」である必然的理由 2018/05/25 ニューズウィーク 田中道昭

https://www.newsweekjapan.jp/m_tanaka/2018/05/post-7.php

 

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